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8年間不登校に私がした「3つのこと」その後、わが子はどうなった……?

子どもが学校に行けなくなったとき、真っ先に不安になるのは子どもの進路、そして将来のことなのではないでしょうか。学校に行けないのは我が子だけではない。そう頭で理解できても、実際のところ不登校を経験した子どもたちが、その後どんな人生を歩んだのか知りたいと思うのは、親としてごくごく自然なことのように思います。

わが家の息子は、小2の初夏から学校に行かなくなり、それが中学校3年生まで続きました。途中、学校内に設置された通級指導教室を利用したり、自治体が運営する適応指導教室に通った時期もあります。民間のフリースクールもいくつか見てまわりましたが、自宅からの距離や経済的な点を考慮した結果、利用するには至りませんでした。その後、本人の希望で定時制の高校を受験。なんとか合格し卒業。今は自分の夢に向けての準備を進めているところです。

ずっと手探りだった子育て、何が正解で不正解だったかはまったくわかりません。ただ100人のお子さんがいれば100とおりの関わり方があるというのが、今、思うこと。我が家では、息子がのびのびと成長していくために大切にしてきたことが3つあります。1つめは社会との壁をつくらないこと、2つめは自宅における学習の捉え方、そして3つめが身体を動かすこと・自然に触れること。今回はその3つについてご紹介できればと思います。

【1.社会との関わり】「学校に来ないのに遊びに行くなんてズルい!」

クラスの教室には入れない息子でしたが、小2の段階で仲のいいお友だちが数名できていたので、運動会や遠足などの行事ごとには、ときどき顔を出していました。放課後や休日に家を行き来して遊ぶことも多く、学校に行っていない息子にとってとても楽しい時間だったようです。ただ、その様子を見た同級生から「学校には来ないのに遊びに行くなんてズルい!」と言われることもありました。どう返事をしていいものか息子も戸惑ったようですが、それも貴重な経験ですよね。お友だちのひとことは、子どもらしい率直な意見だったなあと今でも思います。

社会との壁を自分からつくらないこと

8年間学校に行かなかったわが子のその後、不登校に悩んだ私が意識してきたこと1
ただ個人的には、学校に行けないからといって家に閉じこもる必要はないのではと思っています。学校に行けないことを恥ずかしいことだ、ダメなことだと親が思ってしまうと、途端に社会との間に壁ができてしまう気がするのです。それがまた自分たちを苦しめてしまうことになる。また学校に行かないと経験できないこともある一方で、学校に行かないからこそ経験できることもたくさんあります。図書館にこもって絵本を読みまくるときもありましたし、自宅で料理三昧、お菓子作り三昧の時期もありました。「勝手に社会科見学」と称して、さまざまな場所に連れていくことも意識しました。

地域の人やママ友からどう思われるのか、私としては賭けでもありましたが……。平日の昼間であっても、できるだけ堂々と出かけるようにしていました。結果的には私が想像していたようなトラブルは起きることなく、多くの人が好意的で、そっと応援してくれていたように思います。

【2.自宅における学習】学校と同じように勉強を教えられない

我が家の息子の場合、自宅で机に向かうことはほとんどありませんでした。学校からもらうプリントやドリルもほとんど手つかず。読み書き計算のような基礎的な学習だけは身に着けてほしいと思いつつも、何度かトライして私自身が挫折しました。ママのタイプによると思いますが、私は子どもの学習をサポートする能力はなかったようです……。仮に子どもに勉強を教えることが重要だとしても、そのためにお母さんがカリカリしてしまったら、子どもは居場所がなくなってしまう。そんなことも感じた経験でした。

なんのための学習なのかを考えてみた

そこで机上の学習はほとんどしない代わりに、生活の中で教えられることはないだろうかという視点にシフトチェンジしました。たとえば料理をする際に「g」「cc」などの単位を使って計算してみる。漫画の中で読めない漢字が出てきたら、一緒に辞書で調べるなど。効率的ではなかったかもしれませんが、いかに本人が意欲を持って取り組めるかを試行錯誤したように思います。パソコンも積極的に使わせて、疑問が出てきたら自分でインターネット検索をしてみるということもやらせていました。「学校での学習に遅れないため、ついていけるため」でなく、「この先の人生を生きていくため」の力をつけようという視点を持って関わることにした時期です。

【3.身体を動かし自然に触れる】体験の中から将来の夢が見つかった

学校に行かないということは、それだけ外に出る機会が少ないということでもあります。つまり身体を動かす機会が少ないということ。そうすると、どうしても運動不足になってしまいますし、その結果、眠りが浅くなることも多いです。四六時中、親子でいっしょに過ごすこともなかなかのストレスですから、やはり家にこもりきりにならないというのは大切ですよね。

平日は買い物に出たついでに公園で走り回ったり、庭で縄跳びをしたり。週末、夫が休みのときは家族で野球をしたりバドミントンをしたり。また自然と触れる機会を増やしたくて、海や山にもよく出かけていました。我が家にとっては貴重な理科の時間(笑)。パパと息子2人だけで行った、ちょっぴりハードな山登りも今となっては良い思い出になっているようです。
8年間学校に行かなかったわが子のその後、不登校に悩んだ私が意識してきたこと2

体験の中から生まれた「この道に進みたい」

そんな風にして過ごす毎日のなかで、息子がいちばん夢中になったのは料理でした。はじめは台所で私が料理するのを見ているだけだったのですが、次第に手伝ってくれるようになり、そのうち自分ひとりで調理できるようになり……。その頃から、いろいろなお店の味を知りたいと食べ歩きをするようにもなりました。今では地域のお店だけでは飽き足らず、日本全国のお店に足を伸ばしています。そこで知り合った店主さんやお客さんと仲良くなることも多く、日本各地に知り合いがいてビックリ! そして現在、彼の夢である飲食業に就く準備を進めている真っ最中です。

自分たちが選んだことが正解

学校に行かない息子と関わってきた日々は、振り返ると、正直しんどいことのほうが多かったです。「なぜうちの子だけ?」「どうして我が家だけ?」その環境を恨めしく思った時期もありました。苦しいのは子ども自身だとわかっていても、親だって辛い。いくら「親がしっかりしなくてどうする!」と言われたところで、そんなにすぐに肝っ玉母ちゃんになれるわけではないのです……。そういう意味では、息子の不登校という経験を通じて、私は親として成長させてもらったんだなあと思うわけですが。

あるとき「学校に戻すための生活」から「息子の人生を創造するための生活」に切り替えたのがターニングポイントでした。言葉を変えれば「学校に戻ること、戻すこと」をやめたということでもあります。それがどの子にとっても、どのご家庭にとっても正解だと言いたいわけではありません。ただ我が家の場合は、そう視点を切り替えることで毎日がずいぶんとラクになったのです。

「生き生きと、その子らしく生きてほしい」それが親から子への最大の望みだとしたら、そのゴールへと至るプロセスはもっといろいろあっていい。学校に行くことでそれが叶う子もいれば、学校に行かないことで叶う子もいるのではないでしょうか。家で過ごしつつ、のんびり学校と付き合っていくことが合っている子もいますよね。

不登校に限らず、ついつい「これは正しいか正しくないか」で考えてしまいがちな子育て。自分自身のことではないからこそ、悩んでしまうママたちの気持ちが痛いほどわかります。

でも、そもそも子育てに正解ってあるんでしょうか……。今の私は、悩み苦しむ時間のすべてが貴重な人生経験となり、その子の強さやたくましさ、優しさへと変換されていく気がしています。「自分たちが、今、選んだことが正解」そう信じて過ごしていけたらいいなと思う毎日です。

文・編集部 編集・しらたまよ イラスト・Ponko

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