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PTAは不要?役員をやってみて気づいたこと

※2018年2月時点の情報です。

「#PTAやめたの私だ ひとりの主婦の静かなる抵抗」という記事が話題ですね。東京都内の会社員のママが、任意団体であるPTAに加入しなかったという話です。

『PTA役員をやってみたけれど、タスクをこなすのに精いっぱいで、人間関係に悩み、新しいことを提案する余裕はなく、精神的に追い詰められた』

という経緯が、とても痛ましく思います。
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確かにPTA活動は時間を取られることが非常に多いですが、ただPTAが完全に不要かと言われれば、そうではないな、と筆者は思っています。今年度、PTA役員におそるおそる立候補してみました。それまでPTA役員といえば、ただ時間が取られるだけで大変だろうなぁと思っていましたが、やってみて気づいたことがたくさんあったのです。

PTA役員をやってみて気づいたこと

筆者の子どもが通うのは、地方の住宅街にある、少人数でアットホームな私立幼稚園。子どもたちがのびのびと過ごすことが第一の幼稚園です。かつて子どもたちのママは専業主婦ばかりだったようですが、幼稚園が終わった後の預かり保育が始まってからは、フルタイムで働くママさんが増えたと聞いています。PTAができるだけ親の負担にならないようにと、先生方のご配慮で年々業務が減ってきているそうです。

PTA役員をやってみて、こんなことに気づきました。

1. 先生は本当に忙しい! 手が足りない!

学校の先生の負担が増大しているとニュースでたびたび聞きますが、幼稚園でも実際先生方がとても忙しいというのが、とてもよくわかりました。何かひとつ業務が追加されたとして、それが園児全員分となるとかなりの業務量となります。しかも安全性や教育の意図を瞬時に考え出しておられます。

例えば、うちの幼稚園でお料理パーティがありました。子どもたちが園庭で実際に包丁を使って料理をするのですが、先生方はもちろん子どもたちに付きっきり。園児全員分の料理を子どもたちと先生方だけで作ることは時間の都合上不可能なので、裏で役員が内緒で追加分を作って足します……。そしてランチタイムは役員も含めて全員で食べました。おかわりをする子、全然食べない子、汚した子。いろいろいました。

実はこのパーティでは、子どもたち全員にそれぞれ教育上の目標が設定されていたのです。例えば、一口だけでも食べる、食べきれるだけのおかわりをする、汚したら自分で拭く、料理に興味を持つ、といった具合です。全ての園児たちの目標を達成しようとすると、どうしても手が足りません。というわけで親の出番となります。

親のお手伝いがないと、教育上の目標が達成できないのがよくわかるイベントでした。

2. 学校や幼稚園・保育園の運営には周辺地域への配慮が必須

住宅街のなかの幼稚園なので、実は先生方はたびたび周辺の住宅への配慮をされています。

例えば運動会では「騒がしくいたしますが……」と事前に先生が挨拶に回られていました。大根掘りは畑の所有者が協力してくださったり、他の住民の皆さんへ配ったりしていました。もちろん「送り迎えで騒がしくしないようにしてください」と保護者にも通知があります。うちの幼稚園では、挨拶回りは人徳ある園長先生のお役目、事前準備はPTA役員担当になっていますが、すべてを役員が担う小学校や園もあるみたいですね。

もしこういう手間を省いてしまったら、極端な話、いくら歴史ある教育機関でも周辺住民の皆さんから反対運動が起こってしまうかもしれません。そうなれば園児たちへの教育が成り立たなくなってしまいます。

教育機関の運営というのは、周辺地域との連携がかかせないものなのだなと、実感しました。

3. お金に関しては配慮が必要

筆者の子どものクラスで、転出する園児へのプレゼント代を徴収することとなりました。うちの幼稚園の場合は、PTA会費以外の実費となります。実費徴収となるとまず、ママさんを捕まえるのが大変。フルタイム勤務の人にも忙しいだろうなぁと思いながら連絡を取ります。振込にすると振込手数料の方が高くなってしまうような金額だったので、結局全員手渡しとなりました。今回はプレゼントということで拒否する人はおらず無事全員分集めることができましたが、これだけでもお金の徴収はかなりの手間で、しかも気を遣います。PTA会費を一度に徴収している理由がわかりました。(会計が大変なんですけどね……)

特にお金に関しては、「これくらいならお金を出して外部の人にやってもらった方がいい」という人から、「自分たちでやってもいいから必要以上のお金は出したくない」という人まで、様々な考え方のご家庭があります。安易に何でもお金出して解決、とは限らないなと感じました。

恵まれたPTA活動でしたが、それでも……

PTA役員同士の関係は、比較的慣れ合いな感じがなく、それぞれが忙しい中でやれることを最大限行っていたので、ほどよい距離感がありました。皆様から学んだこともたくさんあります。

しかしあくまで筆者の場合ですが、これほど恵まれたPTA活動でも、もし自分がフルタイムで働いていたら絶対にできないと感じました。筆者は非常勤の業務をしているためスケジュールの調整がきき、他の人ともフォローをしあうことができました。しかしフルタイムの方は園行事に参加できるかどうかにさえ苦心されています。それにきっと割り切っているとはいえ、専業主婦のママさんとの隔たりや孤独感を感じていたに違いなかったと思います。(これは自分への反省です)

PTA、現実的な改善策は

「政府や各自治体の長が『PTAなくします!』と音頭を取ればいいのに。外部に委託すればいいのに」という意見を何度か目にしたことがあります。筆者もその方がいいかもと思った時期がありましたが、PTA役員の活動を通して変わりました。そんなに単純な話ではないな、と。

PTAの活動内容は各学校や園でいろいろありますし、その意味合いも異なります。地域ごとのさまざまな事情を考える必要がありそうです。

当面の解決策としては、子どもたちにとって本当に必要なPTA活動が何か、PTAの目的に沿っているかをまず考える。そのうえで、いらない活動をひとつずつなくすような、小さな小さな改革を積み上げていくのが、一番現実的ではないかな、と思います。

うちの幼稚園に限っては、今年度のPTA役員さんが次の年度始めに、「これいらないんじゃない?」とボソッと言うことができれば、一番説得力がありそうな気がします。来年度、試しに言ってみよう。

PTA活動は子どもたちのためのものと思いきや、実は親が多くの学びを得る場でもありました。
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文・しらたまよ イラスト・んぎまむ

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