「困っているママに届けたい! 」双子のママの想いが形になった3人乗り自転車
街中でお子さんを自転車に乗せて走るママたち。朝の園の送り迎えや、買い出しなど、特に子どもが小さいママにとって「自転車」は身近な存在だと思います。
筆者も、4月の幼稚園入園のタイミングで自転車購入を考えているママの1人。
小さなお子さんを持つママにとって、子どもを乗せて移動ができる自転車は、なくてはならない交通手段ですよね。
よく見かける上のような「前後にお子さんを乗せられる自転車」は、「幼児2人同乗用自転車」といいます。
幼児2人同乗用自転車の決まり
東京都の場合、東京都道路交通規則によって
16歳以上の運転者が幼児(6歳未満)の場合は「幼児2人同乗用自転車」の「幼児用座席に幼児2人を乗車させる」ことが可能と記載されています。(参照:東京都道路交通規則)
東京都で上のような自転車に同時に乗せられるのは「6歳未満の幼児2人」が上限ということですね。(都道府県ごとに交通ルールが決められています)
さらに、各社メーカーは「SG基準」に基づいて、前部に取り付ける座席の体重上限を15キロ以下としています。(参照:自転車幼児座席のSG基準)
双子のように、成長スピードが同じようなお子さんがいるママの場合、子どもが体重制限を満たすおよそ「4歳」ぐらいまでしか自転車が使えないので困ります。
中原美智子さんもそんなママの一人でした。
第一子の長男を出産した7年後に、第二子、三子となる双子の男児を授かった中原美智子さん。
双子育児は、中原さんの想像を超える大変な日々です。そんな中双子が1歳半になった頃に、こども2人を連れて自転車で初めてのお出かけをしました。
しかし、その時に双子を乗せたまま転倒をしてしまうこととなります。
「このままでは、また同じ事故が起きるかもしれない」。
日に日に重くなっていく双子たち。その日を境に、中原さんは自転車で安心・安全にお出かけするための方法を模索し始めました。
15キロ以上の子どもを、2人同時に乗せることができる自転車が販売されていないと知った中原さんは、
「息子たちが大きくなっても一緒に乗ることのできる自転車が欲しい」と考え、2011年から製造を引きうけてくれるメーカーを探すことにします。
しかし、引き受けてくれるメーカーはなかなか見つからず、時間ばかりが過ぎていきました。
そして、中原美智子さんはある決意をします。
「ないのなら、自分で作ろう!」
「母は強し」とは、まさにこのこと。自ら試作することを決意したのです。
さまざまなメーカーを探し回り、2014年8月ようやく出会ったあるリヤカーメーカーに、まずは一台の試作車を製造してもらうことができました。
その年の11月から、試作車をもとに量産のできるメーカーを探すこととなります。しかし、販売するメーカーにとってはニッチな市場。
利益が見込みにくいと思われる「双子も乗せられる自転車」を作ることに、なかなか首を縦に振ってくれる担当者はいませんでした。
それでも、諦めずに探し続けた中原さんは、2016年2月 ようやく製品化を引き受けてくれるメーカーと出会うことができました。
中原さんは、2016年7月に「株式会社ふたごじてんしゃ」を創立。いまでは5歳になった双子の息子さんと一緒に、自転車でのお出かけを楽しんでいます。
今までは、いち主婦が「こんな自転車がほしい!」と声をあげてきましたが
ようやく、あなたの「こんな自転車がほしい」の声を受け止める側になれました。(引用:ふたごじてんしゃブログ)
(写真掲載の自転車は2014年 中原さんが1台だけ完成させたものです)
中原さんが設立した「株式会社 ふたごじてんしゃ」は、自転車屋さんではありません。
多胎、多子育児で、心も体もフル回転しているママの手助けとなることを役割だとおもっています。
自転車は、手助けとなるツールの一つであり、それが全てではありません。(引用:ふたごじてんしゃブログ)
会社の企業理念は「わが子の為に必死でがんばるママを支える」。「ふたごじてんしゃ」を単なる自転車ではなく、多胎育児で孤独なママの「外と繋がる」手段と考える中原さん。そんな思いが会社の方針にも現れていますね。
そんな「声をあげる」側から、「声を受け止める」側となった中原さんの活動に同じママとして、大きなパワーをもらえました。
「ふたごじてんしゃ」の自転車は、年内(2017年)の発売を目指しているそうです。
気になる方は、ぜひHPを覗いてみてくださいね。