mama

筋ジストロフィーの娘、真心ちゃんが教えてくれたこと~前編


千葉県松戸市に住む加藤家は、悠太さん、さくらさん夫婦と、7歳のゆとりちゃん、5歳の真心(まこ)ちゃんの4人家族。次女の真心ちゃんは「福山型先天性筋ジストロフィー」※という難病を持っています。このたび、加藤さんご家族が真心ちゃんの病気と共に歩んできた軌跡が一冊の本になりました。

『えがおの宝物 進行する病気の娘が教えてくれた「人生で一番大切なこと」』

本を書いたのはママの加藤さくらさんです。
ママスタでは加藤家にお伺いし、さくらさんにインタビューをさせていただきました。
障害を持つ子どもがいる家族は、普通の家族とどこが違って、どこが同じなのでしょうか??
前編、後編の二回に分けてお届けします。

※福山型先天性筋ジストロフィー
先天性の筋萎縮症のひとつ。全身の筋力低下や脳障害など諸症状を伴う。運動能力は徐々に発達するが、小学校低学年ほどで筋力のピークを迎え、その後の症状の進行と共に若くして亡くなられる方が多い。

―真心ちゃんの病気を通じて加藤家が体験した事実が本になりましたね。とても読みやすくて一気に読んでしまいました。「えがおの宝物」という本のタイトルですが、どのような思いを込めているのでしょうか。

さくら:
本を書かせていただくことになったときから「えがお」をテーマにしようと思っていました。
真心はいつも自分の気持ちに素直に生きていて、真心が笑顔になるとこっちまで笑顔になるんですよね。
真心から学んだ、「今をしっかり見つめて自分の感情に素直に生きるといいよ」、ということを「えがおの宝物」という言葉に込めています。
でも真心の病気は筋肉の働きが低下していくので、いずれは顔の筋肉も弱って笑顔が作れなくなってしまうかもしれないんですね。そういう、はかない意味での「宝物」でもありますね。
egao
―その話を聞くといつも泣けてきます、、、でもこの本は「泣かせる感動本」ではないですね。加藤家が真心ちゃんの病気がわかってから何を経験してきたか、笑いあり涙ありで読みやすく書かれています。私は病気や障がいについて知識がなかったので、読んで初めて知ることがたくさんありました。
真心ちゃんの病気がわかったときのことを聞かせていただけますか。

さくら:
真心が「福山型」と診断されたのは生後6カ月の時でした。
長女のときと比べて中々首がすわらなかったり、動きが活発でなかったので嫌な予感はしていたのですが、実際に診断されたときはすごく衝撃でしたね。
それまで筋ジストロフィーという単語は知っていてもよく理解していなかったですし、「死」についても考えてこなかったので、自分の子どもが立つことも歩くこともできないかもしれない、近い将来にいなくなってしまうかもしれない、ということがとにかく衝撃でした。
笑顔なんて作れないですし、これまでまったく経験したことがない落ち込み方をしましたね。

―そうした状況から立ち直るきっかけは何かありましたか?

さくら:
周りの方が私のことを気にかけて、「真心ちゃんは特別な役目を授かった子なんだよ」とか「素敵なパパママを選んで産まれてきたんだよ」など、いろいろと声をかけてくれていたのですが、はじめは中々素直に聞くことはできなかったです。
真心がこの病気になったのは私のせいなんだ、と自分をずっと責めていました。

立ち直るきっかけになったのは、ある方にただひたすら私の話を聞いていただいたことです。なんでうちの子が病気になるの?私の行ないが悪かったの?のような、自分の中のもやもやした気持ちを言葉にして出したら、少し自分や周りを見つめることができるようになったんです。

そうして少し落ち着いてから目の前にいる真心の表情を見たら、ニコニコしてすごく楽しそうだったんですよ!周りは落ち込んだり悲しんだりしているけど、真心自身は全然悲しんでいない、今この瞬間をとても楽しんでいるんだなって思えて、そこに気づいてから前に進めるようになりました。

あとmixiに福山型のコミュニティがあって、そこで他のご家族とふれあえたのも大きかったですね。

―なるほど。前向きになっていくのにさくらさんの場合はどのくらいの時間がかかりましたか?

診断されてから3ヶ月くらいはずっと笑えなくて、それからだんだん大丈夫になってきて、真心が1歳を過ぎるころにはだいぶ前向きになっていたと思います。
真心が全然悲しんでいなくて少しずつでも成長しているのに、親が悩んでそれを見過ごすのはもったいないなと思うようになりました。
それより、真心がどうしたらもっと今を楽しく生きられるかを工夫することにエネルギーを使おうと思えるようになりました。

―今日も真心ちゃんは楽しそうですね!今はさくらさんの隣でiPadで遊んでいますが何をしているんですか?

さくら:
真心はYoutube動画が好きなんです。二人の女の子がいろいろなおもちゃを紹介している動画なんですけど、それが本当に好きでいっつも見ているんですよ!

―その女の子たち有名ですよね!世界的にトップクラスのユーチューバーらしいですよ。真心ちゃん、iPadの操作も上手ですね。
(Kan & Aki’s CHANNELを見ていました)
3
―真心ちゃんは毎日保育園に通っていますよね。保育園に行かせるのも思い切りが必要だったのではないかと思いますがいかがでしたか?

さくら:
真心の病気がわかった後、いったんは会社もやめて真心の介護に専念しようと決めたんです。
でもお医者様のなかには、集団生活は心の成長によいと言ってくださる方がいたり、実際に幼稚園や保育園で集団生活をしている福山型の子もいることがわかりました。
リスクもあるけれど、私と真心の二人きりの生活よりも、お友達の中にいる真心の方が笑顔が多くなると思い、保育園に通わせることにしました。
幸い受け入れてくださる園もあり、先生にもとてもよくしていただいて感謝しています。

―真心ちゃんは園でどんな生活を送っているのですか?

さくら:
朝送っていくと、お友達がたくさん「真心ちゃーん」って言って寄って来てくれるんです。
5歳のクラスに通っていて、部屋の中では専用の椅子を使わせてもらっています。
真心は筋力が弱いので、体が倒れないように補助する椅子なんです。
お散歩は車椅子で行って、真心も車椅子を動かせるんですが、長い距離だと負荷が大きいので先生やお友達が押してくれています。
お友達は車椅子が楽しいみたいで、真心の後ろを押すのを交代で取り合ってくれたりするみたいです。

あと真心が地べたに座っているときは倒れても怪我しないように、周りにクッションを用意してくれたりするんですよね。
子ども達はすごく自然に真心を支えてくれていて、見ているとうれしくなりますし、よいお友達に恵まれているなと思います。
09hoiku
―お友達には真心ちゃんの体のことをどう説明しているのですか?

さくら:
真心が2-3歳のクラスの頃にはお友達からいろいろ質問されました。
「真心ちゃんは何でいつも座っているの?」とか「何で歩けないの?」とか素直に思ったことを聞いてくるので、「真心ちゃんは足が弱いんだよ。だからお出かけするときは車椅子に乗って行くんだよ」と言うと、「そうなんだ!」という感じであっさり飲み込んでくれました。

でも一度気を付けないといけないな、ということがあって。説明するときに「病気」という言葉を使ったら、「真心ちゃんのそばにいると病気がうつるよ」と言い出す子がいたんですね。
保育園の子にしてみれば「病気=うつる」という理解だったと思うので、そこは大人が説明するときに言葉を選ばないといけないなと思いました。

―なるほど、保育園での病気というと、うつるものばかりですもんね。確かに小さな子どもは誤解してしまうかもしれないですね。

さくら:
車椅子についても似たようなところがあるかもしれないです。
真心が自分で車椅子を動かせるようになったのは3歳の時だったのですが、その瞬間は私もリハビリの先生も大興奮で、私は「キャーー」と雄叫びを上げて本当にうれしかったんです!

真心もそれからは、自分で行きたいところに行けるようになってストレスが減りました。車椅子は真心にとっては、とても楽しい便利な乗り物なんです。

でも真心みたいに小さな子どもが車椅子に乗っているのを見たら、「かわいそう」と思う方が多いと思うんですよね。私も真心を産む前はそう思っていました。
でも実際は車椅子に乗っているときの真心の気持ちは、「うれしい」っていうことなんですよね。
なので、もしこの記事を読んでいただいている方が、お子さんに車椅子について質問されることがあったら、かわいそうというイメージではなく、「足が弱くても自由に動ける便利な乗り物なんだよ!」というポジティブなイメージで伝えてもらえるといいな、と思っています。

―確かに伝え方でだいぶイメージが変わりますね。その流れでさくらさんに聞きたいのですが、私も含めて多くの方が身近なところで障がいを経験していないので、障がいを持つ方に出会ったときにどう接したらいいかわからない、ということがあると思うんですね。
加藤家なら、どう接してほしいですか?

さくら:
障がいを持つ子のいるご家庭はそれぞれ状況が違いますが、うちの場合なら、あえて注目してほしいな、と思います。
どんな感じかっていうと、ディズニーランドのキャストさんみたいな感じです。

ディズニーランドに行くと、キャストさんは車椅子の真心を見つけると、「ハーイ」っていう感じでハイタッチしてくれたりするんですね。
受け入れてくれる感じがするし、こちらの気持ちも上がってきます。
真心も人と会うのが好きなので、そういう触れ合いを喜ぶんですね。
他にも海外の方は障がいに割と慣れているのか、真心の小さい車椅子を見て、「かわいい車椅子だね」とか「こんな小さい車椅子もあるんだね」とか自然に声をかけてもらえることもあって、そういう接し方をされるのもうれしいです。

逆に、この子だけ見ちゃいけないような接し方をされるのがさみしいです。
せっかく真心がここに存在して、「あたしもここにいるよ!」って思っているのに、居てもいないように振る舞われるのはさみしいので、あえて注目してくれるくらいの方が加藤家には合っていますね。


後編に続く
後編では障がい者を扱うドラマへの思いや、障がいを持つ子のきょうだいについて、そして福山つながりということで、あの男性タレントへのさくらさんからのひと言などをお届けします。

kazoku

えがおの宝物 進行する病気の娘が教えてくれた「人生で一番大切なこと」