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【理系育児】第四回 ご飯をしっかり食べないのはおっぱいのせいよ、と言われます(1歳8ヶ月)

離乳食に続いて、母乳育児について質問フォームより募集開始したところ、1歳以降の授乳について、たくさんの質問が寄せられていました。

ゆりまみぃさん(お子さんは1歳8ヶ月)
一歳になったらおっぱいやめないとね。とか、ご飯しっかり食べないのはおっぱいのせいよ。おっぱいをやめないと虫歯になるよ。夜ぐっすり寝ないのはおっぱいやめないからよ。等を助産師さん、先輩ママ、義理の母に言われるけど、日によってご飯をしっかり食べることもあるし、夜はぐっすり寝ているのを説明しても理解してもらえない。それで悩むほどではないけど、毎回そのくだりのやりとりが煩わしい。

「いろんなアドバイスをされ続けて、もううんざり」という感じでしょうか。でも、うんざりしてしまうのももっともなことで、これらのアドバイスは、2つの理由で、不適切なものなのです。

●お母さんの自信を失わせるアドバイスはスルーしたい

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まず、子どもに適切な栄養法を実践するには、【母親が自信をもつこと】が重要だと明らかになっています。WHOガイドラインには、「母親が自信を失わないようにするためのアドバイスの仕方」をひたすら説いている章すらあるのですが、残念ながら、ゆりまみぃさんに対するセリフの数々は、自信を失わせてしまうような言い方です。普通は影響を受けてしまうものですが、そこで「悩むほどではないけど」とスルーできるのは、とてもすごいことなのです(1)

●昔の常識vs近年の研究結果

こちらはさらに重要なことですが、もう一つの問題点は、そもそも、これらのアドバイスは科学的根拠に基づいていないということです。
他にも、1歳以降の授乳についてはいろんな俗説がありますが、総じて、あらゆる主張を持ち出しては、他人の母乳育児を早くやめさせようと一生懸命な感じです。でも、実際の赤ちゃんを研究してみると、授乳のパターンも、食事や睡眠のパターンも、バラエティに富んでいるのが自然なことなんです。おばあちゃん世代は、1歳かそれより早く授乳をやめさせるのが常識だったので、1歳過ぎても授乳していると、驚いてしまうのかもしれませんね。

●なぜWHOは母乳育児を2歳以上まで推奨するのか

「いかに赤ちゃんを健康で丈夫に育てるか」に焦点を当てているWHOは、「母子の都合に配慮しつつ、可能なら母乳育児を2歳以上まで続けること」を推奨しています(2)

その理由の一部を、ご紹介します。

①母乳は補完食よりも質の高い栄養素を含んでいる

WHOは、「幼い子どもはご飯を食べる能力が低い」ということを大前提にして、栄養法のガイドラインを作っています。
だから、「食べる量が少ないなら断乳」というアドバイスは出てきません。母乳は離乳食より質の高い栄養素を含んでいるということは、離乳食を食べられる量が少ない子だけでなく、たくさん食べられる子にとっても、重要な栄養源になりうるんですね。

②赤ちゃんを守ってくれる防御因子も与え続けてくれる

母乳を作る乳腺と母親の免疫システムはつながっていて、常に情報をアップデートしていることが明らかになっています。
そのおかげで、私たちの周囲にいる菌・ウイルスや、子どもがお友達からもらってきた感染症などに対して、母体の熟練した免疫システムを、授乳するたびに赤ちゃんに貸し出すことができるのです。そして、母乳中の防御因子が、赤ちゃんの体内で、直接、病原菌をやっつけたり、赤ちゃんの免疫システムが敵と戦うためのお手伝いをしたりしています。この効果は、母乳を飲ませている間、ずっと続きます。

③病気の時の重要なエネルギー源と栄養源になる

WHOによると、病気から回復するためには、いつもより多くの栄養とエネルギーが必要になるので、積極的に食事量を増やすことが必要だそうです。でも、具合が悪いと、食事をモリモリ食べられないことが多いです。そんな時は、様々な栄養素とエネルギー源だけでなく、免疫物質まで入った母乳が、力強い助っ人になりうるんですね。

④母子の急性のリスクと慢性のリスクを減らすことができる

例えば、母乳を飲んでいる子どもは「中耳炎・Hibなどによる髄膜炎・尿路感染症になりにくく(なった時も重症になりにくい)、さらに、授乳を長く続けた子どもたちほど、将来肥満になる人が少なく、知能はより高くなる」、ということが明らかになっています。母体にも、さまざまなメリットがあります(3)

●授乳期間は人それぞれ

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今は、科学的な知識で母乳育児を理解・サポートしてもらえる環境じゃない中、子育てしているお母さんがほとんどだと思うので、母乳育児を2歳以上まで続けることは、なかなか現実的に難しい場合も多いかもしれません。
もし、いつまで授乳していいのかな、と迷ったら、参考にされてみてくださいね。
自分たちは続けてみようかな、と思ったら、自信を持って進んでくださいね!

●参照記事

(1)育児に関する周りの手出し口出しに困っていませんか?
(2)母乳を2歳以上まであげるべき4つの理由
(3)母乳育児の短期的・長期的なメリット