2020年には小3から英語教育がスタート!家庭で準備しておくべき2つのこと
現在、小学校5年生から行われる英語教育が学習指導要領改訂後は3年生から始まることに。現行の内容と比べてどう変わるのでしょうか? 親として今からやっておくべきことは? 25年間教師として、英語教育に携わってきた大木茂行さんにお話をお伺いしました。
Q1、新学習指導要領案の改訂はいつから施行されますか?
小学校から実施されるのは2020年からです。2018年から先行実施され、約2年間の準備期間を経て本格導入となります。
Q2、今の小学校の英語授業と何がどう変わのでしょうか?
変更する点は主に3つ。
1つ目は、今の小学校では5、6年生が歌やゲームで楽しむ「外国語活動」という英語教育が行われています。これが3、4年生に引き下げられるかたちで始まります。わかりやすくいうと、3、4年で聞く、話すの活動を行い、5年、6年では聞く、話す活動にプラスして、読み書きが入ってきます。つまり小学校5、6年生は文法が入ってくるのです。
2つ目は、5、6年生の英語は、算数や国語と同じ「教科」となります。教科書を使って学び、成績がつきます。
3つ目は学んでいく単語量が今よりも増えていきます。現状では、およそ450語(※1)だったものが、600~700語(※2)へと増えます。
※1「Hi, friends!」より
※2 読売新聞2018年2月15日一面より
Q3、なぜ英語教育を早く始めるのでしょうか?
インターネットの普及とともに世界中の人や情報にアクセスできるようになりました。同時に、いろいろなところからいち早く情報を得たり情報交換したりする力が必要となってきます。この時役立つのが英語でコミュニケーションする力です。
またグローバル化した企業が公用語として英語を取り入れたり、日本を訪れる外国人観光客が2000万人を突破したりと、日本に住んでいても英語を話す機会が増えてきたという面もあります。
Q4、早くから取り入れたところで効果は変わりますか?
私自身の経験でいうと、学生の頃英語がまったくできず、受験の時に苦労しました。そのため子どもには同じ思いをさせたくないとの思いから、0歳から英語を聞かせるなどして、英語に親しめるようにしていきました。その結果、小学校1年生で英検3級に合格することができました。私の1つの経験ではありますが、やはり小さいころから英語のある環境にしておいてよかったと思います。
Q5、子どもには塾などで英語を習わせたほうがいいですか?
個人的には習わせたほうがいいと思います。なぜならば、日本語が話せるようになるのと同じように、言葉として英語を操るようになるには、たくさんの時間がかかるからです。
Q6、家庭でできることはありますか?
ありますよ。①英語に親しむこと。小さな子なら英語の歌を聞かせてダンスをするのがいいですね。②アルファベットが書けるようにすること。まずはこの2つのことを意識してやってみてはどうでしょうか。
①は、歌ったり、踊ったりすることで英語に親しみが出てきます。また、同時に自然といろんな単語が耳に入ってきます。
②は、日本語の「あいうえお」の文字の読み書きができるように、英語のアルファベットも自宅で練習したほうがいいと思います。
こんな時は、身近にある単語を日本語と英語の両方で認識させると効果的だと思います。たとえば、英語の絵本を活用するのもいいですね。
絵本『日本のえほん たべものなあに』は、「これなあに?」「What this?」と英語と日本語で書かれています。次のページを見ると、その答えを日本語と英語で書かれた絵本です。絵本などを使って、英語に親しんでみるのも楽しいですよ。
Q7、親としてサポートできることはありますか?
子どもたちは時間をかければ英語を話せるようにはなると思います。ここで大切なことは、自分が何を考え、どう相手に伝えるかなど、人間の本質を語れるようになるような英語力を身につけさせることです。
これから先、社会のグローバル化に伴い、英語を使って討論したりプレゼンを行う機会が増えてきます。その時にしっかりと自分の意見がいえるよう、英語はもちろんのこと、各教科の内容をしっかりと身につけ、それを元に自分の意見がいえるようにすることが大切です。
大木茂行さん
教師歴25年。元ロンドン日本人学校教諭。J-SHINE小学校英語指導者。公立小学校、特別支援学校、ロンドン日本人学校などで長年、英語教育に携わる。
【参考】
文部科学省/今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~