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救急外来に行く前に! オンラインで小児科医に医療相談

さっきまで元気に遊んでいたのに、急に子どもが熱を出した」という経験は、子どものいるママなら誰でも一度や二度は経験したことがあるのでは? 明らかに重症な場合を除けば、「具合が悪いのを無理に連れだすよりも家で様子をみていたほうがいいかも」と迷うことも。そんなとき、電話やLINEなどで小児科医に相談できるサービス「小児科オンライン」が2016年1月からスタートしました。小児科医として働きながら、サービスを立ち上げた橋本直也先生にお話をお伺いしました。

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――小児科オンライン「手のひらに小児科医を」とはどのようなシステムなのでしょうか?

橋本 平日18時~22時までの間、電話、LINE、FaceTime、facebookメッセンジャーなどを使って、小児科医による医療サービスを受けられます。

――どのような症状に対応できますか?

橋本「今すぐ救急外来に行くべきかを知りたい」「自宅での看病の方法について知りたい」「日頃子どものことで気になっていることがある」などについて、小児科医に相談したい場合、ご連絡ください。

――アクセス方法について教えてください。

橋本 ①「小児科オンライン」にアクセスして予約をしてください。
(お子様お一人につき、1回15分の相談になります)

②予約確定後にこちらのLINE IDや番号をお伝えします

③予約時間になったら、電話、LINE、FaceTime、Facebookメッセンジャー、Googleハングアウト、Skypeより好きな方法で、「小児科オンライン」にアクセスしてください。

――開業時間を教えてください。

橋本 平日18時~22時までの4時間になります。

――料金はかかりますか?

橋本 2016年3月いっぱいは無料モニター期間となります。

救急外来に行くべきかどうかの判断ができる小児科医が必要

――なぜこのようなシステムを思いついたのでしょうか?

橋本 私はこれまで7年間、小児科医として働いてきました。その中で小児科医はもっとフレキシブルに患者である子どもたちやお母さんたちのニーズに合った対応をすることが必要だと日々感じていました。その中の1つに、夜間の救急外来の問題があります。

夜、子どもが急に熱を出したり具合が悪くなった場合、救急外来を受診する場合があると思います。受診した場合、同じく風邪などで具合が悪い子たちであふれる救急外来の待合室で、診療までの間1~2時間待ち、診療は約5分。また救急外来の担当医も、軽症の患者さんの対応に追われ、重症の子どもと向き合う時間が取りづらいということがあります。

親御さん、子どもたち、医療者いずれにとっても効率の悪いことが起きています。
実は、私の経験では救急外来を受診する子どもの7割~8割は、医師側からすると軽症ということがあります。しかし、言葉を話せないわが子が真っ赤な顔をして熱を出している姿を見たら、不安になり救急外来を受診するお母さんたちの気持ちもわかります。

そこで、電話やLINEなどを使って救急外来に連れていく必要があるのか、それとも朝まで待ってからかかりつけの小児科医に行けばいいのかを小児科医に相談できるシステムが必要だと思い「小児科オンライン」を立ち上げました。

また昼間仕事をしていて、病院に行く時間が取りづらく、日々のケアや投薬の継続が重要である喘息やアトピーなどの病気が放置されてしまうということもあります。

平日18時から22時をカバーすることで、救急外来としての対応はもちろんのこと、「普段の生活でちょっと気になることがあるから聞いておいきたい」ということも気軽に聞ける窓口にしています。Skypeなどで顔を見なくても、LINEのやりとりで解決することもあるし、アレルギーの質問などはお子さんを見なくても説明できます。

テレビ電話や動画、画像を使って小児科医が子どもの様子を観察

――#8000と同じようなサービスですか?

橋本 同じようなサービスで、小児科医師や看護師に子どもの状況に応じて適切な対処法などの相談ができる小児救急電話相談「#8000」があります。すばらしいサービスですが、ただ、どうしても電話のみだと情報が少なくて、受け手側としても安全なことしかいえないので「心配な時は救急外来に来てください」といった表現にとどめざるを得ません。実際に「#8000に電話したけど、やっぱり心配」ということで、非常に軽い症状でも救急外来にいらっしゃるお母さんにもお会いしたことがあります。

小児科オンライン」では、Skypeなどのテレビ電話などを通じて、子どもの全身、呼吸、皮膚などの状態を小児科医が観察し、「その状態であれば、朝になってから病院を受診すれば大丈夫ですよ」「おうちにある熱冷ましを使ってください」など、一歩踏み込んだアドバイスをすることができます。

将来的には登園許可証や定期薬の処方ができるようにしたい

――今後の展開について教えてください。

橋本 まずは、現在やっている電話やインターネット経由での「医療相談」をメインに行います。そこからどこまで子どもを持つお母さんたちの不安や子どもたち自身の健康について関われるかということを数カ月単位で行い、実績を作ったうえで、ステップアップとして診断書を出したり、薬を出したりといった「診察行為」のほうに発展させていきたいと考えています。

2015年8月に遠隔医療――対面で合わなくてもLINEなどで診療行為ができるようになりました。この遠隔医療ができるようになれば、インフルエンザにかかって治ったあと、「元気になりました」ということを証明するために保育園に提出する登園許可証、これをこちらで書いて保育園に直接送るということができるようになるかもしれません(電子署名を用いた診断書の発行)。あとは、症状が安定している喘息やアトピーなどで、定期薬の処方だけほしい(軟膏など常用薬の処方)もできるようにしたいと思います。
病院へ連れていくお母さんたちが忙しかったりすると、どうしても間があいてしまうことってありますよね。それに対して小児科側がもう少しフレキシブルな外来を提案することで、子どもたちの健康に貢献できるのではないかと思っています。

また、遠隔医療によってIOTと連携して聴診器で、インターネットの先にいる子どもの胸の音が聴けたりとか、そういうことがあるので、喘息の子どもだったらちゃんと胸の音が聴ける。それを確認して「安定しているからこのお薬でいいですよ」ということができるようになるのではないかなと思います。これは将来像ですけどね(笑)

そんな将来像を見据えて、まずは今できる医療相談から始めてみようと思い、やっています。
小児科オンライン」の目指すところは、子どものケガや病気はもちろんのこと、成長について気になること、子育てに関する相談窓口になることです。そのことによってお母さんたちの子育てにおける負担を軽減し、日々の不安に対応し、必要な医療情報を伝えたり、病院を受診する際のアドバイスなどを行うことで、子どもたちの健康に貢献したいと考えています。

後編:小児科医としての自分の関わりが子どもの未来を作っていく


橋本直也 先生
都内小児科クリニック勤務。小児科専門医。日本大学医学部卒。聖路加国際病院にて初期研修、国立成育医療研究センターにて小児科医研修。東京大学大学院にて公衆衛生修士号取得。
小児科医にLINE、電話、テレビ電話から相談できる「小児科オンライン」を運営。「救急外来に行くべき?」「子どもの発達が気になる」そんな時気軽に利用できるサービスを目指す。

取材・文、長瀬由利子

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