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失敗したくない幼稚園・保育園選び。チェックすべきポイントは?

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幼稚園・保育園選びは親が子どものためにする、はじめての大きな「選択」のひとつですよね。働くママにとっては「保育園選びは、入れることが最優先」で、選ぶ余裕さえないのが実情かもしれません。ただ幼稚園やこども園、可能であれば保育園……と若干の選択肢がある場合、どんな基準で選べばいいのか、いつから何をすればいいのかで迷うことはありませんか?
書籍『子どもがすくすく育つ幼稚園・保育園』著者のひとりである猪熊弘子さんが、そんなママたちの疑問に答えています。

来年4月からの保育園入園を考えるなら、今すぐ動きはじめよう!

来年4月に入園を考えている家庭では、早くも動き出しているところが多いかもしれませんね。夏から秋口にかけて、見学をはじめる場合が一般的のようです。ちなみに保育園の場合は入園時期が4月からと限らないため、妊娠中から見学をはじめている人も珍しくないのだとか。

『地域や施設によっても違いますが、幼稚園は9月・10月に説明会を行い11月1日から申し込み開始となるのが一般的。認可保育園は自治体によってかなり差があるのですが、11月ごろには申し込みがスタートするところもあります』

と、猪熊さん(以下同じ)。

両親が共働きだったとしても、「保育園より幼稚園のほうがよいのでは」という声を聞くこともあります。実際「◯◯式教育」など、幼稚園のほうが特色を打ち出している場合が多い気がします。猪熊さんによれば

『今でも”幼稚園は教育、保育園は保育”と考える方がいるようですが、じつは教育的な狙いはどこも同じです。”遊びを通して学ぶ”ことを目指すことになっています。いずれにせよ大切なのはその教育の中身です。「◯◯式」などと呼ばれる早期教育や英語での教育などは親を満足させるものではあるかもしれませんが、幼児の発達から考えるとむしろ逆効果になることも。一概にはいえないと思います』。

さらに見学の大切さについても、語っています。

『できれば申し込み前に行ったほうが安心です。なぜなら、子どもの育ちや命がかかっているから。中には質に問題のある幼児教育・保育施設があるかもしれません。幼稚園でも保育園でもこども園でも、公立でも私立でも、認可でも無認可でも、すべて同じ目線で見学することをおすすめします。保護者ができるかぎり自分の目でその保育の場を見て、そこから判断してほしいと思います』

【見学時に確認しておきたいポイント】
・保育室の中
子どもたちがおもちゃなどを出して多少雑然としていても、基本的にきれいに整えられそうじが行き届いていれば合格。

『床や棚などが汚れていたり、保育に使うものや絵本などの整理ができていない園はよくありません』

・先生方の様子
先生が目を合わせてあいさつしてくれるかどうか、それから先生の声が大きすぎないこと。

『子どもの声でなく先生の声だけが聞こえる園は、子どもたちを従わせる教育をしている可能性があります。子どもたちが萎縮せず、のびのび過ごせているかどうかも確認してください』

・建物や立地
建物自体は古くても、耐震基準をクリアしていれば大丈夫。最近は園庭のない園も多いですが、毎日身体を動かすことは子どもにとって大切なことなので、できればあるほうが望ましいようです。

『とくに都市部では保育園が不足しているため、新設園が次々にできています。電車や道路の高架下、雑居ビルの1階など以前なら認可されなかった場所にできることも。当然ですが子どもは”もの”ではありません。”箱”を作ってどんどん入れればいいというものではないのです。高架下では騒音、雑居ビルでは日照や災害時の避難も心配です。大きな道路に面している場合は、事故のリスクも増えます。しっかり確認しておきたいものですね』

激戦を極める保育園入園。でも「入れれば、どこでもいい」は間違い

働く女性が増えた今、年々入園が難しくなっているのが保育園です。「選ぶ」などとぜいたくなことは考えられず、仮に入れる園があるとしたら迷う余裕さえなさそう。ただ、「それでもちゃんと事前に確認を」と猪熊さんは言います。

『大切なお子さんに、何かが起きてからでは遅いのです。自宅に近いという理由だけで決めるのではなく、一度は子どもの目線で考えてください。親が働くために便利な施設か? ではなく、そこで過ごす子どものためになることを考えてほしいのです。保育施設は、子どもが毎日長時間過ごす場所です』

人気が高いのは、やはり認可保育園や認定こども園です。それだけに競争率の高さはかなりのもの。

『育休延長が可能なら、思い切って休むというのも選択肢のひとつです。また、認可外を選ぶ場合には、まず東京都でいえば認証保育園など自治体の助成で運営している園を調べてみては。完全な認可外施設を調べるのは、その後でよいと思います。最近では企業主導型の認可外保育園も増えてきました。認可外でもよい保育園はありますが、残念ながら認可よりも事故が多いのは事実。しっかり確認することが大切です。評判の悪い園というのも、存在します』

インターネットで情報を調べるだけでなく、実際に近所の人に尋ねてみることも大切だそう。猪熊さんご自身もお子さんが待機児童だった当時には園の前まで散歩に行き、リサーチしてみたのだとか。

『夕方早め4時くらいに園の前に散歩に行き、お迎えが終わって出てきた保護者の方に「この園に入りたいのですが、どんな感じですか?」と聞いてみました。口コミは意外と参考になりますよ』

もしも猪熊さんが会社員で待機児童を今抱えているとすると、まずは育休延長を検討するのだとか。育休延長がむずかしければ、自治体の責任が重い順にあたっていくそうです。

『つまり認可保育園→認証保育園(東京都の場合)→企業主導型など→完全な認可外という順番ですね。見学に行くのはもちろんですが自治体や都道府県の福祉局事務所のサイトで公開されている、立ち入り調査や第三者評価の記録を見ます。とくに認可外の立ち入り調査で、くり返し同じ不備を指摘されている園はよくありません』

子どもが3歳以上なら、幼稚園の預かり保育という選択肢もあります。パートなどで労働時間が比較的短いママには、利用しやすい方法ですね。その場合は給食のあるなし、土曜日や長期休暇の保育についてなどを具体的に確認しておくのがベターです。

幼稚園の申込みがスタートするのは、毎年10月初旬か、もしくは11月初旬が一般的です。ぎりぎりになってあわてないためにも、今から早速見学を申し込むなどできるだけ早めに動き出したほうがよさそうです!

猪熊弘子(いのくま ひろこ)さん

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1965年横浜市生まれ。ジャーナリスト、名寄市立大学特命教授、東京都市大学客員教授。お茶の水女子大学大学院 博士後期課程(保育児童学領域)在籍中。教員免許(中高)、保育士資格所持。

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猪熊弘子 寺町東子 著 『子どもがすくすく育つ幼稚園・保育園』 1,490円(税込) *電子書籍版あり

 

文・鈴木麻子 編集・しらたまよ

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