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すべてのママに捧げる。泣ける絵本。

■ちいさなあなたへ (アリスンマギー著)

あなたは、初めてあなたの赤ちゃんをその胸に抱いたとき、どんな気持ちでしたか?

あなたの指を掴むその手が、やわらかくて、頼りなげで、温かいその産まれたばかりの命に喜び、戸惑い、涙したかもしれません。

その子の未来を想い、一人の人間の人生の歯車を動かし始めてしまったことの重圧感に押し潰されそうになったかもしれません。

 

これから始まる赤ちゃんとの生活を心待ちにしている自らのお腹に命を宿したママ。

今まさに新しい命と対面したママ。

産んだはずの天使が悪魔に見えてきたママ。

長く短い子育ての果て子どもが自らの手元を離れていったママ。

本日はすべてのママに送りたい絵本をご紹介いたします。

 

「あのひ わたしは あなたの ちいさな ゆびを かぞえ その いっぽん いっぽんに キスを した。」

 

やわらかなベッドの上で初めて、昨日までお腹に抱いていた我が子と対面するママと赤ちゃんとふたりきりのイラストから始まるこの絵本は、アメリカミネソタ州在住の絵本作家、アリスンマギーが書いた絵本です。アメリカ本国ではNYタイムズやAmazonの児童書分野で、ハリーポッターを押しのけて1位を獲得し、2008年に なかがわちひろさんの訳によって日本でも発売されました。

道を渡るときいつも”わたし”にしがみついてきたその赤ちゃんは幼児になり、ママに押されてよちよちと自転車を漕ぎだします。

月日が経ち”あかちゃん”は”こども”になり、飼い犬も駆け出すほどのスピードで走るようになります。

お気に入りのクマのぬいぐるみを抱いて眠る愛しい我が子を見つめながら”わたし”はこの子の未来を想います。
「このこはどんな未来を描くのだろう」と。

日常にきらきらとした目を輝かせ

めまいがするほどじぶんを試し

悲しみに打ちひしがれる日も

流れに身を任せなければならないこともあると知るときも、来るのかもしれない

やがてあなたが旅立つ日、”わたし”が見送る大きかったはずの家が、とても小さいものに見えることに驚く

いつか自分と同じように、子を思う日が来るのかもしれない

 

そうしていつか今の私の歳を追い越して、あなた自身の髪も銀色に輝く日がやってくる

 

くすぐったくて、体は軽いはずなのに命の尊さが重くて腕を動かせなくて、未来を想うと嬉しくて愛おしくてどうしようもなかった気持ち。

 

産まれたばかりの我が子を見つめ未来を想う作中の”わたし”は、すべてのママの分身です。

 

日常の雑事にかき消されてしまう、初めて我が子を抱いた時の気持ちを思い起こさせる絵本です。

 

私の歳を追い越して銀色に輝く髪になった”わたし”の”あかちゃん”が独り、肘掛け椅子に腰かけ遠くを見つめる後姿、そのページをめくると

 

色あせた写真が立てかけられた、開け放たれた窓辺のイラストと”わたし”からのメッセージでこの絵本は終わりを迎えます。

「わたしの いとしいこ。 そのときには、どうか わたしの ことを おもいだして。」

 

 

すべてのおかあさんと その子どもたちに

アリスン・マギー

 

 

参考: ちいさなあなたへ (主婦の友はじめてブックシリーズ)

文・桃山順子