「産後うつ」は甘えなの?X(旧Twitter)の投稿から考える妊娠・出産に伴うママたちの現状
出産後、慣れない育児に戸惑ったり、睡眠不足から体調不良になるママもいると思います。そんなママたちにとって非常につらい言葉がX(旧Twitter)に投稿されたことで、‟産後うつ”がX(旧Twitter)のトレンドで注目を集めました。
『もし奥様が「産後うつ」を言い訳にして家事や育児を怠ったら怒鳴りつけて躾けましょう。私は産後3ヶ月で衆議院議員選挙を全力で駆け抜けました。「産後うつ」は「甘え」です』
こちらある一人の女性のX(旧Twitter)上でのつぶやきです。「産後うつを言い訳に」や「怒鳴りつけて躾けましょう」など、過激な言葉が続きます。一般的に「産後うつ」という病名は存在しないというのがその主張です。果たして本当に産後うつは甘えなのでしょうか。ママたちの実体験とともに、厚生労働省「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」の産後うつについてみてみましょう。
私も「産後うつ」でした。ママたちの実体験
出産後、子どもの面倒を見てくれる人が母親以外にいるかどうかで、ママにかかる負担はかなり変わってきます。親や夫、ベビーシッターなどに頼れるママがいる一方で、まったく誰にも頼れず孤立奮闘する実態が浮かび上がります。
『そりゃ産後3ヶ月で赤ちゃんから離れ働ける人は産後うつとは無縁でしょうね。産後うつは赤ちゃんと24時間一緒で育児に追われて一人の時間なんて取れない人がなるんだから』
『これを見たご主人の中には奥さんに「甘えるな」ってつらく当たる人もいると思う。産後からうつになっているのに気づかず、自分のキャパの問題だとずっと踏ん張ってきて、数年経って実はずっとうつを患っていたと診断されたって流れです』
『産後うつだからって育児は止められない、まわりに甘えて何が悪いのか。産後うつ=甘え、じゃなくて、産後うつを和らげるために、甘えて良いと思う』
『ミルクや母乳をあげても、しばらく背中トントンでゲップ待ち。寝たから下ろすとギャン泣き。母は限界が来て気絶気味に少しの仮眠。乳をあげるとお腹が空く。だけど食べる時間はほんの少しで、抱きながらおにぎりむしゃむしゃ……っていう生活をよく頑張ったわ。赤ちゃんのお世話をしてる人、尊敬するよ』
『何を言っているんだろう? ホルモンのせいでもあるけど、母親になりしっかりしないと、甘えないで頑張らないといけないと思って、頑張りすぎてうつになってしまう人もいるよね? そういう人に怒鳴りつけてしつけって、怖い』
『家事もできない、育児も半人前で、子どもを産む前は社会と繋がりをもてたのに、産後は旦那が帰るまで誰とも会話できない。子どもができて幸せなはずなのに、みんな幸せだねーって言ってくれるのに、そう思えない自分への嫌悪感』
『そもそも家事や育児が全て女の仕事なんて、誰が決めたの? 少なくとも、私はそうは思ってない。だから、別に男がやってもいいんだよ。男はやらなくていいなんて、誰が決めたんだか』
「産後うつ」を言い訳にしている人もいる?
「産後うつでつらかった」と実体験を話すママがいる一方で、少数ですが「女性の甘え」ととらえるママもいるようです。
『産後うつを隠れ蓑に、努力しなかったり夫や実母に頼りきったりする人はたくさんいる。だけど、人それぞれだからね』
『産後うつなんて言葉、前はなかったわ。旦那は仕事で子どもの面倒を一人でみるのなんて当たり前だと思ってたけど。実際、今は甘えも多そうだけどね。産後うつの人とは区別しなきゃ』
ストレス+周囲のサポート不足で妊娠中・産後のうつ病へ
「産後うつ」は病気ではない、甘えだというX(旧Twitter)上の女性の主張ですが、これについて厚生労働省の女性の健康推進室 ヘルスケアラボでは、次のように提示しています。
『女性の生涯を見渡すと、人生で二度、うつ病を発症しやすい時期があります。更年期と産後です。女性ホルモンの変化の影響もありますが、母親としての仕事が増え、大切な赤ちゃんのことを心配するあまり、心がオーバーワークになって充電不足になってしまいます。』
『何をやっても楽しくない、自分は母親失格なのではないかと思ってしまう、理由なく不安になったり、悲しくてみじめな気持ちになったり、眠いのに眠れないなどなど…。1週間ほど続いて、心の症状が起こったら、出産した病院、赤ちゃん訪問の保健師や助産師などに相談しましょう。』
『産後うつ病は、母親として十分に頑張ってきた結果です。充電期間を設けて、子育てを休み、子育ての態勢を整えることも効果があります。子育てを休むのは、母親失格ではありません。』
「妊娠中や産後のうつ症状は、ストレスの多さと周囲からのサポート不足により発症しやすくなり、心のオーバーワークが原因でストレス耐性も弱くなっている」というのです。
4人出産した体験から考える産後うつ
4人の子どもを出産した筆者の経験からいえば、慣れない育児に孤立奮闘していた1人目のときは、今思えばうつ状態だったと思います。ただ、当時はそれがうつだとは気づかず、まさに「自分の甘えが原因」だと思い、過ごしていました。
妊娠や出産は、その都度毎回違います。つわりが軽いときもあれば、ひどくて入院するまでになることもあります。産後も、周囲の状況や子どもの状態によっては、それほどストレスを感じないときもあれば、孤独感にさいなまれ自己嫌悪に陥ってしまうこともあります。
私の場合は実家も遠く、夫も頼れない状態だったため一人で乗り切るしかありませんでした。そこで家事などはなるべく便利なサービスに頼ろうと思い、離乳食作りは生協の離乳食セットを使い、夕食は宅配サービスの「ヨシケイ」のミールキットを利用してとても助かりました。そのときは一人で頑張ることが母親の役目だと考えていたのですが、今考えるとほかにも、区でやっているファミリーサポートなどももっと頼ればよかったと思います。
産後うつについて決して軽く考えず、まずはサポートしてもらえる夫や親族を頼りましょう。まわりに頼れる人がいないママは、近くの自治体や保健所などにサポートを依頼するなど、できるだけまわりの人を頼りましょう。
「自分の甘え」と思ってしまうかもしれませんが、子育てはたくさんの人の手を借りた方がうまくいくこともあるのです。
文・長瀬由利子 編集・山内ウェンディ
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