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【東京都品川区 森澤恭子区長】第2回 区長でお母さん、「小1の壁」も経験。支援員の配置は必要

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ママスタセレクトが、東京都品川区の森澤恭子区長にインタビュー。今回は行き渋りや不登校についての話です。学校に登校はできても、教室に入ることが難しい子どもたちがいます。品川区では、そんな子どもたちが安心して過ごせるよう「校内別室指導支援員」を区立学校全校に配置し、別室登校の仕組みを整備しました。その背景には、森澤恭子区長自身が子育てで経験した「小1の壁」があります。

子どもが動けなかった朝。「小1の壁」を超えて気づいたこと

— 品川区では、2024年度から校内別室指導支援員(以下、校内別室)を区立学校全校に配置しました。これはどのような経緯で取り入れたのでしょうか?

森澤恭子区長(以下、森澤区長):校内別室では、登校することはできても、教室に入ることが難しい子どもたちを対象に、空き教室などを利用して、校内別室指導支援員が学習・相談支援を行っています。不登校児童生徒の増加などの課題に対しても、しっかりと予算と人員をつけて対応することが必要だと思っています。

— 区長ご自身も「小1の壁」を経験されたと伺いました。

森澤区長:ちょうどコロナ禍のときに「行きしぶり」になってしまって、毎朝、学校の教室まで私が送っていました。担任の先生に粘り強く声をかけてもらい、タイミングを見計らってやっと教室に入ることができるということが続きました。

— 親も先生も大変な場面ですよね。

森澤区長:まさにそうですね。わが子の「行きしぶり」の経験があるからこそ、「担任の先生1人だけでクラス全員の子どもたちを見るのは限界がある」と実感しました。実際に、他の先生がサポートに来てくれた場面もありました。先生以外にも支援をしてくれる人を配置することの大切さを痛感しましたね。

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区長であっても「お母さん」。ランドセルを持って一緒に登校も

— 区長としてお忙しい中でも、お子さんの学校へ行かれることはありますか?

森澤区長:行っていますよ。先日、子どもが骨折してしまって……。しばらく毎朝子どもを学校に送り届けるということがありました。ランドセルを持って一緒に登校したり、病院にも連れていかなければならなかったので、毎日けっこう大変でした。

— お仕事との両立、スケジュールのやりくりが大変そうです。

森澤区長:大変ですが、周囲の方々の協力のもと、何とか調整し、やりくりしています。一方で、現役世代や子育て世代の女性が後に続くよう、私自身が持続可能な首長像を体現できればと考えています。

— 保護者として、学校行事などに参加されたりもするのでしょうか?

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森澤区長:授業参観や保護者会にも参加しています。都議時代ですが、PTA活動にも関わりました。

— ちなみにご主人の子育てへの関わり方については……?

森澤区長:夫はとても積極的に子育てをしてくれています。なんなら、私より育児しているかもしれません。もちろん夫にも仕事がありますが、「できる人が、できるときにやる」というスタンスでお互いに支え合っています。本当にありがたい存在ですね。
— 実際に保護者として学校に足を運ぶ中で、「これは区の政策に活かせるかもしれない」と思うような気づきはありますか?

森澤区長:「区長としての視点」で見学すると学校に申し訳ないかなと思い、あくまで保護者の立場で関わるようにしています。ただ現場を見て他の保護者の方と話す中で、やはり「先生以外の人員をもっと増やした方がいい」と感じることはあります。区としても、校内別室指導支援員や発達障害教育支援員の配置など、先生以外にも子どもたちを支援する人材の配置に力を入れているところです。

※取材は2025年5月に行いました。

取材、文・長瀬由利子 撮影、編集・編集部

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