<弁護士に聞く!離婚>児童扶養手当はすぐもらえるの?受給できないときの対処法【第3回】
離婚後、ひとり親家庭の生活を支える「児童扶養手当」。ところが、離婚したからといって、すぐに受給できるとは限らないようです。「離婚したのに児童扶養手当を受け取れない」「所得制限に引っかかった」「その間の生活費は?」。そんな事態にならないように、どうすればよいのでしょうか。
ママからの質問
『離婚後、児童扶養手当を申請したものの、前年度の扶養情報が原因で受給できませんでした。元夫が修正申告すれば対象になる可能性があると言われたものの、連絡を取りたくありません。このような場合、どうすればよいですか? また、受給できない間に使える支援制度はありますか?』
悩めるママに代わって編集部が、離婚問題に詳しいアディーレ法律事務所の3名の弁護士に聞きました。


アドバイスをくれたのは、離婚問題や慰謝料請求を扱い、自身もひとり親としての子育てを経験した正木裕美弁護士。養育費や財産分与などの離婚事件を年間60件以上担当する近藤姫美弁護士。養育費やひとり親を支える制度について幅広く相談に応じる大垣優希弁護士です。
児童扶養手当を受給できない!?まずやるべきことは?
── 離婚後、児童扶養手当を受給できなかった場合は、どうすればいいのでしょうか?
近藤姫美弁護士(以下、近藤弁護士):基本的には、まず役所に相談することが最も早い対応です。所得制限などの受給要件を満たしているのに支給されない場合は、弁護士に相談していただくのがよいと思います。
大垣優希弁護士(以下、大垣弁護士):まずは、お住まいの区市町村の児童扶養手当の担当窓口へ相談してみるとよいでしょう。今後の受給に向けた具体的な手続きや必要書類について教えてもらうことができます。その際には、自治体で利用できるほかの支援制度についても、あわせて確認するとよいでしょう。
前年度の扶養情報と、現在の生活実態が違う場合は?
── 離婚後は自分が子どもを育てているけれど、前年度の税情報では元配偶者の扶養になっている場合、どうなりますか?
大垣弁護士:前年の税情報では、子どもが元配偶者の扶養であり、申請者の扶養親族数が0人として所得制限に該当する場合、支給額や支給の可否に影響する可能性があります。具体的な判定は、自治体に確認する必要があります。
離婚後に申請者が子どもを養育しているという現在の生活実態だけを理由に、前年の扶養親族数を変更して所得判定を行う特例は、現行制度上確認できません。
子どもの税法上の扶養を元配偶者から申請者へ変更する場合は、必要な手続きや対応者が個別の状況によって異なります。税務署や自治体の税担当部署に確認してください。
元配偶者が修正申告に応じない場合は?
── 元配偶者が修正申告に応じてくれない場合、できることはありますか?
大垣弁護士:前年12月31日時点の生活状況や扶養関係が申告内容と異なる場合は、税情報を訂正できる可能性があります。訂正の可否や必要な手続きは、税務署や自治体の税担当部署に確認してください。元配偶者が修正申告に応じない場合でも、税務署や自治体の税担当部署に相談してみるといいでしょう。
税情報が訂正されれば、児童扶養手当が再判定される可能性があります。なお、児童扶養手当は、原則として認定請求の翌月分から支給されるなど、申請時期によって支給開始時期が異なる場合があります。受給資格があると思われる場合は、早めに自治体へ認定請求の時期を確認してください。
児童扶養手当を受け取れない間に使える支援は?
── 児童扶養手当をすぐ受け取れない場合、ほかに利用できる制度はありますか?
正木裕美弁護士(以下、正木弁護士):児童扶養手当のほかにも、ひとり親家庭が利用できる支援はいくつかあります。たとえば、国民健康保険料については分割納付、減免や徴収猶予、国民年金保険料については免除や一部免除、納付猶予を受けられる場合があります。
また、ひとり親家庭への医療費助成や、就職・転職・学び直しを支援する制度もあります。自治体によっては、住宅支援や上下水道料金の減免、交通費の割引などを利用できる場合もあります。自分が使える制度がないか、自治体に確認してみるとよいでしょう。
大垣弁護士:生活費の確保が難しい場合には、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度や生活保護を検討することもできます。
どの制度を利用できるかわからない場合は、まずお住まいの自治体の子育て支援課や福祉課に相談するとよいでしょう。ひとり親家庭の生活や仕事、養育費などを相談できる母子・父子自立支援員は、利用できる給付制度に加え、就労や養育費についても幅広く相談に応じてくれます。
児童扶養手当を受給できない場合、確認すること
・児童扶養手当を受給できない理由を自治体に確認する
・前年の扶養情報が実態と違う場合は、税務署や自治体の税担当部署にも相談する
・支給停止になる場合でも、認定請求が必要か確認する
・受給できない間に利用できるほかの支援制度を調べる
児童扶養手当をすぐに受給できないからといって、利用できる支援が何もないとは限りません。困ったときは、一人で抱え込まず、自治体や専門家に相談しながら確認していきましょう。
取材、文・長瀬由利子 編集・Natsu イラスト・天城ヨリ子
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