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いま「保育」と「介護」のサービス向上に求められている共通事項とは?

記事提供:Mocosuku

いま「保育」と「介護」のサービス向上に求められている共通事項とは?

働きながら子育てをするために欠かせない「保育施設」、また身体障害や加齢に伴い介護を必要とする人に欠かせないのが「介護サービス」です。いずれも、時代の要請から生活に欠かせないサービスとなりました。ところが、施設数が足りない、サービスの質が悪いといった問題も起きています。そうした要因のひとつに挙げられるのが、働く保育士や介護士の仕事が、「仕事がきついわりに収入面でも魅力がない」と不人気職種になっていることです。

驚きの年収実態

平成26年の賃金構造基本統計調査によると、女性保育士の平均年収は、約314万円という結果でした。女性幼稚園教諭の年収と比べると、27万円程度低いのです。一方、介護分野では、福祉施設(高齢者施設など)の女性介護員の年収が約299万円、訪問介護サービスを行う女性ホームヘルパーの年収は約291万円と、さらに少ない額です。
専門職であるケアマネージャー(女性)といえども、その平均年収は約363万円と、全産業の平均年収の379万円を下回る水準に止まります。
保育士、介護士に共通しているのは、「女性活躍職種」であるという点です。一般的に日本では、どのような職種においても賃金の男女格差は存在しており、その格差是正は急務であることは間違いありません。保育・介護職種においてもそれは同じです。ですが、この分野に限っては、男性であっても賃金は低く、全業種平均に届いていない実態なのです。

公定価格によるところが大きい職種

もうひとつ共通点として挙げられるのが、保育にしても介護にしても、収入の柱は公定価格で決められている点です。たとえば、保育園等であれば一定の利用者負担とともに公的な給付金等により成り立っており、国により公定価格が定められています。介護も同様に公的な負担が中心となり介護報酬が定められています。
同様の仕組みは、保険診療報酬についても見られます。とりわけ高度な知識と技量を有する医師と収入レベルを同列で考えることは不適切であるとしても、公的な価格統制の仕組みで保育士・介護士の賃金が決まる要素が大きい以上、社会的ニーズが高まっている現状では保育士・介護士等の処遇改善は急がれていいはずです。

少しずつ始まっている改善

2015年4月より「子ども・子育て支援新制度」がスタートしました。その中には、「質の向上」を目指した処遇改善等加算という項目もあり、保育士の賃金向上を意識した公定価格の改定が予定されています。
また、介護報酬に関しても平成27年介護報酬改定に向けて「介護職員の処遇改善」を挙げており、一定の賃金改定はおこなわれる予定です。
しかし財源の問題があるにせよ、単年度改定の都度に待遇改善をうたうのではなく、せめて全業種平均の賃金に到達するまでを当面の目処として、「安定的な昇給を図り続ける」という約束された施策が求められます。
保育士さんにしても介護士さんにしても、生身の人間をお世話する仕事であり、精神的にも体力的にも厳しい状況下で仕事をしています。他の業種と比べて低賃金が続くようであれば、不人気業種が定着しまうことで人材の確保・育成が滞り、施設利用者へのサービス低下に直結しかねません。賃金が安定して上昇することが約束されていれば、「安心して働く」という動機に結びつきやすく、人材も育つのではないでしょうか。

<執筆者プロフィール>
石村衛(いしむら・まもる)
FP事務所:ライフパートナーオフィス代表ファイナンシャルプランニング1級技能士(CFP)東洋大学卒業。メーカー勤務の後、FP事務所:ライフパートナーオフィスを横浜市戸塚区に開設。地域に根ざしたFP活動を志向し、住宅ローン、不動産・証券投資、保険、貯蓄・など一般家庭のお金にまつわる様々なアドバイスを行っている。 お金に係わる出前授業を小・中・高校で実施。また、高等学校の保護者会などで進学費用や奨学金・教育ローンの講演多数。東京都金融広報委員会 金融広報アドバイザーとして活動中。

コラム出典:いま「保育」と「介護」のサービス向上に求められている共通事項とは?
(by Mocosuku)