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斎藤工さんが語る『妖怪ウォッチ』映画版、親子観賞ならではの楽しみ方とは

12月17日(土)、妖怪ウォッチの劇場版アニメ第3弾となる『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』が公開されます。なんと今回はアニメと実写の融合という新しい試み。しかも実写版には斎藤工さん、山﨑賢人さん、武井咲さんといった超豪華俳優が出演されるそうです。そこで、ぬらりひょん役の斎藤工さんに作品の魅力や見どころについてうかがいました。

斎藤工 声優 妖怪ウォッチ 映画 インタビュー

──妖怪ウォッチへのオファーがあったときはどのように感じましたか?

河瀬直美監督と別の映画を撮っているときだったんですが、たまたま河瀬監督がお子さんを連れて前作を見たという話になって「号泣した」と仰っていたんです。アニメだけれど、人間の欲なども描かれていて大人が見てもいいものだと。その翌日にオファーがあって……必然性を感じました。

──コスプレも全開で普段の斎藤さんのイメージや役どころとは少し離れているようですが?

特殊メイクは2時間近くかかりました。外側を作ることで意識が高まる部分もありますが、役の湿度という意味では本来の自分とそう遠くないという気がしたんです。恥ずかしさはありましたが、いつものように、開き直るというモチベーションで臨みました(笑)。あとは、ぬらりひょんと山﨑くん演じるエンマ大王とは強い絆で結ばれているため、そのバディ感というか表に出てこない信頼関係がきちんと土台にあることは意識しました。

──撮影を終えた感想はいかがですか?

まず、完成形が想像できない撮影現場というのは新鮮でした。実写とアニメの合体、さらに実写パートでもジバニャンたちはCGということで、まさに今の時代だからこそ誕生した作品だと思います。

──斎藤さんが考えるこの作品の魅力・見どころを教えてください。

ジャンルでいえば「子ども向け」なのかもしれませんが、日本のクリエイターたちは子どもに「子どもだまし」が通用しないことを知っています。虚構のなかにも圧倒的なリアリティがなければ楽しんだり感動してもらえません。子どもって、子ども向けに作られたものよりそのなかに宿る大人向けのメッセージを大人以上にキャッチする力を持っていますよね。この作品にもそうしたものが強く刻まれています。喜びや悲しみ、怒りなどの感情やセリフがお子さんの心にどう刺さって何を感じるのか楽しみです。

斎藤工 声優 妖怪ウォッチ 映画  インタビュー

また、特殊メイクやコスプレにも一切の妥協がなく、作り手の気合いと気迫が表れています。だから付き合いでいく保護者の方たちも、入り口は「付き添い」であっても見終わったときには何かを得られる作品になっていると思います。親子で意見を交換したり感想を言い合ったりしてほしいと思います。子どもってそういう時間のことずっと覚えているんです。

アニメやキャラクター文化は今や世界に誇る日本のキラーコンテンツと語る斎藤さん。ぜひ親子で映画館に足を運んで、妖怪ウォッチの世界観を共有して欲しいですね。

映画通として知られる斎藤さんに「大人になるまでに見ておきたい一作」を推薦していただきました。

「う〜ん、むずかしいなあ」と悩みながら選んでくださったのはチャールズ・チャップリン監督・主演『街の灯』でした。

喜劇王で知られるチャップリンの作品は、ユーモラスなキャラクターやドタバタと繰り広げられるコントなど、いつの時代も子どもたちを惹き付ける要素いっぱいのコメディ映画です。でもそれはひとつの側面であり、世のなかにある理不尽、矛盾といった社会風刺や、人々の喜びや悲しみに寄り添った人間ドラマでもあるのです。

1931年に公開された『街の灯』もそのひとつ。チャップリン演じる貧しい放浪者による盲目の花売り娘への恋心と献身を描いた不朽の名作です。

「2年前の東京国際映画祭で『街の灯』が上映されたんです。日本人も外国人も大人も子どもも、みんながチャップリンの仕掛けに一喜一憂していて。そして終わったときは涙ぐんでいた人もいて、(ああ、まったく色あせていない)と思いました。そもそもサイレント映画なので言葉がないのです。つまり情報がない。見ている人は動きや行動で理解するしかないわけです。今はすべてにおいて情報が多いですよね。説明もあって、テロップもあって、見ている人はただそれを受け止めるだけでいい。でもサイレント映画だとしばらく何が起きたかわからない。そうすると人は想像したり、考えたりと自分たちから映画に向かっていくようになるんです」
古典作品となると敷居が高く感じられるのか、改めて見てもらえないことが多い。それはもったいないし、芸術ではなく娯楽作品なのだからもっともっと見てほしいと斎藤さんは言います。チャップリンの圧倒的な求心力が子どもたちを引き込み、笑いのなかにある人間の弱さやたくましさ、優しさなどさまざまなものに共感できるはずだと。斎藤さんおススメの『街の灯』、ぜひ親子で笑ったり想像したりしながら見てください!

最後に、子育て中のママたちへメッセージをいただきました。

なんと最近、空いた時間に友人夫婦の赤ちゃんのベビーシッターをされているという斎藤さん。「育児の大変さを実感している」としながらも、親には子どものためだけではない自分の人生を歩んでほしいと語りました。「ほったらかしでいい」「好き勝手やっていい」ということではなく、意識だけでもそうあってほしいと言います。
「子どもの年齢にもよりますが、あまりにも自分に親の意識がくると子どもはときとして重く感じます。親が自分の人生の主役として生きていると、子どもも自分の人生を生きようと精神的に自立をすると思うんです。ぼく自身もそうでした。だから親ではなく個として楽しむ時間を少しでも持ってほしい。親が楽しんでいる姿を見るのは子どもも楽しいものだと思います」

斎藤工 声優 妖怪ウォッチ 映画 インタビュー

『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』は12月17日(土)より全国東宝系でロードショーです。

公式サイト:http://www.eiga-yokai.jp/info/index.php

文・K.Awata 撮影・ 山口真由子

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