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つるの剛士:第5回 『男って育児しにくいんだな』と思っていたけど、12年でずいぶん変わりましたね

第5回目となる今回は、“パパの育児”についてお話を伺いました。つるのさんは、パパになって12年。この間に、世の中の“パパ”を取り巻く環境が大きく変わったそうです。その変化をどのように感じ、育児と向き合ってきたかについて語っていただきました。育児を頑張る“パパ”たちに、メッセージもいただきましたよ。

最初の妊娠中に、パパになるための準備は何かしていましたか?

近所の公民館でやっていた“パパ体験”へ行って、妊婦体験をしたり、歯の検査をしてもらいました。その時に、「パパは虫歯がないから赤ちゃんにキスしてもいいけど、ママはダメよ」と言われて(笑)。
子どもができたことが楽しくて仕方ないから、そのころ経験することはすべてが新鮮でした。

そこまで楽しみにしてくれているとなると、奥さまも嬉しかったでしょうね

早く生まれてきてほしい! 早く抱っこをしながら自慢して歩きたい!という気持ちが強かったんです。
最近では当たり前に目にしますけど、長男が生まれた12年前は、外で赤ちゃんを抱いたり、ベビーカーを押したりするパパはあまりいなかったんですよね。

この12年で、パパを取り巻く環境は変わったと感じましたか?

つるの剛士
赤ちゃんを抱っこしてトイレに入っても、赤ちゃんを座らせる場所が当時の男子トイレにはなかったんです。「あれ? 男って育児しにくいんだな」ということをけっこう感じましたね。だけど今は男子トレイにもオムツ替えシートがあるし、この12年でずいぶん変わったなと思います。
ただ当時も、伊勢丹のオムツ替えスペースはすごくよくできていましたね。初めての子どもだから、どこでオムツ替えができるかという情報を調べていたんですけど、伊勢丹がダントツでした。

初めから率先してオムツ替えもしていたんですか?

ベビールームに入ってオムツ替えをしていました。でも、中にはママしかいなくて、ほかのパパに会うことはなかったなぁ。
僕は“イクメン”という言葉は嫌いだけど、唯一この言葉ができてよかったと思うのが、その言葉のおかげで、パパがベビーカーを押したり、抱っこ紐をつけて歩いたりするのが当たり前になったということなんです。
12年前はね、本当にそういうパパはいなかったんですよ。そんななかで、僕はスリング、おんぶ、ベビーカーと3人連れてたりしたんですけどね(笑)。

つるのさんは、スリング派なんですね!

僕は当時からスリング派なんです。かなり先駆けだと思います(笑)。
そのときちょうどEテレの「すくすく子育て」のMCをしていたので、専門家の先生のお話を聞いて、いいなと思うことはどんどん取り入れていたんです。あとはやっぱり、スリングが一番使いやすいんですよ。新生児から使えるし、最近は、成長してきたので座ったりして。
もうね、子どもを抱っこするのが大好きなんです。自慢したくて仕方ないんだもん(笑)。
「俺の子どもなんだけど、どう?」みたいな気持ちがあふれてきてしょうがないので、出かけるときは僕が抱っこしてることが多いですね。

それは、ママがとても助かりますね

ママは、ずっと子どもに付きっきりで子育てしているわけだから、イライラしちゃうこともあるじゃないですか。僕が夜中に仕事から帰ると、息子が夜泣きをしていて、奥さんが疲れきった状態で抱っこしてるんですよ。これじゃ子どもも寝ないだろうと思って、「ちょっと代わるよ」って僕が抱っこすると、もう絶対寝る。
だからママもパパに預けると「これで寝てくれる」と安心してくれるし、褒めてくれるんですよね。そうすると、僕も調子に乗って、夜中に散歩しながら寝かしつけとかしちゃう。

奥さんが褒めてくれると、そんなに頑張れるものなんですか?

頑張れるものなんです。あのころ、奥さんが褒めてくれたり感謝してくれたり、そういうちょっとしたことが僕にとっての分岐点になって、結果としていい方向に傾いたんだと思います。なので、世のお母さんたちはぜひともパパを褒めてあげてください。
もちろんケンカもたくさんしましたけど、僕のなかではやっぱり褒めてもらえたことが印象として強く残っているんです。「俺じゃなきゃだめなんだよな」という気持ちになると、どんどんやりたくなる。だから、今でも末っ子の寝かしつけは僕がしています。

このインタビューは、世のパパたちにも見ていただきたいと思っています。同じパパという立場のパパたちへ、つるのさんが伝えたいことはありますか?

僕自身もそうですけど、パパたちは仕事が忙しくて、なかなか家庭とか子どもと過ごす時間が取れなかったりすると思うんです。でも僕は、子どもと接するだけが育児じゃないと思っています。パパだって、遊びに行ってるわけじゃなくて、仕事してるわけですから。
そういった姿を子どもたちも必ず見てるから、“イクメン”という言葉が流行ったからと言って、無理に「子どもたちと接しなきゃいけない」とか「遊んであげなきゃいけない」とかは思わなくていいと思います。
自分が一生懸命生きる、豊かに生きる、自分の大好きな奥さんと一緒に仲良く生きるという背中を見て、子どもたちは育ってくれると思うので、あんまり悩まなくてもいいんですよ。
一生懸命に仕事をして、もちろん、奥さんが困っていることがあったら手伝う。
当たり前で、とてもシンプルなことですよね。いろんな家庭があって、それぞれのスタイルがあるので“イクメン”と言う言葉にとらわれず、いい家庭作りをしてもらいたいなと思います。
つるの剛士

お話を伺っていると、家族に言葉で気持ちを伝えることって、とても大事なんだなと感じます。つるのさんは、そういうことを意識されていますか?

なんかね、今の風潮が、悩みがどうとか不安がどうとか、そういうのばっかりなんですよね。僕はもっと明るくて前向きな話を聞きたい。たとえば夫婦のノロケとか、「ステキだね」って思えるような話がもっとあふれてきてほしい。
でも、そういう話をする人が誰もいないので心配になるんですよね。「世の中どうなっちゃうの? みんなもっとノロケていかない? 明るい話をしよう! 聞こう!」って思うんですよ。夫婦って好き同志で結婚したんでしょ? 結婚式で、神様の前で愛を誓って、みんなの前で幸せを披露したのに、あのときの気持ちを全部忘れてしまう夫婦が多いんですよ。「あのときの熱い気持ちどうしたんだよ」って思いますね。
僕は、奥さんと一緒にこれからも成長していきたいなと考えているんです。だから、みんなが夫婦としてどんどん衰退していくのかがよくわからない。気持ちが劣化していきそうだったら、努力して復活させればいいんですから。パパもママも、出会ったころの気持ちを思い出して、その気持ちをもう一度大切にしてみてほしいな。


奥さまやお子さんたちへの愛情をストレートに表現されるつるのさん、一体どんな環境で育ってきたんだろう……と、さらに興味が沸いてきますね。次回は、つるのさんを育てたご両親のお話を伺っていきます。お楽しみに。

取材、文・上原かほり 撮影・chiai
衣装協力:ikka、KINGLY MASK
スタイリスト:佐藤慶明(go ahead)

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