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健康的に働くために必要な「有給休暇」 取得率低下を阻止するための策とは?

記事提供:Mocosuku

健康的に働くために必要な「有給休暇」 取得率低下を阻止するための策とは?

厚労省は「平成27年就労条件総合調査(※1)」の結果を公表しました。平成26年の年次有給休暇の平均付与日数は18.4日、そのうち労働者が取得した日数は、8.8日、取得率47.6%と前年調査に比べて低下しました。景気が持ち直していくにつれて、有給休暇が取りづらくなっているのでしょうか? 取得率が下がっている理由について考えてみたいと思います。

法で定められた権利

労働基準法第1条には「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と定められており、有給休暇は、「ストレスの解消」や「健康促進」、「家族団らん」などの、健康面および生活面での充実を図るためには欠かせないものです。
労働基準法第39条1項では、「使用者は、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の80%以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」と定められています。
その後、勤務継続1年ごとに、当初の6か月以降の勤務継続2年目までは1労働日ずつ、3年目以降は2労働日ずつ加算され、日数は20日間が法律上の上限となります(労働基準法第39条2項)。また、未消化分は、翌年に限り繰り越すことが可能です。

パート・アルバイトの場合は、フルタイムの労働者に比べて働く日数や時間が少なくなるため、有給休暇の日数についても労働日数に応じて少なくなりますが、有給休暇は認められています。

取得率の差も明らかに

厚労省は「平成27年就労条件総合調査(※1)」をみると、有給休暇の取得率では、男性44.7%、女性53.3%と女性のほうが取得率は高いものの、男女ともに付与されている有給休暇の約半分は取得していません。
また、勤め先の規模では、従業員数1,000人以上の大企業の有休取得率は52.2%であり、中小企業では、300~999人規模が47.1%、100~299人規模が44.9%、30~99人規模が43.2%と、取得率の低下が顕著に表れています。
平均取得率を上回っている業種は、「電気・ガス・水道69.8%」、「製造業52.8%」が、下回っている業種では、「宿泊・飲食サービス業32.2%」「卸売・小売34.5%」が目立ち、業種によるバラツキが大きくなっています。
職場によって、仕事が山積みで代わりの人員がいないなどの「遠慮」、上司が有給を取らないことを誇らしげに口にするなどの「休めない雰囲気」、有給休暇の休暇理由に「難色を示す」、有給休暇を取ると「評価が下がる」など、会社や上司の誤解・無理解が原因で有給休暇の消化が進まない理由も浮き彫りとなっています。
有給休暇は未消化のまま2年が経過すると請求権が時効(労基法115条)を迎え、消滅してしまいますので注意しましょう。
有給休暇の取得促進に関して、厚労省は「企業などに対して少なくとも5日の消化義務を課す」と労働基準法改正案(※2)を準備しています。この改正案は、「ホワイトカラーエグゼンプション」(労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とし、働いた時間ではなく、仕事の成果に対し賃金を払う仕組み)と同じ改正案の中に入っている項目であったため、平成27年通常国会では成立しませんでしたが、今後改めて有給休暇の消化義務を企業などに求める法律改正案が国会で議論されます。
この改正案が将来成立すれば、有給休暇が取りやすくなることが予想され、この部分に限っては朗報といえるでしょう。

<執筆者プロフィール>石村衛(いしむら・まもる)
FP事務所:ライフパートナーオフィス代表ファイナンシャルプランニング1級技能士(CFP)東洋大学卒業。メーカー勤務の後、FP事務所:ライフパートナーオフィスを横浜市戸塚区に開設。地域に根ざしたFP活動を志向し、住宅ローン、不動産・証券投資、保険、貯蓄・など一般家庭のお金にまつわる様々なアドバイスを行っている。 お金に係わる出前授業を小・中・高校で実施。また、高等学校の保護者会などで進学費用や奨学金・教育ローンの講演多数。東京都金融広報委員会 金融広報アドバイザーとして活動中。
※1 厚労省:平成27年就労条件総合調査
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/15/dl/gaiyou01.pdf
※2 厚労省:労働基準法等の一部を改正する法律案の概要【Ⅰ(3)】
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/189-41.pdf

コラム出典:健康的に働くために必要な「有給休暇」 取得率低下を阻止するための策とは?
(by Mocosuku)