<昔の基準は捨てて>幼稚園と保育園の違いはどこにある?子どもの成長に影響は出るもの?
働くママが子どもを通わせるのは、保育園。専業主婦のママが子どもを通わせるのは、幼稚園。以前であれば両親が日中、子どもの面倒を見られるかどうかで、登園先はおのずと決まっていました。しかし、現代は状況がやや違います。双方を一体化したこども園、一時預かりのある幼稚園など選択肢が多様化しています。
幼稚園と保育園、子どもの教育に差はつくのか?
『来年度から入園予定のわが子。保育園か幼稚園かを検討中です。幼稚園は月2〜3回、親が参加するイベントがあるそう。保育園の親の出番は、せいぜい年1回の運動会程度みたい。そんなにも違うのかと、びっくり』
ママスタコミュニティにあったコメントです。投稿者さんはお子さんが入園するタイミングで、仕事に復帰予定なのだとか。同僚たちはみんな保育園を利用しているそうです。
『子どもの教育にはどちらでも大差ないと聞くけど、絶対そんなことはないよね。親の目があるだけで虐待抑止になるし、親が園によく顔を出すほうが子どもは精神的に成長する』
希望するほうに通えると仮定して、保育園と幼稚園のどちらがいいのかというテーマは、ママスタコミュニティにもよくあがる話題です。どちらに通わせたかで子どもの成長に影響が出ることは、実際にあるのでしょうか。
出身園の影響はいつまで残るのか。ママたちの実感は
「小学校高学年になれば、どちらでも大差はない」「成長すれば、どちらでも影響がなかったとわかる」。これが、コメントをくれた先輩ママたちの実感です。
卒園したての入学当初なら、多少の違いはありそうです。よく見聞きするのは「幼稚園出身の子はおっとりしているけれど、保育園出身の子はたくましい」という話。保育園の子は園に長時間いる分お友達との関わりが密になるので、人間関係に揉まれてタフになるのかもしれません。幼稚園の子は家庭にいる時間が長いので、家庭からの影響が強く出そうです。しかし、これはあくまでも可能性の話。みんながそうであるとは、もちろん限りません。
『こちらの地域では断然、幼稚園出身が優秀な子の割合が多いよ』
こんなコメントもありました。
幼稚園を管轄するのは文部科学省。幼稚園は「小学校以降の生活や学習の基盤を培う学校教育のはじまり」という役割も担っています。一方の保育所(園)は厚生労働省の管轄です。保育所を「日々保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的とする施設」と定義しています。
「教育の場」と位置づけられている幼稚園と、「保育の場」と定義されている保育園。”優秀”かどうかは別として、「幼稚園出身の子のほうが勉強ができる」と考える人がいるのは、そのためかもしれません。
しかし、近年では教育的な活動に熱心な保育園も少なくないようです。コメント欄にもそうした園を紹介する声が散見しました。さらに2018年の「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」改正により、保育園も「幼児教育の一翼を担う施設」として積極的な位置づけをされています。
『入学時にはお勉強系や体操系など特色のある幼稚園から来た子は、ある一点においてずば抜けていることはある。でも半年もすれば、どちらの出身かなんて関係なくなるよ』
小学校教員をされている方からのコメントもありました。子どもは順応性の塊です。いわゆる”のびのび”園から来た子も、規律に厳しい園出身の子も、0歳児からずっと保育園で過ごしてきた子も。それぞれがそれぞれに少しずつ影響され、みんなあっという間になじんでいくようですね。
参考:厚生労働省|平成21年地域児童福祉事業等調査結果の概況:用語の定義
参考:こども家庭庁|保育指針解説(分割版) 保育所保育指針解説[1](第1章)
園の個性はさまざま。「幼稚園(保育園)だから」ではくくれない
投稿者さんは行事数を気にしていますが、「保育園にもお遊戯発表会、給食試食会、夏祭りなど多くの行事がある」と、ママたちが教えてくれました。仕事の半休などを使い参加するママやパパも多いようです。顔出しの頻度についても例えばバス通園の幼稚園に比べれば、朝夕の送り迎えで毎回親が顔出しする保育園のほうが、ある意味「頻度が高い」かもしれません。
『幼稚園より勉強や食育に積極的に取り組んでいて、人気の保育園があるよ』
筆者の場合は、わが子を私立園と公立園に通わせた経験があります。若い先生たちが多い私立園には当初「任せて大丈夫?」と不安もありましたが、ときにこちらが恐縮するほど丁寧に見てくれました。公立園はベテランの先生が中心で、園児数が多い分大まかな印象もありました。雰囲気はまるで違いましたが、それぞれのよさがありました。公立か私立かでも、それぞれに異なる個性があります。コメントにあったような強い特色を出している園であれば、なおさらでしょう。
先入観を捨て、その園なりの個性で判断しよう
投稿者さんの地域では選択できる保育園が公立はひとつしかなく、「親が参加できるのは運動会だけ」というのは、噂で知った情報なのだとか。一方の幼稚園には地域の親子が通園できる制度を使い、ひんぱんに訪れているとのこと。そのたび感じているあたたかな雰囲気が気に入り、たとえ仕事の有休が減ったとしても「子どもの成長のためには、圧倒的に幼稚園がいい」と思ったといいます。
『保育園の行事が本当に年に一度だけなのか、しっかり調べたほうがいい。保育園も同じように訪れてみれば、そのよさを発見できるかもしれない』
保育園についてもう少し調べてみては? とのアドバイスもあがりましたが、投稿者さんの心のなかではすでに「絶対に幼稚園」と決まっているようです。「幼稚園だから」という以前に、「気に入ったから」選んだのが、たまたま幼稚園だったのでしょう。ママが納得して通わせられる園のほうが、子どもの心も安定するのではないでしょうか。
行事の数や先生方の雰囲気、子どもとの関わり方などは、その園ごとに大きく異なります。幼稚園・保育園の2択ではありません。大事なのは、親と子がその時期をいかに気分よく過ごせるか。見学に行って先生方と話をしたり、先輩ママやご近所さんから情報収集をしたり。先入観ではなく、実際に感じた印象を一番の判断基準にしてはいかがでしょうか。
文・鈴木麻子 編集・みやび イラスト・Ponko
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