<奨学金批判>「子どもの学費を親が出すのは当然!借金なんてダメ」という考えの人に欠けている視点
子どもの教育費用の中でも最もかかると言われるのが大学の学費です。来るべき大学進学に向けて貯蓄を頑張っているママも多いでしょう。ママスタコミュニティには「学費負担は親の甲斐性」というタイトルでこんな投稿がありました。投稿者さんも旦那さんも「それぞれの両親がしてくれたように学費は親が出してあげたい」と考えています。
『赤ちゃんの頃から児童手当を満額貯めておくだけでもかなり貯まる。奨学金は将来への投資と綺麗事を言っても借入金には変わりない。返済がなければその分を自分の将来のために貯められます。奨学金を借りるにしても、本人が奨学金に納得していればいいけれど、新社会人の少ない給料から何年もかけて何百万円も支払う義務があるのは大変。Fラン大学のような入試難易度が低い大学を出ても奨学金を最後まで返せる? その後に結婚して夫婦とも奨学金ならダブル返済、さらに出産してから子どもの学費を貯める余裕はなさそう。そうなると次の代も奨学金借入。もし子どもが奨学金に納得しなかったら進路を諦めさせるしかない? 「子どもが社会人になって独り立ちするまではお金の心配はさせたくない、親の甲斐性なんだから」と旦那は言います』
子どもに奨学金を借りさせずに親の貯蓄だけで大学の学費を出してあげたいと考えている投稿者さん夫婦。子どもが奨学金に納得していればいいものの、そうでなければ希望する大学進路を諦めさせるべきだと綴っていました。この考えにママたちからはどのようなコメントが寄せられたのでしょうか。
だいたいの親が「子どもは勉強、親は貯金」と思っているのでは?
『だいたいの親がご主人のような考え方だと思いますよ』
『それが普通よ。奨学金について調べている暇があれば、子どもは勉強、親は貯金。プラスの連鎖でいきたいよね』
「子どもには奨学金を借りさせずに、親が頑張って働いた貯蓄で大学に進学させてあげたい」。現代で子育てしている親の多くはそう思っているでしょう。大学と言っても国立や公立なのか私立なのか、何学部かなどによっても学費はさまざま。また実家から通学するのか、1人暮らしをするのかでも親の援助金額は変わっていきます。ただ一般的にはやはり入学金や4年間の学費、毎月の仕送りで親としてはかなりの出費に。それもこれも子どもの行きたい大学や学びたいこと、将来の就職のために親としてしてあげたいことです。今回の投稿も「子どもが勉強に集中するためにも親は必死に学費を出すだけ」という考えを持っているママは多くいました。
よそはよそ、うちはうち!奨学金を借りる家庭を批判するべきではない
『児童手当を貯めてもたいした額にはならないよ。「児童手当を貯めておけば~」とか当然のように書いてあるのを読むとちょっと嫌な気持ちになる』
『奨学金の額は幅がありすぎて、借りるから悪、借りないからよしという話でもないと思う。借りずに済めばいいけれど私たちが大学生だった頃とは物価が違うからなんとも』
『結局奨学金を借りる家庭を叩いてるだけだよね。いいじゃない、本人たちが納得して借りるんだから。用意できるならしてあげたらいい。できない家庭もある』
一方で投稿者さんの投稿文に疑問を持っているママたちもいました。まず児童手当に関しては、生まれてから高校卒業時点まで貯め続けていたとしても200万円ほど。これで大学の入学金や4年間の学費をすべて賄えるわけではないでしょう。また令和6年度から制度が変わりましたが、それまでは所得制限もあって十分にもらえていない家庭があったのも事実です。また誰しもが健康でずっと安定した収入があるとは限りません。さらに大学の学費の値上がりや物価高などの影響から、自分たちが大学に行っていた頃と今が全く同じ状況ということでもないでしょう。投稿者さんの投稿文に「貯蓄できないのは親が悪い」、「自分の親にしてもらったようにできないのは甘え」といった否定の意味合いも込められていると感じているママもいました。奨学金を借りる家庭にも事情があり、その家庭で納得して借りているのであれば否定する権利もないでしょう。そうした家庭への配慮がないのでは? という意見も寄せられています。
「親が学費を出すのは当たり前」とわが子には思ってほしくない
『うちは夫婦ともに奨学金を借り、全額自分で完済しました。私は父が飲酒運転で自損事故を起こし、失業して保険もおりず、母は透析でそもそも働ける健康体ではなかった。親のせいと言えば親のせいだけど、大学に行きたければ自分でお金を工面すればいいと思い奨学金を借りました。旦那はきょうだい3人、すべて県外へ進学、奨学金を借りている。単身赴任世帯で祖父母の介護もあってとても学費の工面までいかなかった』
『うちは大学の学費までは親が出す考えだけど、他の家庭もそうあるべきなんて夢にも思わないよ。あなたたち夫婦がそういう考えならそれだけでいいじゃない。奨学金で進学することで貧困スパイラルから抜け出せる人だっているし、義務教育が終わったら自分の責任でという考えの人だっていると思う』
投稿者さん夫婦の考えはたしかに一理ありますし、自己責任論が共通認識となりつつある現代においてはスタンダードにもなりつつあるかもしれません。しかし前述のように子どもの未来や可能性をできるだけ潰さないように、経済的に厳しい家庭を救済するために奨学金は存在します。大学を卒業した後に返済することになったとしても、その奨学金のおかげで大学4年間の学びを得られるということで納得して奨学金を借りる家庭だってたくさんあるでしょう。大学進学の時点でお金が足りなくなって奨学金を借りたけれども、その後は親が返済するケースもあるかもしれません。投稿者さんの言うように「新社会人の少ない給料から何年もかけて何百万も支払う義務があるのは大変」というケースだけでもないでしょう。さまざまな家庭の事情があるわけですから、自分たち夫婦の考え以外の人を否定するようなことは口外しないほうが賢明かもしれません。一方で家庭の事情があっても行きたい大学に行くために自分の意志で奨学金を借りた、というママからの体験談もありました。わが子には「親が学費を払って当たり前と思ってほしくないから借りる予定もないけど奨学金の話もしている」と綴っており、自身の体験から大学進学の有難みをしっかりわが子に説いていることは素晴らしいですよね。大学の学費をどう工面するのかはそれぞれの家庭の考え方ですが、子ども自身の強い進学の意志を確認したり学費工面の大変さを教えたりすることもとても大事なのではないでしょうか。
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文・AKI 編集・佐藤さとな イラスト・Ponko
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