海の近くに住んでいなくても、津波のことを知ってほしい〜東日本大震災体験記〜
災害は、いつどこで起こるかわかりません。もしも海の近くにいるときに地震が起きたら、あなたはどうしますか?
2011年3月11日、東日本大震災で1万5895人(2019年3月8日時点)の人が亡くなりました。そしてそのうちの9割もの人が、津波の犠牲になりました。日本はぐるりと海で囲まれた島国。「海の近くに住んでいる人だけの話」と思わず、地震と津波のことを少し考えてみませんか。
仕事で海の近くへ行ったときに被災した後輩の体験
筆者が当時勤めていた会社の後輩は、その日、岩手県沿岸部にある取引先の営業所を訪問していました。そして大きく長い地震に遭いました。
揺れが収まると先方の所長さんが「すぐ避難する。私が先導するから必ず付いて来なさい」と言い車で走り始めました。何度か訪問したことのある営業所とはいえ、土地勘があるわけでもない後輩は、ただ事ではない所長さんの気迫に驚き、車を発進させました。途中から背後に高い波がくるのが見えたり、ものすごい音や悲鳴が聞こえはじめ、とんでもないことが起きているとわかり、必死に所長さんの車を追いかけ続けました。気がつくと高台にある学校に着いていたそうです。「ここまで来れば大丈夫」と所長さんに言われ、車の外へ出た後輩は眼下に広がる海を見たそうです。
内陸部に生まれ育った後輩は、地震と津波がすぐには結びつかず「もし1人でいるときだったら、逃げられなかった」と“あの時のこと”を振り返り話してくれました。
津波から助かったママの体験
東日本大震災では10メートルを超える波が東北沿岸部を襲いました。どこまで逃げれば安全なのか、誰にもわからない想定外の津波。必死に逃げたママから、ママスタコミュニティに当時のことを伝えてくれるコメントが寄せられました。
『流された人は「油断があったんじゃないか?」って思う人もいるかもしれないけど、そんなことない。高台がない場所もある。あってもそこにたどり着くのが困難。道は崩れてきた建物や物で車は通れない。回り道して通れる道を見つけても渋滞。そのうち道路に水が入り始める。やばいと思って車から降りて走る。必死に走っている間にも水位はどんどん上がっていく。私はビルの3階まで逃げた。波はビルの2階まで丸呑みにした。3階まで上がれず、助けを求める何人もの声が聞こえたけど助ける方法がないの』
『海の近くで地震がおきたら、できる限り高いところに逃げなよ! みんながここに避難しているから大丈夫だって思わないで。私が住んでいるところは市民会館とか避難場所とかが丸ごと波に呑まれたんだから。市民会館の屋上にいた人が、遠くから波が迫ってくるのを見て「屋上に逃げろ!」って叫んだ。でも登ってきたのはたったの10人前後。ほかの200人ぐらいは全員流されて亡くなった』
まさかの時のために、命の守り方を伝えてほしい
震災から8年の歳月が経ちますが、今も悲しみや苦しみを抱えて生きている人がたくさんいらっしゃることと思います。
筆者が住む秋田県では、もう30年以上前のことになりますが、内陸部から遠足で海岸に来ていた小学生13人が津波で命を落とした日本海中部地震(1983年5月26日)のことが語り継がれています。楽しみにしていた遠足で起きてしまった悲劇。地震がいつ起きるか予測するのは難しいことです。島国の日本では、まさかのときのために地震が起きたら津波が来ると知ることは大切だと思うのです。そしてママは我が子に教えてほしいと思います。「海の近くで地震が起きたら、津波が来る。できるだけ高いところへ全力で逃げなさい」と。
文・間宮陽子 編集・山内ウェンディ
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