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極めて正常な反応だった?! 芸能人の結婚報道にショックで寝込む人の心理とは

記事提供:Mocosuku

極めて正常な反応だった?! 芸能人の結婚報道にショックで寝込む人の心理とは

9月、10月と芸能界では名だたるスターたちの結婚ラッシュでした。特に、福山雅治さんが結婚を発表した時には、ネット上で「寝込みます」「会社休みます」という書き込みが多発しました。それだけなく福山ショックで「母が寝込んだ」、「嫁が寝込んだ」、「従業員がみんな休んだ」というツイートが溢れました。ネタとして半分冗談の投稿もあったと思いますが、福山さんがずっと独身でいてくれると信じていたみなさんには衝撃が大きかったようです。
女優の堀北真希さんの結婚発表の時にも男性を中心に似たような現象が起こりました。なぜこれほどまでにショックを受けてしまうのでしょう?臨床心理士で神奈川大学教授の杉山崇さんに分析していただきました。

生きるためには「世界に恋をする体験」が必要

福山さんや堀北さんくらいファンを酔わせる歌手や女優さんは、アーティストと言うよりは一種のアイドルのようなものです。アイドルにのめり込む人はアイドルの存在感が生きる喜びになっています。なので、結婚のようにその存在感の一部が壊れてしまうイベントがあると、生きる喜びを見失うので多大なショックをうけるのです。
しかし、福山さんや堀北さんのファンのような反応は、特に推しのアイドルを持たない人には奇妙に見えるようです。どんなにのめり込んでも、どんなに恋い焦がれても、結婚でこることも付き合えることも、決してないのですから。「お気に入りの有名人の一人だよね」くらいの認識なので、「そこまで騒ぐのは何かがおかしい……」と映ることもあるようです。
ですが、精神分析学から考えるとファンの反応は極めて正常な反応です。人は生の本能と死の本能を持って生まれてきます。死の本能の働きで、私たちはいつか死ぬべき定めを心の片隅でいつも実感しています。生きるためには生の本能を機能させなければなりません。そのためには「この世界は素敵だ!!」という世界に恋をする体験が必要なのです。世界に恋をする体験を繰り返すことで、「この世界は生きる価値がある。生き抜くぞ!」という生きる力を得られるのです。

現実を忘れさせてくれる「何か」

しかし、この現実の世界は決して素敵なことばかりではありません。私たちは悔しい思いもすれば、ひもじい思いも、虚しい思いも、裏切られた思いも体験します。その思いから生きる気力を守るためには、世界の素敵さを再確認させてくれる何かが必要です。言い換えれば、それに酔いしれていれば現実を忘れさせてくれる何かがないと人は生きられないのです。
その何かは仕事が好きで順調な人には「仕事」になるでしょう。子育てが上手くいって自分の子どもに満足している人なら「子ども」になるでしょう。この他にも、将来への希望、恋人、夫や妻、美食、趣味、旧友たち、ペット(コンパニオン・アニマル)…さまざまなものが、その何かになりえます。そして、その何かが豊かであればあるほど、生きる気力に満ちた充実した人生になるのです。

生きる喜びを失わないために「覚悟」が必要

アイドルというビジネスは「この世は素敵だ!」と実感させてくれる「何か」を提供する仕事です。アイドルにのめり込んで結婚報道でショックを受けるほどの人は、アイドルの存在を上手に使って人生を充実させているのです。人として、より人生を充実させる営みなので、ぜひ盛大にやってください。
ですが、アイドルも人間です。年とともに人として成長してしまいます。いつまでも「この世は素敵」だと実感させるアイドルでいて欲しいわけです。しかしいつかはアイドルたちも誰かの心のなかだけの、永遠のアイドルになる日がくるのです。
その覚悟をしながら、応援するのは難しいかもしれません。あまり目立ってはいませんが、実はアイドルの結婚や引退などでショックを受けた熱狂的なファンが自殺や自殺未遂をしたという事件もありました。生きる喜びを見失わないためには、「いつか」の覚悟をしておく必要もあるのかもしれません。

<執筆者プロフィール>
杉山 崇
神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授。心理相談センター所長、教育支援センター副所長。臨床心理士、一級キャリアコンサルティング技能士、公益社団法人日本心理学会代議員。

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