<お洗濯マイスターに聞く>洗えるダウンジャケットの上手な洗濯方法は?失敗リカバリーのやり方も
冬のアウターとして大活躍するダウンジャケット。使う回数は多いですが、「洗濯の回数は?」となると使う頻度に対して少ないように感じるのではないでしょうか。理由としては、自宅で洗えないことや自宅で洗えても適切な洗い方がわからないなどが挙げられそう。そこでライオン株式会社のお洗濯マイスター大貫和泉さんに、上手な洗濯の仕方をお聞きしました。
自宅で洗えるダウンジャケット、洗えないダウンジャケットの違いは?
ダウンジャケットといっても、自宅で洗濯ができるタイプと洗えないタイプがあります。この違いは生地が水に濡れても傷みにくいように加工されているかどうか。自宅で洗えるダウンジャケットは洗濯に耐えられるように、しっかりとした加工がされています。一方で自宅で洗えないダウンジャケットは、表地や裏地に自宅では洗えないウールなどの素材が使用されていたりします。そして中の羽毛に関しては、水洗いで傷みにくいような加工がされていないのです。さらに洗濯をすると型崩れや色落ちが起きたり、デザインによってはキルティングがほどけてしまったりする可能性もあります。

筆者撮影
自宅で洗濯ができるかどうかは洗濯表示に記載されていますから、必ず洗う前に確認しましょう。洗濯表示の「洗濯おけ」のマークに「×」の印がついていたら、自宅で洗濯はできません。逆に「洗濯おけ」や「手洗い」のマークがあれば、自宅での洗濯が可能。
自宅で洗えるダウンジャケットを上手に洗うコツ
ダウンジャケットは手洗いが基本です。洗濯機で洗った方が手間が省けて楽ですが、洗濯機の標準コースで洗うと中の羽毛が出てきてしまったり、型崩れの原因になったりする恐れがあります。では「おしゃれ着コースならいいのでは?」と思うかもしれませんが、その場合はダウンジャケットが水に浮き上がってしまうので、汚れをじゅうぶんに落とすことができないことがあります。また手洗いするときに使う洗剤は、おしゃれ着用の洗剤がおすすめです。
汚れが気になる部分は前処理をする
襟や袖口などの特に汚れが気になる部分は、洗濯の前に前処理をしておきましょう。おしゃれ着洗剤と水を混ぜて洗剤液を作り、それをやわらかいスポンジにつけて汚れている部分を軽く叩いておきます。やわらかい面とかたい面があるスポンジを使う場合にはやわらかい面で。かたい面でこすってしまうと生地を傷める可能性があるからです。
ファスナーは閉じる
ダウンジャケットのファスナーやボタンなどは閉じてから洗うと、洗濯中にひっかかって生地を傷めるのを防ぐことができます。またフードにファーがついていたら取り外しておきましょう。手洗いをする際も洗濯ネットを使うと、ダウンジャケットが広がらずに押し洗いがしやすくなります。
厚みがあるダウンジャケットは洗濯槽を使う
ダウンジャケットは洗面器や洗濯おけなどを使って手洗いをしますが、厚みやボリュームによっては洗面器などでは洗えないことも。そのような場合は洗濯機の洗濯槽を使うこともできます。

画像:ライオン株式会社提供
全体が浸かる程度の水とおしゃれ着用の洗剤を入れて、ダウンジャケットを浸しましょう。全体を上下に40回ほど押し洗いをします。もみ洗いをすると中の羽毛を傷めてしまうので、上下に優しく押すようにして洗います。
すすぎと脱水を2回繰り返す
洗い終わったら、洗濯機のおしゃれ着コースなどの弱流水コースで1分ほど脱水をします。その後で再び水をため、上下に優しく押し洗いをするようにしてすすぎをしてから弱流水コースで1分ほど脱水。この作業を2回繰り返します。

画像:ライオン株式会社提供
ダウンジャケットをふっくらと仕上げるためには、脱水の後に肩の部分を持って軽く振りさばいてからハンガーにかけて風通しのよい場所に干しましょう。そうして陰干しをして、ある程度表面が乾いてきたら、両手で挟んで軽く叩きながら中の羽毛をほぐしていきます。また乾燥機が使えるダウンジャケットもあるので、洗濯表示で確認しましょう。型くずれや生地の傷みを防ぐためには、低温設定での乾燥がおすすめです。タンブル乾燥禁止マークがあるものは、ダウンジャケットへのダメージになってしまうので乾燥機の使用は控えます。
自宅で洗えないダウンジャケット。ほんの少し汚れてもクリーニングに出す?
汚れの範囲が狭いならば、その部分だけをプチクリーニングするのもおすすめの方法です。プチクリーニングの方法は以下の通り。
1.おしゃれ着用洗剤を洗面器に溶かして、洗剤液を作ります(水4Lに対しておしゃれ着用洗剤10ml程度)。タオルを小さくたたんで端に洗剤液をつけ、かたく絞ります。洗剤液をつけたタオルでダウンジャケットの裏側などの目立たない部分を叩いて、色落ちしないかを確認します。
2.洗剤液をタオルにしみ込ませ、かたく絞ったら、汚れている部分に洗剤液をつけて軽く叩きます。
3.水をつけてかたく絞ったタオルで汚れた部分に水をつけて、洗剤を取り除いて自然乾燥をさせます。
洗濯表示の下に「水洗いは絶対にお避けください」という内容の記載がある場合、もしくは素材が絹、レーヨン、キュプラ、皮革の場合はプチクリーニングができないので注意してください。
ダウンジャケットを洗ったらぺしゃんこに。リカバリーする方法は?
自宅で洗えるダウンジャケットでも、実際に洗うとしぼんで、失敗してしまうこともあるかもしれません。そのようなときには、乾燥機にかけてふんわりさせることが可能です。ただしこの方法は乾燥機に対応するダウンジャケットの場合ですから、必ず洗濯表示を確認しましょう。タンブル乾燥が可能なものならファスナーやボタンを閉じて、低温で5分ほど乾燥させます。乾燥機が使用できないならば陰干しをして、途中で数回両手で挟んで軽く叩きながら中の羽毛をほぐしていきましょう。そうすることでダウンジャケットのふっくら感が戻ってきます。
洗えるダウンジャケットはクリーニングに出す手間やコストを抑えることができるので、着用している人もたくさんいるでしょう。まだ自宅で洗ったことがなかった人も、今回ご紹介したダウンジャケットの上手な洗い方を参考にして洗ってみてはいかがでしょうか。
取材、文・川崎さちえ 編集・ここのえ イラスト・猫田カヨ