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障がいを持つ妹への神対応!ゆとりちゃんの場合

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『えがおの宝物 進行する病気の娘が教えてくれた「人生で一番大切なこと」』の著者、加藤さくらさんの連載エッセイ。

皆さん、「きょうだい児」という言葉をご存知でしょうか。きょうだいの中に障がい児がいる子どものことで、我が家でいうと長女のゆとりです。

長女ゆとりが2歳のとき、次女の真心が生まれました。そして、真心が生後6か月のとき「福山型先天性筋ジストロフィー」と診断され、以来、ゆとりは家族の一員としてかなり活躍してくれています。

現在8才の彼女が真心と過ごす中で培ったコミュニケーション方法や概念があります。
そしてそれらは、彼女が真心に対してまったく色眼鏡をかけずに接していることがよーく分かります。
「筋ジストロフィーは“きん”と“トロフィー”がついているから豪華」だと言う、ゆとりさん(笑)

そんなゆとりさんから私は日々、いろんなことを学んでいます。
きっと「障害をもっている人にどう接したらいいか分からない・・・」と思っている方にも参考になるのではないかなと思いましたので、2回に分けて紹介して参ります!

■お話をしない真心とのコミュニケーションが“神対応”

先天性福山型筋ジストロフィー(以下、ふくやまっこ)は筋肉の他、脳の病気でもあるため、知的にも障害があります。ただ、めちゃくちゃ個人差があるため、中には上手に会話が出来るふくやまっこもいます!一概に「ふくやまっこ=話せない」ではありません。

さて、現在5才の真心は、言語での会話ができません。真心が発音できる単語は、じぃじ・じっこ(おじいちゃん)、ママ、あーちゃん(私の姉)、ちーちゃん(私の妹)、ブーブー(乗り物全般を指す)、わんわん、ラッキー(夫の実家の愛犬)、まぐれで「ボンジュール」って言ったことも・・・それくらいかな~。あっ、唯一文章で言うのは「じぃじ、あいたーい」だけ。どんだけじぃじ大好きなんだ!!(笑)
本当は話せるんじゃないか?!という疑惑はあるのですが、ねぇ。

なので、コミュニケーション方法はどうしているかと言うと、真心本人が使うのは簡単なベビーサイン
「飲む」「食べる」「寝る」「おしまい」「ぶーぶー」くらいですが、指や手を使って教えてくれます。(食べるの大好きだからか、意外とすぐに覚えました)
あとは、「うん(YES)」「ううん(NO)」の意思は言葉でハッキリ言えるので、YES/NOで答えられる質問を投げかけて、意思を確認しています。
私「お腹空いた?」、真心「うん(*^_^*)」といった具合です。これらの方法で、お話をしない真心ともなんだかんだコミュニケーションがとれるのですが、困ることもあります。

例えば、どっちが好き?などと選択肢から選ぶとき。目の前に物があるときは、指で欲しい物をさして教えてくれますが、物や絵が目の前になくて「言葉」を使って表現しなければならないことがあります。
ディズニーランドと、ディズニーシー、どっちに行きたい?という質問を真心にしたとします。もしも、画像など見せる素材がなかった場合、みなさんだったらどうしますか?「ランドがいい?」「シーがいい?」などと言葉で聞くと、両方とも「うん(*^_^*)」という返事がかえってくることが多く、堂々巡りになった上で最終的に真心の意思を無視して勝手に決めることになっちゃいます(笑)

そこで、私はゆとりの神対応を目の当たりにしました。
ゆとりは、このようにして聞いていました。
両手の人差し指を立てながら、「まこちゃん、ランド(右の人差し指を差し出す)とシー(左の人差し指を差し出す)どっちがいい?」
すると、真心は、右手の人差し指をタッチしました。
ゆとり「ランドがいいんだね(*^_^*)」
おぉぉ!ゆとりがさらっとやってのけたこの対応、何で今まで気がつかなかったのだろう・・・。
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■困った時しか手を差し伸べない。しかし!困った時のサポートが神対応

ゆとりは、基本、真心が本当に困った時しか手を貸しません。
困った時の真心は、全力でいろんなサインを出します。泣いたり、白目むいたり(わざと)、叫んだり・・・
家では同じ部屋にいるのですが、たまに、ゆとりは真心からサインが出ていても自分のことに夢中で(特にお絵描き中!)サインをスル―することもあります(笑)
障害児の姉だからといって、お世話しなければならない、という訳ではないので、私もお世話を強要することはしません。本当に手伝ってほしいときは、ゆとりも家族の一員として協力してくれるからです。

しかし、ゆとりがサインに気づいてサポートするときが神対応なのです!
以前、夕食のときに真心が急に泣き出しました。私は、トイレ行きたいの?お水のみたいの?など手あたり次第聞いてみましたがどれも不正解で泣き止まず・・・そんなとき、ゆとりが真心のあるサインに気づきました。
ゆとりはすくっと立ち上がり、食器棚から子ども用のお箸をもってきて、「はい、まこちゃん。お箸がよかったんだね」と渡しました。そう、真心の目線が、ゆとりのお箸を見ていることに気がついたのです。
真心はようやく分かってもらえたうれしさと、ゆとりと同じお箸をもてるうれしさでニッコニコ(*^_^*)

人は困っているとき、何らかのサインを出すことがあります。言語でのコミュニケーションがほとんどない真心とは、この「サイン」がコミュニケーションの重要な鍵となります。まずはサインに気づくこと、そして真心の心の内を確認すること。ゆとりは、サインに気づき、「こうかな?」「こんな気持ちかな?」と真心の心の内を言葉で確認しています。

ゆとりに限らず、保育所で生活しているお友だちも、神対応なのです!
お友だちが真心の手を強くひっぱって真心が困った顔をしていると、別のお友だちがやってきて引っ張るのを止めさせたあと、「まこちゃん、お手て痛かったね~」と心情を察してくれていました。
真心は安心した表情でニッコニコでした(*^_^*)
ただ、ゆとりも保育所のお友だちも、常に優しくしているわけでなく、塩対応のときもしばしば(笑)
子どもは、障害者=困っている人、ではないと知っているのだと思います。

きっと、長女も保育所のお友だちも、そもそも真心のことを「障がい者」として見ていないのだと思います。 
真心がしたこと、言ったこと、出したサイン、この事実だけを捉えて、コミュニケーションをとっているのです。コミュニケーション方法うんぬんよりも、ここが原点であり、重要なのだと思います♪

えがおの宝物 進行する病気の娘が教えてくれた「人生で一番大切なこと」