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「いじめをする子は友達のことを殺しているのと同じ」。大人気絵本作家のぶみさんが小学校で「いのちの授業」を実施

『ママがおばけになっちゃった!』『ママのスマホになりたい』など、これまで手掛けた本の累計発行部数が100万部を超える大人気絵本作家・のぶみさん。最新作『いのちのはな』の絵本をたずさえ、都内の小学校で「いのち」について考える授業を行ってくれました。

「子どもの頃、いじめられて2回死のうと思った」と話すのぶみさんは、子どもたちの前でどんな話をするのでしょうか。つらい経験を乗り越えたことから生まれた絵本『いのちのはな』は、子どもたちの心にどのように響くのでしょうか。当日の様子をレポートします。

これまでに書いた絵本は170冊。テレビ番組で人気のあのキャラクターも!

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やってきたのは、東京都中央区にある月島第三小学校。1、2年生197人の子どもたちの大きな拍手に迎えられて登場したのぶみさんは、大きな声で自己紹介をしました。

「こんにちは。絵本作家の“のぶみ”と言います。170冊も絵本を書いています」と話すと、子どもたちから一斉に「すごーい!」の声!

「『おかあさんといっしょ』のげんしじんちゃんのアニメーションを作ったり、『ぼく、仮面ライダーになる!』『ママがおばけになっちゃった!』などの本も書いたりしています」という言葉と一緒に、体育館のスクリーンに絵本が映し出されると、子どもたちから口々に「知ってる!」の声が! 絵本を読む前から子どもたちの気持ちをばっちりつかんじゃうあたり、さすがですね!

拍手に足踏み、大笑い! 子どもたち大興奮の読み聞かせタイム

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最初に読んでくれたのは『よわむしモンスターズ』。

のぶみさんが「大変、よわむしモンスターズがやってきた! 助けてくれる人、手をあげて!」と絵本のセリフを呼びかけると、子どもたちは元気に「はーい!」と返事。拍手したり、立ち上がって足踏みしたりと、楽しくてたまらないといった様子です。

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ほかにも、うんこが主役の絵本『うんこちゃん』や、子どもたちのワガママに怒ったママが家出をしちゃう話『ぼく、仮面ライダーになる!エグゼイド編』を読んでくれました。そのたびに子どもたちはおなかをかかえて笑ったり、呼びかけに返事をしたりと、すっごく楽しそう!

どんどん絵本の世界に引き込まれたところで、大事なお話が。今回のテーマは「いのちの授業」ということで、のぶみさんは最初にこんなお話をされました。

のぶみさんが「いのちはどこにある?」と問いかけると、子どもたちは自分の心臓を押さえて「ここ!」と答えてくれました。さらに「心臓を止められる人、いる?」という質問には「いない」と首を横に振って答える子どもたち。「そうだよね。心臓は自分で止められないなら、神様のものかもしれないね。神様に喜ばれるように生きたらいいね」。子どもたちはのぶみさんの話にじっと耳を傾けています。

いじめがつらくて二度も自殺を考えた過去

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小学生時代、ひどいいじめを受けたのぶみさん。服を脱がされたり、プロレス技をかけられて、とってもつらかったそうです。あまりにもつらくて二度も自殺しようと思ったほど。学校の先生に言っても、お母さんに言っても助けてもらえない。だから自分で考えるしかなかった……。

のぶみさんは言います。

「いじめをすることは、友達を殺してしまうことと同じなんだよ。だっていじめられた子は死んだような表情になってしまうでしょ。それはその人のことを殺していると同じなんだよ」。

「死ぬ前に、いじめたやつを1発殴ってやりたい」と考えたのぶみさんは、その日から毎日腕立てと腹筋を100回ずつやったそう。その結果、1年で胸板が厚く体が大きくなり、もういじめる子はいなくなりました。

「あきらめない心」を育てる魔法の絵本『いのちのはな』

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つらい経験を乗り越え絵本作家になるという夢を実現させたのぶみさん。そんな自身の人生を反映させた絵本『いのちのはな』が11月9日に発売されます。今日は、特別に子どもたちの前で読んでくれることに!

ある日、お母さんからチューリップの球根をもらったかんたろうですが、翌日から病気になってしまい、お世話ができなくなってしまいます。なんとか花を咲かせようと水を求めて根を伸ばすチューリップのプー。それを見て励ましてくれる友達もいれば、意地悪なことを言う友達もいます。プーは無事花を咲かせることができるのでしょうか。

読み聞かせを聞く子どもたちの表情は、真剣そのもの。さっきまであんなに元気にはしゃいでいたのがうそのように、みんな静かにお話に耳を傾けています。読み終わったあと、のぶみさんは「つらくてもそれを乗り越えることで、今輝けるんだよ」と力強いメッセージを伝えてくれました。

「のぶみさんみたいに強くなりたい」。腹筋40回する子も

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話を聞き終わった子どもたちは、のぶみさんからチューリップの球根を受け取り、それぞれ持参した鉢植えに植えます。そして、チューリップに自分の好きな名前を付けてあげました。

「いのちの授業」を受けた子どもたちは、

「『よわむしモンスターズ』の絵本で拍手したり、足踏みしたりして、とっても楽しかった!」

「『いのちのはな』でバラのバーバラーが意地悪なことを言っているのがいやだった」

「バーバラーのように、友達にいやなことを言われて傷ついた」

と、それぞれ感じたことを話してくれました。また、家に帰ってから

「のぶみさんはいじめれたときに毎日100回腕立てと腹筋をして強くなったんだって。僕も毎日40回やる!」

とお母さんに伝え、腕立てと腹筋を始めた子もいたそう。のぶみさんの話を聞いて、子どもたちなりにしっかりと受け止めてくれたのでしょうね。

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『いのちのはな』の絵本をきっかけに、家族や友達、学校で「いのち」について考えてみませんか。

 

取材、文・間野由利子

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