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<里子・養子の体験談>3歳から里親家庭で育った里子女性が語る「愛情の試し行動」とは?

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子どもを授かりたくても自然妊娠に至らなかったり、不妊治療をしても願いが叶わなかったり。夫婦だけで生きていくことを選択する人もいれば、「血の繋がりがない養子や里子を育てたい」と思ったりする人もいるのではないでしょうか。

しかし日本ではまだまだ養子や里子、そして彼らを育てる養親や里親の実情が知られる機会は多くありません。そうしたなか2026年2月7日、「里子・養子当事者のお話を聞く会」が行われました。里親や養子縁組の制度とともに、当事者のリアルな話をご紹介します。

里親制度・養子縁組を知るころには年齢が高くなっている

「里子・養子当事者のお話を聞く会」を開催したのは、里親や養子縁組について理解を深めることを目指す「多様な絆のかたちプロジェクト」。同プロジェクトは2024年、不妊治療に取り組む患者をはじめ不妊・不育で悩む人をサポートするセルフサポートグループ NPO法人Fine(ファイン)から立ち上がりました。

NPO法人Fineには、「産む以外の選択肢を考え始めた頃には年齢が高くなっていて、養子縁組を諦めるしかなかった」、「実子以外の選択肢についてもっと早く知っていれば」という声が数多く寄せられていたといいます。「親だけでなく里子や養子の方々の話を聞いてみたい」とのご希望があったことから、今回は里子や養子当事者のお話を聞く会を実施したそうです。

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養子と里子 法的な違い

そもそも養子と里子の違いを知らない人も多いかもしれません。どちらも、子どもが産みの親ではない育ての親のもとで暮らしていくことは同じですが、養子は養子縁組、里子は里親制度と、対応する制度が違います。

養子縁組

養子縁組は育ての親に親権があり、法的にも親子関係となる制度です。養子は戸籍にも記載され、実子と同じ権利や身分が永続的に続くことになります。実子と同じ扱いになるため、国や自治体から児童手当などはありますが、里親手当や生活費などは支給されません。

里親制度

一方で里親制度は親権が産みの親のまま、国や自治体から里親手当や生活費の支給を受けながら、一定期間を里親のもとで預かるという制度です。そのため育ての親とは法的な親子関係はありません。原則として18歳まで、進学の状況に応じて22歳を迎える年度末まで育ての親が代わりに養育する制度になっています。産みの親のもとに戻る可能性もあります。

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3歳から里親のもとで育った当事者の体験談

今回行われた「里子・養子当事者のお話を聞く会」には、生まれてすぐ乳児院に預けられ、3歳から里親のもとで育った大学生の小春さんが登壇。小春さんは初めて乳児院で里親と会ったとき、実の親でない人が自分を家族として迎えたいと思っていることを理解したそうです。そして「うちには子どもが二人いて、おばあちゃんも一緒に暮らしているんだけど、うちの仲間になりませんか?」と言われ、自分で「仲間になる!」と里子を選んだことを今でも覚えているのだとか。そして当時のことを「新しくこの家に入るんだ」というワクワクや緊張があったと振り返ります。そして当時自分が”選ばせてもらう”という行動がこれほど稀なことだとは思っていなかったものの、今思い返すと自分が育つ場所を選べたことに喜びや感謝を感じていることも語っていました。

「里親は本当に私を捨てないの?」という不安から試し行動へ

しかし里親のもとで暮らす生活がすぐ順調になったわけではありませんでした。当初は本当に仲間になれるのか不安だった小春さん。特に里母に対しては「私を捨てないの?」、「私のことを本当に愛してるの?」という思いから、ダメと言われたことをわざとやったり嘘をついたりと、愛情を試すことが多かったそうです。

確認行動を取り続け、小学校4年生のときには家出までしてしまいます。しかしそのときに泣きながら見つかるまで3時間自転車で探し続けてくれた里母、会社から慌てて帰ってきてくれた里父、そしてお姉さんを見た小春さんは、嬉しさと申し訳なさを感じます。この家出は、「私は本当に大切に思われて愛されているんだ」と感じられ、大きな不安から脱却できた出来事だったそうです。また里母と衝突しても里父が優しく見守り、小春さんが落ち着くために話を聞いてくれるバランスがよかったとも振り返っていました。

産みの親への思い、寄り添ってくれた里親家族

一方、産みの親に対して小春さんは、「いつ会えるのか」、「なぜ離れ離れになったのか」という複雑な思いをずっと抱えていました。しかし里親やお姉さんが「そう思うのは当然」、「私ならこう考える」と小春さんに寄り添ってくれたおかげで、気持ちが解放されていったといいます。その後、中学生のときに産みの親と面会。里親家庭が小春さんの気持ちに寄り添い、愛情深く育ててくれていたことから、当時産みの親に対する強い気持ちはなく、「大変だったのだろう」と理解できて気持ちに整理がついたそうです。

里子になった頃の自分に「安心して」と言いたい

里子になってよかったと思うことは「この家に来られたこと」と断言する小春さん。3歳のときに自分で里親家庭に行くことを選ばせてもらったこと、試し行動をしても向き合ってくれて、日々の生活でもたくさんの愛情を注いでくれたことから「私は人に恵まれている」と感じるそうです。周囲を見れば親だけでなく、姉たち、おばあちゃん、親戚、友達、近所の人たち、学校の先生などたくさんの人から愛されているとすぐわかる状態だったのに、それに気づけずに自分のことしか考えられなかった子ども時代の自分には「安心してと言いたい」と語っていました。

そして里親に対しては「いつもありがとうという気持ちと、ここまで諦めないで育ててくれたことに感謝しかないです」と素直な気持ちで締めくくっていました。

里子になった経緯は人によってさまざまですし、里親家庭の育て方も千差万別。しかし小春さんは自分でその家の里子になることを選んだことやどんなに試し行動をしても粘り強く自分に向き合ってくれたことなどから里親としっかり信頼関係が生まれ、今でも里親家族や親せきたちからたくさんの愛情を受けて育っていると嬉しそうに語っていたことが印象的でした。

文・AKI 編集・編集部 イラスト・猫田カヨ

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