五感をフルに使って遊ぶ幼児期の体験が伸び続ける子の秘訣!? 武蔵野大学教育学部学部長 上岡学先生に聞いてみました
子どもの毎日は発見や驚きの連続。大人の質問次第で子どもの好奇心はぐんぐん育ちます。長年の教師生活を通して「伸び続ける子どもは知的好奇心が強い」と話すのは武蔵野大学教育学部学部長、上岡学先生。今回は、知的好奇心が強い子どもを育てる秘訣についてお話をお伺いしました。
上岡学/Z会幼児コース監修者。桐朋学園小学校で21年教諭を務め、現在武蔵野大学教育学部学部長
伸び続ける学生は知的好奇心が強い!
――上岡先生は21年間小学校教諭として、その後大学教授として子どもたちや学生を見続けてきたわけですが、優秀な子どもたちや学生に共通していることはございますか?
上岡先生(以下、上岡):優秀な子ほど知的好奇心が強いということです。彼らは常に自分で課題を見つけ、それに対する問題点、解決方法なども自ら探し出していくことができるのです。
――知的好奇心はどうしたら身につくでしょうか?
上岡:親やまわりの大人が「知ることの楽しさ」を伝えることです。たとえば公園に行くとき、大人が「どんな行き方があるかな?」と声をかけると、子どもは「こっちが近道だよ」「こっちは行き止まりだけど、おもしろいところがたくさんあるよ」と、自分で考えた行き方を伝えてくれます。
――近所の公園に行くだけなのにワクワクしますね!
上岡:そう!その「ワクワク感=知ることが楽しい」ということなのです。体験を通して生まれる対話、いろんな質問を投げかけ違った見方があることを伝えること、また親や大人が夢中になっている姿を見せることで子どもの「知りたい気持ち」に火が付きます。この体験の「質」と「量」が大切なのです。
食事の時間は「対話」を高める絶好の場
――具体的にはどんな体験をさせたらいいでしょうか?
上岡:特別なことはなにもいりません。一番大事なのは親子の「対話」です。ただ話をするだけじゃなく「対話」をすることが重要なのです。
相手の質問の意図を読み取り、どう答えるかを判断する。そして疑問に思ったことをどう表現したら相手に伝わるのかを考える。このやり取りこそが子どもの思考力を育てるのです。
今、文科科学省で思考力、判断力、表現力を重視した教育方針を打ち出していますが、対話によってそれらすべてを養うことができるのです。
我が家では、毎日食事の時間にちょっとした発見や疑問について、常に子どもたちに問いかけていました。
――先生は、ご自身のお子さんにどんな質問を投げかけましたか?
上岡:たとえば、「朝、アリが歩いていたけど、夕方はいなくなったよ。寝ちゃったのかな?」「満月になると月が大きく見えるね」というと、子どもたちは走って外を見に行くわけです。
――お父さんから聞いた話が本当かどうか確認しにいっているわけですね! たとえば、小学校に向けて算数の力を伸ばしたいときは、どんな伝え方がありますか?
上岡:「公園への行き方は何通りある?」「お湯の30度と気温の30度、同じ温度なのに感じ方が違うのはなぜ?」など、会話の中に数字を入れ、筋道を立てて考えることです。これをすると小学校に入ったとき、算数の文章問題がよくわかるようになると思います。
疑問の種は小学校以降の学習を理解するのに大いに役立つ!
上岡:科学的に説明する必要はないんですよ。一緒に調べてわかったことをちょっとまとめるくらいで大丈夫です。子どもが小学校、中学校になってもっと正確に知りたくなったら、その時、親子で一緒に学べばいいのです。
私も自分の子どもが小さいころ、結露について疑問の種をまいておきました。おかげで子どもが中学生になったとき、理科で飽和水蒸気量について習ったさいにスッと頭に入ったようです。
――お子さんはもう大きくなられたのでしょうか?
上岡:はい。長男は生物学、次男は建築学の研究をしています。今でも食事の時の会話は欠かしません。今は私が息子たちから生物や建築について教えてもらうこともあります(笑)
自らすすんで学ぶ力は幼児期にこそ身につくもの
――上岡先生は、Z会の幼児コース体験型教材『ぺあぜっと』の監修をされているそうですね。先生のご経験をもとに、観察や工作、実験、ゲームなどを考えていらっしゃるんですか?
上岡:そうです。『ぺあぜっと』は日々の実体験を大切にした教材です。さまざまな体験をしながら親と子が対話し、楽しんで考える。それが学校で学ぶ内容につながってくるんです。また、教材の対象は子どもですが、「親のほうがハマってしまいました!」という声が届くくらい、大人も夢中になれる教材です。そしてその姿が子どもに影響を与えるのです。
――最後に『ママスタセレクト』の読者の方にメッセージをお願いします。
上岡:親子で一緒に体験を楽しんでください。大人が夢中になっている姿を見ることは、子どもにとってもすごく刺激になります。この幼児期の原体験こそが、知ることは楽しいという気持ちにつながり、いくつになっても伸び続ける優秀な子どもを育てるのです。
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