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スザンヌ:第1回 母と離れている時間は長かったけど、愛情が足りないと感じたことはなかった

いつも、ステキな笑顔で人の心を癒してくれるスザンヌさん。現在は3歳の息子さんと、ご自身が生まれ育った熊本を拠点に、タレント活動と育児を両立する日々を送られています。
シングルマザーとしてスタートした生活にも、だんだん慣れてきたというスザンヌさんの子育てについてのお話を、全8回に渡ってお届けします。
同じようにシングルで子育てしているパパやママにも、ぜひ読んでいただきたいお話をたくさんお聞きすることができましたよ。

■スザンヌさんは、その明るい笑顔が印象的ですが、「どんなふうに育ったら、こんなステキな笑顔で人と接することができるようになるんだろう」といつも思います。スザンヌさんは子ども時代、どんな女の子で、どのように育ったのでしょうか

スザンヌ

私は、母にすごく似ているんです。私の両親も私が2歳のときに離婚をして、それからは、私と母と妹の3人で暮らしていました。
小・中学生のころは、平日はおばあちゃんの家で過ごして、週末だけ母の家で過ごすという生活を送っていました。歩いて行ける距離ではあったんですけど、おばあちゃんとは別々に暮らしていたので、金曜に学校が終わったら母の家に行って、月曜は、学校が終わるとおばあちゃんの家に帰るという生活だったんです。
だから、私はめちゃくちゃおばあちゃん子なんですよ。

■小学生といっても、まだまだ甘えたい年齢ですよね。週末しかお母さんに会えない生活は寂しかったですか?

当時、寂しいと感じたことは一度もなかったです。
そんな生活をしていたから、母は週末必ずどこかに連れて行ってくれたし、私はそれがすごく楽しかったし嬉しかった。そういう気持ちは覚えています。

■寂しさを感じないというのはすごいですね! その生活の中でも、お母さまの確かな愛情を感じていらっしゃったということでしょうか

母と離れている時間は長かったんですけど、愛情が足りないと感じたことはなかったですね。
おじいちゃん、おばあちゃんもすっごく愛してくれたし、田舎住まいだったこともあって、すぐ近くに親戚も住んでいたし、通学路を歩けば、近所の大人がみんな挨拶をしてくれる。「私のことを気にしてくれる人がたくさんいるんだ」と感じられる環境で育ったので、寂しいと思うことがなかったのかもしれないです。
「お父さんがいなくて……」ということでも、悩んだことはなかったですね。

■それは、一緒に暮らしていた妹さんの存在も大きかったのでしょうか

妹とは2つ歳が離れているんですけど、小さいころはとても仲が悪かったんです。
漫画雑誌の『りぼん』ってあるじゃないですか、その角で殴り合うのも珍しくないくらいケンカばかりしていたんですけど、中学を卒業したあたりからすごく仲良くなりましたね。
今は熊本で生活しながら、妹にもたくさん助けてもらってます。「妹とふたりで育てているんじゃないか」と思うくらい、息子の面倒をよく見てくれているんです。
実は最近、その妹が結婚したので、妹に子どもが生まれるのを待っています。妹の子とうちの息子を、兄弟みたいに育てるのが夢なんです。すごく楽しそうじゃないですか?

■さきほど、「自分のことを気にかけてくれる大人がたくさんいる環境で育った」というお話がありましたが、そういう環境で育ったことについては、どのように感じていますか?

すごくよかったと思います。そう思うからこそ、今も同じような環境で息子を育てているのかもしれないですね。
今は、私の両親も仕事をしているから、両親にばかり息子を預けることはできなくて。
でもそんなときは、地元にいる私の同級生3人に、息子を預かってもらったりしているんです。みんなまだ独身で、家に子どももいないのに……。
お互いに家族みたいな存在だと思っているから、そういう関係が成り立つのかな。
血のつながりはないけど、すっごくよくしてくれて、その「家族」がいなかったら、私はきっとこんなふうに仕事をすることは無理だったと思います。

■ご自身が生まれ育った熊本を拠点に生活されていることが、子育てをする中ですごくいい環境を作っているんですね

スザンヌ

そうですね。これがもし東京だったら、一体どうなってたんだろうなと思います。家賃は高いし、保育園とかも大変だし。自分が生まれ育った熊本で、息子を育てられるのはすごくよかったです。

■ですが、スザンヌさんが熊本での生活を始めてすぐに、熊本地震があったんですよね。大変ではありませんでしたか?

私、地震があった当時はちょうど福岡にいたので、揺れは経験していないんです。でも、帰って家の中を見たら「これは、すごかったんだろうな」と思うほどひどかったです。
息子はまだ2歳だったので、地震のこともそれほど覚えていないみたいなんですけど、小学生のお子さんとかは、ひとりでトイレに行けなくなってしまったという子もいましたね。
私たち家族もしばらく避難所生活をしていて、ようやく自宅に帰れたときにはホッとしたけど、未だに帰れていない人もいたりしますし、ああいうときに、「絶対」ということはないんだなと思いました。
地域の人とのコミュニティの大切さがわかったし、本当に大事なものが見えてきますよね。

■とくに、どんなことが大事だと感じましたか?

20代の男の子たちが、「○○さんの家のおばあちゃんが避難所にいないからみてきます」と言って、荷物を取りに帰ったまま戻ってこないおばあちゃんを探しに行ったんです。帰宅して寝ているときに余震があって、家の中に埋もれていたおばあちゃんを、その男の子たちが背負って避難所に連れ帰ってきました。
どこに誰が住んでいて、誰がいない・いる、ということを把握できているコミュニティってすごく大事だなと思いました。「自分の存在を人にわかってもらう」というのは、災害が起こったときには、本当に重要なことなんだと。だから地震のあとは、ご近所同士の挨拶や会話もさらに増えましたね。
あとはやはり、 “いざというとき”について考えておくことも大事だなと実感しました。


熊本を拠点に生活されているのは、ご自身が育った環境で受けたよい影響があったからだと話すスザンヌさん。都会では得られない濃いコミュニティは、子育てをする立場としてとてもうらやましく感じました。
次回は、スザンヌさんが芸能界を目指したころのお話をおうかがいします。

(取材・文:上原かほり 撮影:chiai)