ランドセルだけじゃない入学準備に必要なこと!元小学校校長先生に伺いました
小学校入学まであと半年。ランドセルや机などを購入して入学準備は万端!と安心しているママもいるかもしれません。ところが入学前に準備しておくべきことはそれだけではありません。小学生になると、先生の話を聞いて子ども自身で判断して行動しなければならない場面が増えてきます。そうはいっても今からどんな準備をしたらいいのか……ママには不安がよぎりますよね。
ですが大丈夫!もともとどんな子どもにも、自ら考えて動く力「主体性」が備わっているのです。
そう話すのは元小学校校長の髙田美代子先生。入学半年前の今だからこそやっておきたい準備について、詳しくお話を伺いました。
幼稚園や保育園とは違う小学校での生活。これから大事なことは……
――小学校は先生の話を聞いて自分で行動しなければいけないことが増えてきますよね。一人でちゃんとできるか心配です。
髙田:そうですね。幼稚園や保育園と違って、小学校はまず話を聞いて、自分は何をすればよいのか理解し、行動しなくてはなりませんね。
親としては心配になりますね。2020年に改訂される新しい学習指導要領では、「主体的な学び」に重点が置かれ、ますます自分から行動することが求められます。でも心配しなくても大丈夫。なぜなら、どんな子どもでも主体性を持っているからです。子どもにはもともと主体性があるのです。信じて伸ばしてあげることが大切です。
――自分で考えて行動できるようになると、親としても安心できます。主体性を伸ばすため、親はどのようなことをすればよいのでしょうか?
高田:子どもの行動は親が決めるのではなく、子どもと相談して、最終的には子ども自身に決めさせてください。たとえばやらなければいけないことがあったとき、親がやりなさいというのではなく子ども自身に「何時からやる?」と声掛けをします。子ども自身に約束の内容も決めさせるのです。自分自身で決めることで、もともと主体性を持っている子どもは自分から取り組みます。できた時は親が褒めてあげましょう。子どもの自信がどんどんアップしますよ。
入学時に戸惑わないために、入学までの半年でできること
――入学まであと半年。今からやるべきことはありますか?
髙田:長年小学校教育に携わってきた経験からいうと、子どもが小学校生活に対して希望を持てるようにしてあげることが大切です。「小学生になったらたくさんお友達ができるよ」「今よりもっとお兄さんお姉さんになるね」「学校には楽しいことがたくさんあるよ」など、小学校へあがることへのワクワク感でいっぱいにさせてあげてください。小学校によいイメージを持つことが「学ぶことは楽しい」という気持ちにもつながります。
――勉強面でいうと、ひらがなや数字の学習はどのくらい進めておけばよいのでしょうか?
髙田:ひらがな全ての学習は小学校に入ってから丁寧に行うのですが、自分の名前の読み書きだけはできるようにしておきましょう。なぜなら小学校に入るとすぐに下駄箱やロッカーなど、自分の名前を読む機会がたくさん出てくるからです。また、学習プリントには自分の名前を書かなくてはならないからです。
数に関していえば、10まで数えられることと時計の数字を読むことができればいいと思います。まずはおやつやおもちゃなど身近にあるものを10まで数え、数に対する関心をわかせます。それが小学校に入ってからの算数への興味へとつながっていくのです。
――小学校に入ったら「1日10分机に向かう習慣をつける」と言われるそうですが、今から始めたほうがいいですか?
髙田: 1日10分ただ机に向かうことではなく、「1日10分集中すること」が大切です。たとえば虫が好きな子だったら1日10分虫について調べるのでもいいですよ。虫の名前を読めば文字の練習ができるし、何匹いるのか数えれば数の勉強にもなりますね。子どもの興味があることを引き出し、1日10分親子で一緒に集中できることに挑戦してみてください。
――時間の感覚を身につけたほうがよいとも聞きます。そのためにはどのようなことをしたらいいですか?
髙田:「もう時間だから起きなさい」「急がないと遅れますよ」「早く寝なさい」などいつも声をかけていませんか?これでは時間感覚は身につきません。
何時に起きるか自分で考えさせ、起こされずに自分から起きるにはどうしたら良いか考えさせることが大切です。親子で相談して目覚ましを自分からかけ、一人で起きることができたら親子で手を取り合って褒めること。何時に食べ終える、何時に家を出るなど、子どもに決めさせることで、時間感覚が育ち、主体性が育まれます。
この時間感覚が身につくと、それが子どもの自信となり、4月から始まる小学校生活への期待へとつながっていくのです。
私は現在、進研ゼミ小学講座において算数・思考力のカリキュラム・教材開発のアドバイザーとして参画していますが、教材などを通じて習慣を身につけるやり方もあります。たとえば来年入学をむかえる新1年生向け教材「チャレンジ1ねんせい」には、
教材のひとつにオリジナルの目覚まし時計があって、就寝30分前の呼びかけや時間通りに起きられたときに褒める機能が付いています。早寝早起きするのが楽しみになり、主体性、つまり「自分から」の習慣づくりに役立ちます。
――入学までに習慣が身につくか不安です……。
髙田:不安になることはありませんよ。
初めに言ったように、子どもには産まれた時から「主体性」があるのです。「これをやりなさい」と命令するのではなく、「これはどうやればいいと思う?」と子どもに問いかけます。子どもに考えさせ、主体性を目覚めさせます。そして子どもの行動を見守ることです。子どもが一人でできたら、うんと褒め、失敗したら一緒にうまいやり方を考えてあげることです。そんな親子の関りが、子どもの主体性を大きく育みます。
就学時健診ではトイレと下駄箱をチェック!
――もうすぐ「就学時健診」の時期です。見学の際にはどのようなところをチェックすればいいでしょうか?
髙田:トイレと下駄箱、できるなら下駄箱から1年生の教室までの道順をチェックしておきたいですね。
教室には現1年生の持ち物があるはずなので、どこにどうやって保管しているのかチェックできますよ。手提げバッグや防災頭巾などの大きさ、教室のロッカーのサイズも確認しましょう。
小学校のトイレは和式が多いので、慣れていない場合は入学前に和式トイレの練習をしておくと安心です。
入学まであと半年、親御さんには子どもの主体性を伸ばしてあげながら、楽しく自信をつけてあげられるキッカケを作ってもらえるといいと思います。
――子どもの主体性を信じること。学校生活が楽しみになるように、集中力を養い、そして励ますこと。貴重なお話を伺うことができました。ありがとうございました!
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