2018/06/01

母乳が出すぎる悩み……「母乳過多の辛さ」はなぜ周りに理解されないの？

母乳についての悩みと言えば、「母乳が出ないこと」もママを苦しめることの一つです。出産を終え、赤ちゃんにいざおっぱいを、という時におっぱいが出ないのは辛いことですね。

逆に、「母乳が出すぎること」で悩むママも多くいるようです。こちらはママスタコミュニティに寄せられた、あるママの母乳に関する悩みです。

『常に乳腺炎に怯えています。詰まるから搾乳しても、イタチごっこのように次から次へと生産される。どこへ行くにも搾乳器が必要……。マッサージに通って食事の指導も受けたけど何も変わらない……。母乳が出なくて悩んでいる人もたくさんいるのに、私みたいな理由でミルクにした人いますか？　後悔しませんでしたか？』

母乳が出すぎることに悩み、授乳期を辛い思いをしながら過ごしたというママは少なくありません。しかも「母乳が出過ぎる」悩みはなかなか理解されにくく、ママたちを苦しめるようです。

理解されにくい「母乳が出すぎる」悩み

母乳が出すぎることに対し、「せっかく出るのにもったいない」「出ない人だっているのに」などと、声をかけられることもあるようです。

『私もまさにそうでした。「周りからは出るだけマシ、出ない人だっているんだから」と辛いのを理解してもらえず悲しかったです』

『過分泌と言われました。乳腺の本数も通常より多く、三つ子ちゃんでも完母でいけそうだねって……。出るのにやめるって自分優先で子どもに申し訳なくて、でも辛くてずっと一日中おっぱいに振り回されています』

『おっぱいの達人みたいな助産師さんが「過分泌ほど恐ろしいものはない」って言っていたのを思い出した』

乳腺炎が怖くて搾乳の日々

さらに辛いのは、「乳腺炎」の可能性があることです。浜松市こども家庭部子育て支援課が運営している「はますくQ＆A」によると、乳腺炎のサインとして「乳房にしこりを感じる」などの症状の他、ときには高熱が出るケースなどがあげられています。ママが倒れると家族の生活が成り立たなくなる恐怖から、悩みは深刻なものとなります。

『私も母乳の出が良い方で、搾っても、搾っても底がつきなくてツラかった』

『私も4人産んで毎回乳腺炎になるほど母乳が出たけど、搾乳したくなる気持ちわかる。私も出先のトイレで搾乳した事も何度もあるよ。張りすぎて腕を下ろせないし、パットは常に母乳でグッショリでブラからも漏れてくる。飲ませても、飲ませても張るから、折を見て産科に出向き母乳指導の方に搾ってもらうという生活がずっと続いたよ。放っておくとすぐに乳腺炎。稀にいるみたいだよ。出過ぎちゃう人』

「過分泌」が辛すぎて「ミルクヘ変える」ケースも

母乳をあげたい気持ちは大いにあるけれど、中にはミルクに変えざるを得ない状況となった人も。生活のためとはいえ我が子に申し訳ないという声もありました。

『母乳が出すぎて、乳腺炎が恐怖でミルクに変えました。
上2人は何度も乳腺炎になりながら完母で育てましたが、3人目を産んで2週間でさっそく乳腺炎になり、40℃の熱で寝こみ、旦那も仕事を休んで看病＆子どもたちの世話をしてくれましたが、これから約一年間あと何回乳腺炎になるんだろうと途方にくれ、私が寝込むと家のことが回らなくなりみんなに迷惑がかかると思い、ミルクに変えました』

『私も出すぎて出すぎて本当に辛くて病院に行って相談したら、「もう母乳はあげない覚悟があるのなら母乳を止めるホルモンの薬を出してあげるよ」と言われた。子には申し訳なかったけどミルクに変えました。あの辛さは経験しないと分からない』

経験者は辛かった理由のひとつに「理解されないこと」を挙げていました。悩みに対して、「出るだけいいじゃん」「出ているのに贅沢」、と周りがコメントするケースがあるそう。そんな風に返されたら、確かに「理解してもらえない」気持ちになるのもわかりますよね。それだけ「母乳が出すぎて悩んでいるママがいる」こと自体は、経験した方以外にはあまり知られていません。

また「乳腺炎」は、食事が直接の原因ではなく、授乳スキルが未熟であるため起こります。浜松市こども家庭部子育て支援課が運営している「はますくQ＆A」によると、乳腺炎の予防の基本は、授乳回数を増やすことや搾乳すること、としています。赤ちゃんの乳首への吸い付き方を見直すことも有効な方法だそうです。

「乳腺炎かな？」と思った時は一人で悩まず頑張りすぎず、助産師あるいは産科医に診てもらって、体をゆっくり休めてくださいね。

文・鈴木じゅん子　編集・しらたまよ　イラスト・ごぼふく