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【理系育児】第五回 乳腺炎って何?理想的な母親の食事は?

2015年時点の情報です。

ちょっと理系な育児ブログのsumireです。今回はこちらの質問を取り上げさせていただきます。

かなさん(6ヶ月と3歳のお子さんにタンデム授乳中)

あまり私自身の食事内容に気をつけていないのですが。幸いにも3年3カ月、乳腺炎になったことなくきました。
こども2人とも飲みっぷり良く、発育良好です。
母親の食事内容が母乳の質に影響するという説と、あまり関係ないから好きな物を食べてよいという説とありますが、実際どうなのでしょうか?

とかく母乳育児には、母親に努力や根性を強いるアドバイスがつきまといがちですが、その中でも「母乳がまずくなる・質が落ちるから、母親の食事はこうすべき」という俗説はよく見聞きしますよね。「詰まりや乳腺炎の原因になるから食べちゃダメ」と言われている食材も、多種多様にあるようです。

昔は母乳の生理学や哺乳のメカニズムがよく分からなかったので、食事に目をつけやすかったのかもしれません。時には先人の知恵に頼るのもいいですが、今回は、母乳の生理学をもとにした乳腺炎の原因と、お母さんの食事についての最新情報をご紹介したいと思います。

乳腺炎の原因

乳腺炎は、母乳の除去に失敗した時、つまり、母乳の流れが悪くなり、乳腺組織がダメージを受けるくらい母乳が溜まってしまうことがきっかけで起こります(1)(2)。そして字の通り、乳腺が炎症を起こします。

母乳が過剰に溜まってしまう原因は、

授乳間隔の空きすぎ

赤ちゃんが上手におっぱいに吸着できずに、乳管がつぶれて母乳の流れが悪くなった

母乳過多

など、さまざまですが、どれも簡単に起こりやすく、その割に正しい情報はほとんど知られていないので、効果的な対処ができずに、何度も繰り返してしまうこともあります。

繰り返す乳腺炎の原因は?

WHOが出している乳腺炎のガイドラインには、何度も乳腺炎を繰り返してしまう原因としては「お母さんの授乳スキルが未熟であること」のみ触れられています(3)。

「また誘惑に負けて、〇〇を食べてしまったから…」というわけではないようですね。
飲み残しを毎回搾乳することも、ますます母乳の生産量が増えて乳腺炎のリスクを高めてしまうかもしれません。まずは適切な母乳育児の知識とスキルを身につけることが、根本解決への近道のようです(4)。

理想的な母親の食事とは?

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WHOは、推奨される食材の例として「肉・魚・油・ナッツ類・種子類・穀物・豆類・野菜・チーズや牛乳など」をあげています(5)。

つまり、「肉」も「乳製品」も「油脂」も重要な栄養源であり、食べた方がいいんですね。
これらは、離乳食(補完食)として推奨されている食材グループと同様なのです。健康で丈夫な体を手に入れるためには、何か特別な食事よりも、様々な種類の栄養豊富な食材を食べる方が効果的ということでしょう。

「こんな食事内容の母乳では赤ちゃんがかわいそう」などと言われることもありますが、一般的に、母親の食事に関係なく、母乳は赤ちゃんにちょうどいい栄養バランスが保たれることが分かっています(6)。栄養豊富な食事は、母乳のためじゃなくて、お母さんのために必要なのです。医学的根拠のない食事制限は、お母さんの健康を損なってしまうかもしれません。

イベントと乳腺炎の関係は?

これからクリスマスやお正月などのイベントシーズンに入ります。

以上をまとめると、「ケーキを食べたから」「おもちを食べたから」乳腺炎になるのではなく、

「来客の対応に気を取られ、いつもより授乳間隔が空いてしまった」

「帰省先で、いつも使っている授乳クッションと落ち着いた環境でゆったりと授乳することができずに、哺乳効率が悪くなってしまった」

「いつもと違う状況にお母さんが大きなストレスや疲れを感じ、一時的にオキシトシン反射が起こりにくくなってしまった」

ことなどが、乳腺炎のリスクを高めうるのです。

適切な授乳方法と栄養を心に留めつつ、ケーキやおもちも含めて、安心して食事やイベントを楽しみたいですね。

参照

(1)乳腺炎|原因と対処法
(2)Mastitis / Australian Breastfeeding Association
(3)Mastitis: causes and management / WHO
(4)誰も教えてくれなかった、おっぱいと母乳の基礎知識
(5)母乳育児で気を付けるべき食事
(6)お母さんの栄養バランスが悪い場合、母乳の質はどうなる?

文・編集部

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