<金融教育のいま>高校生が学ぶお金の基礎知識って?品川女子学院で実施された「お金の授業」

学習指導要領改訂によって必修となった金融教育。2022年4月から始まってまだ数年という金融教育ですが、子どもたちはどんなことを学んでいるのでしょうか。今回は2026年2月12日に東京品川区にある品川女子学院で行われた「お金の授業」を取材しました。
この日、品川女子学院高等部1年生は、総合マネースクールであるファイナンシャルアカデミーによるお金の授業を受けました。この授業は、高校生にお金についてより深く面白く興味を持ってもらうために、品川女子学院では1年生のすべてのクラスで実施されています。なお授業の内容はテストにも出されるとのこと。生徒たちは真剣に、ファイナンシャルアカデミー認定講師の肥後知歩講師の話に耳を傾けていました。
今、手元に100万円があったら何に使う?
「お金の授業」は具体的に、価格と価値の違い、中古品、マイホーム、賢い住宅ローンの組み方といった項目で2時間の授業が行われました。
最初に肥後講師から生徒たちに投げかけられたのは「今、手元に100万円があったらどうするか?」という問い。この質問に、生徒たちからは貯蓄や海外旅行、家のリフォームなどさまざまな回答が挙げられました。肥後講師は「この100万円を上手に使う使い方を知っていれば、人生がもっと幸せになる」といいます。

「何が物の価値を決めているのか」を知ると賢い買い物ができる
そこで知っておきたいのが、価格と価値の違いです。
価格と価値の違い
価格は物についている値段のことで、誰が見ても変わらない客観的なもの。対して価値は、どれだけ必要としているかの尺度を指し、人によって違う相対的なものです。
使用価値と交換価値の違い
さらに価値は、使用価値と交換価値の2つに分けられます。使用価値は、亡くなったおばあちゃんが使い古した思い出のハンカチのように、個人の事情によって変わる価値のこと。交換価値は、市場の需要と供給によって決まる価値です。その基本的な違いを踏まえ、生徒たちは交換価値を詳しく知るためのワークとして、タブレットを使って有名ブランドの財布の価格と価値を調べました。正規だと11万円する財布も、フリマアプリだと割安で買うことができることを再確認。

賢いお金の使い方とは
ワークを通じて肥後講師は「中古扱いだけどほぼ新品で型落ちしているスマホを安く買うなど、価値が高いのに価格が安いものを購入するのが賢いお金の使い方です」と説明します。また中古品には宝石や非売品のように価値が減らないものもあること、さらに年代物やヴィンテージの物など希少価値が高い・愛好家が多いなどの理由で価値が上がるものもあることを生徒たちに伝えます。「高いから買わない、安いから買うとなると、自分の持ち物の価値が下がっていく可能性があることを覚えておいてください」と念を押していました。
マイホームを買うときに重要なことは?
そして授業では、将来住みたいマイホームの話へと展開しました。中古でも住宅の価値が下がりにくい欧米と比べて、日本は新築を好む傾向が強いとのこと。新築住宅の価格には、土地と建物以外にも広告費や運営費が上乗せされており、物件の法律上の寿命である法定耐用年数などによって価格が大きく変動します。「新築が高い仕組みを知っていると、将来賢くマイホームを買える」と生徒たちに伝えていました。
住みたい家を考えることで将来の仕事の展望も見えてくる!

そして最後のワークで、自分が10年後に住みたいマイホームとその金額、月々の返済額を計算し、転職サイトでその年収が稼げる仕事を調べるところまで行う生徒たち。「毎月こんなに払わないといけないの!?」、「医師、投資銀行員ってかなり難しい仕事ばっかり」、「月々の支払いが90万円だから高収入の旦那と結婚するしかない!」と時々驚きの声をあげていた姿が印象的でした。10年後という遠くない将来の話ですから、生徒たちは家賃や住宅ローン、就く仕事について、リアルで具体的なイメージを持つことができたのではないでしょうか。
授業の最後に肥後講師は「価格と価値を見極める大人になってください。価値と価格の考え方を持って、数千万円や数億円の買い物ができると節約効果は大きくなります。今日習ったことはこの先一生使える知識なので、上手にお金を使える大人になってください」とメッセージを送っていました。
「お金の授業」と聞くと難しい話ばかりかと思いきや、もっと身近な普段の買い物の話で、価格と価値という市場原理をわかりやすく知ることができました。家の購入は遠い将来ではなく、そこに向かうための年収や仕事など、自分の進路やライフプランを考える上で大事な指針になりえます。金融教育は、自分の幸せや人生について考えるための授業なのだと改めて気づかされました。
文・AKI 編集・編集部 イラスト・Ponko
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