【福島県こども未来局 吉成宣子局長】子どもに夢を叶えてほしい。実現のためのガイドブックとは
前回からの続き。「子どもたちの未来を明るいものに」。これは世界中の大人の共通した思いでしょう。福島県には子どもたちの夢を応援する仕組みとして、お金の不安を軽減させる「将来の夢応援ガイドブック」があります。作成にあたっての経緯を福島県保健福祉部こども未来局の吉成宣子局長にうかがいました。
「お金がない」を理由に子どもに夢を諦めてほしくない
――「将来の夢応援ガイドブック」の作成にはどのような思いがあるのでしょうか?
吉成宣子こども未来局長(以下、吉成局長):このガイドブックは福島県内の中学2年生に配布しています。内容は高校や大学、専門学校に進学する際の費用、奨学金制度、就職のための情報や相談窓口などを掲載しています。
「子どもの貧困」が社会的な問題になった際、福島県でも調査を実施しました。すると、さまざまな公的支援があることを知らない家庭が多いことがわかったのです。家庭の経済状況で進学先が限られ、学費がネックになって将来の夢を諦めざるを得ない子どもたちも、公的支援制度が活用できるとわかれば、道が開けると感じるでしょう。親御さんも、子どもが進みたい道を歩めると思えるかもしれません。ガイドブックの作成には「お金を理由に夢を諦めてほしくない」との気持ちが根底にあります。
――進学に対する公的支援制度があっても、知らない人は多いですよね。
吉成局長:そうですね。加えて、お金のことを他人には聞きづらいと感じる人も多いのでしょう。私にも子どもが3人いますが、学費の負担は大きな問題です。大学や専門学校への進学になると、必要な額の桁が違ってきますから。このガイドブックを見れば進学をする際にかかる費用や授業料なども一目瞭然です。
支援があると知ること。そこからがスタート
――奨学金ひとつとっても、いくつかの種類がありますね。
吉成局長:ガイドブックには公的な支援、民間の支援を含め給付型の支援も掲載しています。相談先も記載されていますから、必要であればネットで検索をして自分で調べることもできます。
――子どもの夢を実現させるためには、奨学金も含めて金銭的支援について知ることからはじめ、家庭の事情を踏まえた相談をすることが大切ですね。
吉成局長:現実的には、進学におけるお金の問題は奨学金だけでは解決しません。というのも、家を出るとなれば家賃や生活費といった仕送り費用もかかるからです。それらも含めてトータルで考えたとき、少しでも負担が減る方法を探し出し、相談できる場所が見つけられるように、と考えてつくっています。県が責任を持って発行しているガイドブックですから、安心して活用していただきたいですね。
編集後記
子どもが進学する際にかかるお金の負担は親にとっては大きな不安材料です。福島県が発行する「将来の夢応援ガイドブック」は、さまざまな支援の方法があることがわかるようにつくられています。文字通り子どもたちの「夢応援」だと感じます。知ることによって助けられる家庭も多いのではないでしょうか。
取材、文・川崎さちえ 編集・すずらん イラスト・魚師