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健康な乳房と卵巣を摘出したアンジーの決断。遺伝によるがんの発症率は?

記事提供:Mocosuku

健康な乳房と卵巣を摘出したアンジーの決断は、医学的に見てどうなのか? 遺伝によるがんの発症率【前編】

アメリカの女優アンジェリーナ・ジョリーが、がんの遺伝子検査を行い、自分に発症率が高いことがわかったため、2013年5月に両方の乳房の摘出手術を行なったことは、まだ記憶に新しいことでしょう。そして今回、卵巣と卵管を摘出し、40歳を前に閉経したことを明らかにしたアンジー。気分を聞かれると「健康な生活を送っているであろう50歳が待ち遠しい」とコメントしています。

がんはどれくらい遺伝する?

現在、日本人の2人に1人は、がんにかかっています。一生で何らかのがんにかかるリスクは、男性は60.8%、女性は44.9%です。
ある家系に多数がんの患者が発生している「がんの異常集積」みられる場合、原因にかかわらず「家族性腫瘍」と呼びます。一般的に家族集積での悪性腫瘍は、5~10%あると言われています。若年性腫瘍の大部分は、この家族性腫瘍に遺伝・環境・偶発などの要因が加わって発症しています。とはいえ、家族性腫瘍での環境要因は、主に食生活で生活環境を共にしていることをさします。ですから、家族にがんが多く発生していると言っても、すべてが遺伝するわけではありません。
遺伝子検査をして、その対策や実践が可能なのは、家族性腫瘍と呼ばれるがんの中でも「遺伝性腫瘍症候群」と呼ばれるものだけです。たとえば、大腸がんだと約25%が家族集積性のがんであり、そのうち遺伝性と考えられるのは、わずかに5%程度です。
遺伝性腫瘍症候群には、大腸がん、乳がん・卵巣がん、骨軟部肉腫、皮膚がん、脳腫瘍、眼のがん、内分泌系の腫瘍などがあります。

不安な人は「遺伝相談(カウンセリング)」を受けることも

遺伝疾患の患者やその家族、あるいは遺伝についての不安や悩みを抱えている場合や、自分に「遺伝性腫瘍ができるのではないか」という不安な場合には、「遺伝相談(カウンセリング)」を受けることができます。ここでは遺伝に関する情報の提供、遺伝子検査を受けるべきかどうか、どのような治療が適切なのかといった相談に乗ってくれます。
一般的には、カウンセラーに詳細な家族歴を話し、カウンセラーが家系図を作成して、それらの情報から家族性腫瘍かどうかを、まず判断します。家族性腫瘍が疑われる場合は、その病気についての情報を提供してくれます。そして、「若くしてがんに罹患した人がいる」「家系内に何回もがんにかかった人がいる」「家系内に特定のがんが多く発生している」といった特徴がある場合には、「遺伝子検査」を勧められることもあります。
もちろん、カウンセリングを受けた人が必ず遺伝子検査をするとは限りませんが、遺伝子検査をする前には、必ずカウンセリングを受けます。その際には次のことを教えてくれるでしょう。
・検査はどのくらいの精度なのか
・検査結果をどう解釈すればいいのか
・誰にどのように検査結果が影響を及ぼすか
・子どもや家族の検査はどうするべきか
・手遅れにならないようにがんを見つけるにはどうしたらいいか
・どんな予防法があるか

遺伝子検査はどうやって受けるの?

まず自分が遺伝性の何の疾患について、心配しているのか、その心配している部位の科を受診してみてください。そこでドクターに遺伝について、「調べたい、カウンセリングを受けたい」ということを話すことで紹介してくれるでしょう。
遺伝子医療外来などをしている施設もあるので、相談に乗ってみましょう。全国でまだ70施設ほどですから、事前に遺伝相談をやっているかどうか確認してから受診しましょう。費用はだいたい20~25万円ほどが相場です。

遺伝性腫瘍症候群

遺伝性腫瘍症候群は、原因となる遺伝子が明らかになっていて、その変化によってがんが発生しやすくなる疾患を指します。遺伝性腫瘍症候群の中には、臨床症状だけで診断される疾患と、遺伝子検査によって遺伝子に変化が見つかって診断される疾患とがあります。
症状が出る前に自分ががんに罹患しやすいか否かを判断するには、遺伝子検査が必要です。
執筆:南部洋子(看護師)
監修:坂本 忍(医者)

コラム出典:健康な乳房と卵巣を摘出したアンジーの決断。遺伝によるがんの発症率は?
(by Mocosuku)