普段はおしゃべりな人でも、たくさんの人を前にして話すのは苦手というケースはあります。教師など人前に慣れている職業ならともかく、できるならそんな状況は避けたいと考える人が大半かもしれません。

簡潔にまとめれば、すぐに終わるけど……不安

PTAの会計係になったことで、集会で会計報告をしなくてはならない方からの相談がママスタコミュニティにありました。

『もともと話すことも、人前も苦手。とくに心配なのが声の震え。会計報告だから大した内容ではないけど、震えないかが心配でパニックになっている。震えない方法って、ないかな？』

投稿者さんいわく「今から心配でどうしよう、どうしようと考えるほど嫌になる。本番でも同じように考えて震えてパニックになるから、もっと震えて泣きそうになって……」という状況なのだそう。「心配」「困った」「不安」「嫌だ」と、とにかくネガティブな感情がループしているようです。PTA集会は来週なのだとか。

『省略しちゃうのはどう？　よくプリント通りに「何月何日〇〇にいくらの支出」とか1行ずつ読み上げることがあるけど、「見ればわかる」と思っちゃう』

簡潔な報告をすすめるコメントは、複数ありました。配られる資料を見れば何にいくら使ったかは、一目瞭然。少しでも早く終わらせて帰りたい保護者たちからすれば、大歓迎です。

『うちはざっと収支報告だけをして「詳細は配布資料で確認してください」だから、すぐに終わる。一応質疑応答もあるけど、誰も手を挙げないよ』

配布資料を併用すれば、あっという間に終わる会計報告。時間にして、ほんの数分です。投稿者さんのPTAですべて読みあげなければいけない規則がない限りは、緊張する間もなく終わってしまいそうです。

『私もなるべく短く、内訳は省略して終わる予定ではある。出だしはまだ大丈夫なんだけど心臓バクバクで、話しているとだんだん息が続かなくなるんだよね。それで苦しくなって震えてきちゃう』

投稿者さんは意識が極度に集中する最初の一瞬を過ぎると、動機が激しくなるようです。ほんの数分を乗り越えるのも、ひと苦労といいます。

前にいるのはカオナシ？獲物？リラックスして臨もう

緊張を和らげる方法のアドバイスも多々ありました。

『みんな聞いていないから大丈夫。投稿者さんも、いつも聞いていないでしょ？』

実際のところ、お金が何に使われたか気になって仕方ない保護者がそこまで多いとは思えません。内心「まだかな」「早く終わらないかな」と考えている保護者ばかりと考えれば、気負わずに済みそうです。「聞いている保護者たち全員、カオナシだと思えばいいよ」「獲物を前にしたハンターの気分で挑めば？　いい感じに強気でイケるよ」などという提案も。
そもそもどのPTA会計係も大半は人前で話すプロではない、素人です。多少声が震えようが失敗しようが、気に留める人はいないのではないでしょうか。

『今から家で、発表の練習をたくさんするんだよ。大きな声で、丸暗記するくらい。当日頭が真っ白になっても、身体が勝手に発表してくれる』

たくさん練習しておけば自信がつくでしょうし、「あれほど練習したのだから、大丈夫」と自己暗示をかけることもできそうです。

『そういう人も以前いたけど、気にならなかった。むしろそれだけ頑張ってるんだなと、心から応援したよ』

「声が震えている人、けっこういるよ」という声もあります。逆に報告に何かしらの特徴があったほうが、眠気が覚めて保護者たちにとってもありがたいかもしれません。
ただ、投稿者さんは震えたことでさらに注目されるのを恐れているよう。「『この人、大丈夫？』と思われたらどうしよう」とのことですが、聞いている側だっていつ自分が同じ立場になるかわからない保護者ばかりです。「頑張れ」と応援してくれる人のほうがずっと多いのではないでしょうか。

ゆっくり落ち着いて話す練習を。深呼吸もおすすめ

同じく会計係で報告をした経験者のコメントもありました。

『私もホールの壇上で報告をしたことがあるけど、しゃべり出してしまえば気にならなかったよ。早口にはなったけど（笑）』

緊張すると早口になってしまうこと、ありますよね。どうにかこの場を早く終わらせたい思いが、そうさせてしまうのでしょうか。しかし早口になると余計に焦って、息苦しさがさらに増す気がするものです。
となれば、逆にゆっくり話すことを意識してみてはどうでしょう。声の震えがより目立つようにも思えますが、少なくともハァハァと酸素不足になるような状況は改善するのでは？　やや低めの落ち着いた声のトーンを意識して話せば、呼吸も少し安定してきそうです。

『私は早口にならないよう読み上げる練習を繰り返して、不安な箇所は念のためにフリガナを振った。あとは直前に吐くことを意識した深呼吸をして、「読むだけ、読むだけ」と心で唱えたよ』

こうした対策を取ったのは、じゃんけんに負け本番1時間前に読み上げる係になった経験のある方です。本番は結局人の顔を見る余裕もなく、読むことに必死だったので記憶もないとか。「身体が震えるなら、手をグッと握って力を入れると収まりやすいよ」と、さらなる助言もくれました。

『自分もこの前そうでした。紙を持ち読み上げながら活動報告をしていたら、手が震えてしまったので紙を置いて。すると次に声に震えが。心のなかで「誰も気にしていない。大丈夫！」と唱えて、なんとか乗り切りました』

誰もが緊張するのです。投稿者さんだけではありません。この方も震えが来てしまったそうですが、紙は台に置いて読んだほうがいいのだと参考にできますね。
先ほどのコメントにもありましたが、心を落ち着かせるための深呼吸もよさそうです。お腹に手を当てて腹式呼吸で、ゆっくりと息を吐きましょう。頭のなかで3秒数えながら呼吸を繰り返して震えそうな気持ちを安定させましょう。また緊張すると身体もこわばってしまうでしょうから、余裕があれば本番前にストレッチをしてみてはいかがでしょう。肩や首をゆっくり回す程度なら、舞台袖でもできそうです。心と身体をほぐし、本番に臨む。大丈夫です、誰もそれほど真剣に聞いていません！

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文・鈴木麻子　編集・みやび　イラスト・Ponko