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“いのち”の大切さについて考えるキッカケに「6さいのおよめさん」

6さいのおよめさん

「6さいのおよめさん」
作:鈴木中人 絵:城井文

■お父さんの思いがいっぱい詰まった絵本

『6さいのおよめさん』は、ケイコちゃんのお父さんである鈴木中人さんが書いた絵本です。

ケイコちゃんは元気な女の子。弟のこうちゃんと遊んだり、保育園のお友達と遊ぶのが大好き。元気だったケイコちゃん、このごろちょっと様子がへんです。遊んでいてもすぐに座りこんでしまいます。心配になったお母さんが病院に連れていくと、小児がんだということがわかりました。

■ケイコちゃんの夢はお嫁さんになること

絵本の始まりは、ケイコちゃんが小児がんの治療のために毎日痛い注射をがんばっているところから始まります。ケイコちゃんは、通っている保育園で髪の毛が抜けたことを友達に「変だ」といわれても「わたし、いたい注射もがんばって、強いんだよ! 大人の歯だってあるから」といえる明るくて賢い女の子。

そんなケイコちゃんの夢は、かわいいお嫁さんになること。仲良しの看護士さんの結婚式を見たケイコちゃん、「わたしと結婚する人はどこにいるんだろうね」「会いたい。けどちょっと、はずかしいね」と、お父さんと2人てれ笑い。

残念ながらケイコちゃんは、6歳になった夏の日、天国に旅立ちました。

ケイコちゃんが亡くなって何年もたってから、お父さんはケイコちゃんとの思い出を話してくれるたくさんの友達に、大切なことを気づかされます。

「ケイコちゃんは、今も一緒なんだ。その大切なことを伝えていこう!」と思ったお父さんさんは、会社を辞めて「いのちの授業」を始めることに。

小学校や中学校、高校などに出向いて、「いのちの大切さ」について話しています。

「“いのち”は当たり前にあるんじゃない。きせきなんだよ。むだな“いのち”なんて、一つもないんだよ。生きるんだ。

もし、あなたがいなくなったら、みんながどれほどなみだを流すか。とくに、お父さん、お母さんは、血の涙を流すんだよ。だから、どんなことがあっても、お父さん、お母さんより、絶対早く死んではいけない!! “いのち”を大切にしようね」

ケイコちゃんのお父さんは子どもたち一人ひとりに語りかけ、ケイコちゃんのいのちは子どもたちにバトンタッチされていきます。

■ケイコちゃんの“いのち”は絵本を通じてバトンタッチされていく

いろんな思いがまじりあい、涙なしに絵本を最後まで読むことができないかもしれません。でも、絵本を覗きこむようにしてお話を聞いていた子どもたちは、読み終わったあとはニコニコ。「ケイコちゃん、注射がんばってたね!」「雲に寝そべって気持ちよさそう! 今日も空からお父さんやお母さん、こうちゃんたちのこと、見ているのかな?」「今度の日曜日、シャボン玉しようね。ケイコちゃんが遊びに来るかもしれないよ」と、いろんなことを話してくれます。直接ケイコちゃんには会ったことはないけれど、ケイコちゃんのいのちは絵本を通じて、たくさんの子どもたちにつながっていくのだと感じた瞬間でした。

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■「いのちの授業」を通して生きることの大切さを伝えたい

ケイコちゃんが亡くなった日、2歳下の弟のこうちゃんは冷たくなったケイコちゃんの両足をつかんで、「お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん……」と、ずっと泣きながらケイコちゃんのことを呼び続けたそうです。

こんなに小さな子に人の死を見せるべきではないのではないかと思う大人がいるかもしれません。しかし、ケイコちゃんのお父さんの鈴木中人さんは

「大丈夫です。子どもは子どもなりに、必ず意味づけてくれる。いのちは自分だけのものじゃないんだよ。だから大切にしようね。死はつらく涙するもの。でも、それだけにいのちを育む尊い場になるのではないでしょうか」

と語ります。

絵本に出てくるそのままの笑顔の鈴木中人さん、「いのちの授業」を通して、これまで学校や企業で1000回以上、延べ20万人に自らの体験を語り続けています。

家族の死や、病気や事故、いじめによる自殺など、子どもたちのまわりにもある死とどう向き合うのか、いのちの大切さをどう伝えたらいいのか悩むママたちも多いと思います。ぜひこの絵本をきっかけに、お子さんと「いのちの大切さ」について話してみてはいかがでしょうか。

「6さいのおよめさん」
作:鈴木中人 絵:城井文

 

特定非営利活動法人いのちをバトンタッチする会 代表 鈴木中人

「6歳のお嫁さん」(実業之日本社)
「人生のそのときに心に刻む10のこと」(致知出版社)
絵本「6さいのおよめさん」(サンクチュアリ出版)
ドキュメンタリー映画「四つの空 いのちにありがとう」

いのちの授業/http://hm7.aitai.ne.jp/~inochi-b/

ライター/間野 由利子