シングルマザーの子育て。大切なのは外にネットワークを作ること【花まる学習会 高濱先生】
シングルマザーで子育てをしていると、「片親だから子どもがちゃんと育つか心配」「仕事ばかりしていて、子どもに寂しい思いをさせているんじゃないか」と不安になることがあります。片親でも子どもはちゃんと育ちますか? 「花まる学習会」代表の高濱正伸先生にお話を伺いました。
哺乳類は母親だけで子育てをする
シングルマザーの悩みはいろいろあるけど、やっぱり不安は大きいと思います。無意識のうちに「両親は2人揃って完璧」と思う人も多いと思うんですよ。基本、哺乳類というのはだいたいは母親だけで育てているんです。つまり、「両親2人そろっていないといけない」ということはないのです。父親、パパの役割は「ママをどれだけニコニコにさせてあげられるか」です。パパがいるかいないかよりも、子育てにとって大事なことは、ママの気持ちが安定していることです。
「ママの気持ちの安定」が子どもを育てる
ママの気持ちが安定していると、子どもに対して「かわいい~!」と思えるでしょ。逆に、不安定だとついネガティブなところばかりに目が行きがちです。その結果「さっきいったよね!? なんでまだやってないの!」ということになってしまうのです。
これはシングルであろうが、両親が揃っていようが一緒です。そもそも夫と妻とが分かり合えれば良いのですが、100%というのはたいてい無理です。だからママたちは、外に「安定」を求めています。
職場でもママ友でも「こんなことがあって大変だったのよ」といって「そうだったの。それは大変ね!」と共感してもらうときが一番スッキリするんです。ましてや同じ母親同士だったら共感度合いが同じだから、子どものイタズラからイライラしたことまで、話して笑って、終わり! それでスッキリするんですよ。
あとは先輩ママの存在。ちょっと心配なことがあったら相談すると「あー、わかる、わかる。子どもってそうだよね」と言ってくれるから、それだけで気持ちがすごく楽になるんです。
ママは子どもと一緒にいられないことを罪深く思うもの
シングルマザーの人が気にするのが「いつも仕事ばかりで、子どもと一緒にいる時間が短い」ということ。働くママもそうですよね。その不安に思う気持ち、わかりますよ。ママという生き物は、子どもと一緒にいてあげられないことを罪深く思う生き物なんです。基本はみんなそうです。ただ、子育ての目標を「子どもをメシが食える大人に育てること」、つまり“自立”だとすれば、毎日一緒にベタベタしている必要はまったくありません。
1日中一緒にいてあげられなくてもいい。そのかわり1日5分でもいいから、毎日必ず子どもを膝の上に乗せて話を聞いてあげること。それだけでいいんです。その5分があれば子どもは残りの23時間55分を頑張ることができるのです。もちろん、できるだけ一緒に過ごす時間を作ってあげると子どもも嬉しいと思いますが、どうしても忙しいときはそれだけでもいいのです。
子どもからしたらその5分間の抱っこは、かけがえのない感覚です。「ほらね。ママはぼくのことが大好きなんだ」みたいな。それをしてあげることで、子どもは愛されていることを実感できるし、それが将来にわたり自信になるのです。