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孤立しがちな育児を地域ぐるみでサポートしたい【東京・中野区】

中野区

区長自らが指揮を取り、待機児童対策を実施し、女性の働ける環境をサポート。また働き方改革の1つとして区役所職員の出退勤を30分から1時間ずらして勤務できる制度を整えるなど、仕事とプライベートのバランスを大切にする中野区。「地域ぐるみで育児サポートをしていきたい」と語る田中大輔区長にお話を伺いました。prof_05_nakano

産後の生活を具体的にイメージするために妊娠中から保健師と面談

――中野区では、育児支援として「かんがるープラン」を実施されているそうですね。具体的にはどのような内容ですか? 

田中区長:中野区の妊娠・出産・子育てトータルケア事業のことです。妊娠20週以降に保健師等の医療専門職と面接を行い、妊娠中の過ごし方や産後の生活、気持ちの変化などに対応できるようなプラン(かんがるープラン)を作成します。サポート内容はマタニティヨガや赤ちゃん学級、プレパパ・ママ講座を受講したり、助産師さんに出産に対する不安なことについて話を伺うことができます。出産前の不安な時期から地域ぐるみでサポートしていくのが中野区の育児支援です。
また面接を受けた方には中野区より妊娠子育て応援ギフト券として「こども商品券」1万円分を差し上げています。遊園地等の入場券、おもちゃ購入やタクシー乗車にもご利用いただけます。

参考:妊娠・子育て応援ギフト券(こども商品券)

――妊娠中は出産がゴールだとおもってしまいますが、実際は子どもが生まれた後も大変ですよね。

田中区長:そうですね。出産がゴールだと思っていると、出産後の赤ちゃんとの生活に苦労することもあるかと思います。保健師と面談を行い「かんがるープラン」を作成することは妊娠中から出産後どのように生活が変化していくのか、事前にどんな準備が必要なのかを知る機会となります。

助産院でのショートステイ、助産院・クリニック・すこやか福祉センターでデイケアを実施

――中野区のショートステイ事業とデイケア事業の内容について教えてください。

田中区長:ショートステイは出産後、家族等の支援が見込めない方を対象に、中野区と契約している助産院に宿泊し助産師がお母さんや赤ちゃんのケアをします。松が丘助産院、八千代助産院おとわバース、とよくら産後ケアハウス 豊倉助産院、ファン助産院の4つの施設が最大5日間、1日につき3,000円(税込)で利用できます。

デイケア事業は助産師による赤ちゃんの母乳相談や育児相談などを日帰りで受けることができます。デイケア事業施設は、南部すこやか福祉センター、中部すこやか福祉センター、松が丘助産院、ひだまりクリニック、助産師訪問PAMオオクボクミコ、ファン助産院の6つがあります。利用時間は1回3時間以上(最大15時間まで)で1時間につき1,000円です。

「総合東京病院」で病児保育をスタート

――中野区では2017年から病児保育を始めたそうですね。

田中区長:そうです。江古田にある「総合東京病院」が受託してくれています。病気中のお子さんを医療面でサポートしながら保育できる体制をとっています。

――病児保育の利用料はいくらですか? また今後増やす予定はありますか?

田中区長:利用料は1日2,000円(税込)です。ようやく1施設目ができたというところなので、増やすというよりは、まずは病児保育を中野区のお母さんたちに定着させていくつもりです。

――夜間の小児救急の施設はありますか?

田中区長:小児救急はまだないのですが、準夜間小児初期救急医療として19時~22時まで「新渡戸記念中野総合病院」で小児救急の体制を組んでいます。

区長自らが待機児童緊急対策本部を設置

――いま、中野区の待機児童はどのくらいいるのでしょうか?

田中区長:中野区は人口32万人に対して待機児童数が375人(2017年4月1日現在)です。

――2017年8月1日から待機児童問題に対して緊急対策本部を作られたんですよね。

田中区長:そうです。平成24年から28年までで約1700人保育定数を拡大しましたが、待機児童問題はまだ解決していません。土地を借り上げるにしても保育園用に改修や整備が必要ですし、保育士を確保しなければいけないという課題もあります。保育施設自体の数を増やしていますが、まずは待機児童が多い0、1歳の子どもが通える保育施設を作ろうと立ち上げたのが待機児童緊急対策本部です。

――「待機児童緊急対策本部」とはなんでしょうか?
田中区長:私が本部長となり、子ども教育部の部長に加え、経営室長や政策室室長、保育園や保育施設拡充の担当など、保育関係の部署の課長を経験した課長級の職員を即戦力として本部に迎えました。

具体的には公園や今使ってない学校などを活用し、2年間0~1歳児の子どもたちを預かる保育施設を作っています。入園後2年たった後の恒久的な保育施設が必要になりますが、そちらは現在進めている誘導策で確保していきます。

女性が働きたいと思った時に働ける環境を整える

――中野区の保育施設の利用希望率は増えているそうですが、なぜでしょうか?

田中区長:保育施設の利用希望率も10年ほど前は35%ほどでしたが、今は50%ほどあります。
やはり働きながら子育てするということに対する社会全体の意識が変わったことが1番だと私は考えています。女性が働きたいと思ったときに働ける環境を整えておくことはとても大切なことだと思います。そこをサポートできる自治体でありたいと思い、待機児童問題に取り組んでいます。

出勤・退勤時間をずらすだけで子育てがラクになる

――中野区役所では、働き方改革として勤務時間を変える取り組みを始めたそうですね。職員からの声はどうですか?

田中区長:2017年7月から試行を始めました。8時半が定時の出勤時間ですが、出勤時間を30分~1時間前後にずらすことができるので、それぞれの家庭に合わせた働き方ができると好評です。パパが早めに帰って子どもと一緒にお風呂に入ったり、家事をしたり、朝子どもを見送ってから出勤できるなどの声を聞いています。

――区長自身も働きながら保育園の送り迎えをされていたそうですね。

田中区長:そうですね。そのため朝夕の時間のやりくりの大変さはよくわかります。いつもよりも1時間早く帰れれば、買い物だって家のことだってできる時間があるじゃないですか。時間の余裕をもって保育園に迎えに行けるのはすごくありがたいことだし、朝遅く出れるのも助かるんですよね。私が子育て真っ最中のときは保育園が遠くて、朝の送り迎えが大変でした。もし時間をずらせれば朝の負担が楽になっただろうと思います。
また子育て世代だけではなく介護などのサポートが必要になった場合など、すべての職員が使える制度なので、より働きやすくなるのではないかと期待しています。

区長も訪れる中野駅前商店街の魅力とは

――中野区は商店街も公園も充実していますよね。田中区長が考える中野区の魅力について教えてください。

田中区長:中野は都心からのアクセスがよく、駅前商店街もあったりと移動や買い物に便利な環境です。また哲学堂公園をはじめ、中野四季の森公園など大きな公園や本五ふれあい公園、南台いちょう公園、白鷺せせらぎ公園などもあります。さらに新しい公園も積極的に作っています。

――区長も商店街に行かれるのでしょうか?

田中区長:行きますよ。商店街には昔ながらの店が多く、一歩裏側に入ると、安くておいしい飲み屋さんや食べ物屋さんがいっぱい並んでいます。子どもを連れて商店街を歩いていると、お店の人がやさしく声をかけてくれたりと地域の人の温かさにも触れられると思います。

孤立しがちなママたちを地域ぐるみで支えていきたい

――最後にママ向けに、メッセージをお願いします。

田中区長:今はお母さんがひとりで子育てをする「弧育て」をせざるをえない状況になりがちです。私としてはその部分を1番支えていきたいと思っています。生まれてきた子どもをみんなで迎え、生きがいと楽しさ、喜びをもって子育てができる、そういう街を区民のみなさんと協力しながら作っていきたいです。中野区では今後もそのための手立てを充実させていきます。商店街や公園などが充実している中野に今後も長く住んでもらえたらと思います。

取材、文・間野由利子 編集・北川麻耶

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