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新常識!「差し乳」は存在せず「溜まり乳」はトラブルのサインだった

ちょっと理系な育児のsumireです。書籍『ちょっと理系な育児 母乳育児篇』発売を記念して、今回は母乳育児でよく聞く話と事実のギャップを、書籍から1つご紹介したいと思います。みなさんは、こんな話を聞いたことはないでしょうか?

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この話、正しいのでしょうか……? 母乳がどのように作られ、溜められ、どのように出てくるかの科学的知識があまり知られていない現状では、実にさまざまな俗説が存在します。実際は、何が起こっているのでしょう? 書籍本文からご紹介します。

勝手に出てくる母乳は生産量が多すぎる

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十分な生産能力があるおっぱいは、母乳が勝手にピューピュー出てくる。

母乳の出方は、オキシトシン反射の強さによって変わります。ピューピュー出てこないおっぱいでも、十分な母乳を生産することができます。いつも赤ちゃんが激しくむせるほど出てくる場合は、母乳過多の可能性も。(中略)

母乳がまずくなったり腐ったりすることはありません!

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溜まった母乳=まずい、作りたてのフレッシュな母乳=おいしい。

作られた母乳が時間が経つとまずくなったり腐ったりすることはありません。見た目や味に変化があるとすれば、乳腺炎などのトラブルによるものかもしれないので、対処して解決を目指しましょう(p.103)。ちなみに、お母さんが食事制限しても、母乳の質や量はほとんど変わりません

赤ちゃんが飲んでいるのは溜まっていた母乳

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「差し乳」タイプのおっぱいだと、作りたてのフレッシュな母乳が授乳中に出てくる。

母乳は24時間生産され続け、溜められています。赤ちゃんが飲んでいる母乳の大部分は溜まっていたものです。

ふにゃふにゃのおっぱいにも母乳は溜まっています

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おっぱいがフニャフニャの時は母乳は溜まっていない。

おっぱいがフニャフニャでも赤ちゃんに必要な分の母乳は溜まっています。赤ちゃんが母乳を飲むペースには偏りがあり、頻繁に飲むときはよりいっそうフニャフニャになりますが、完全に空になることはほとんどありません。しかも、生理学的にはおっぱいが空になるほど生産スピードが速くなります。フニャフニャでも安心して飲ませて大丈夫です。

授乳中のおっぱいの張りは母乳を押し出している

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授乳開始後におっぱいが張るのは生産スイッチが入ったサイン。

授乳中におっぱいが張るのは「オキシトシン反射」による乳腺組織の筋肉の収縮の感覚で、溜まった母乳を押し出しているときのものです。

「オキシトシン反射」は授乳中に何度も起こりますが、ほとんどのお母さんは最初の1回しか気付きません

『ちょっと理系な育児(母乳育児編)』p.106「張り乳(溜まり乳)」と「差し乳」のイメージ・俗説と現実」より抜粋

一般的に、おっぱいが張ることは、「母乳が溜まっているサイン」と考えられがちですが、実際は「母乳が余っているサイン」なのです。つまり、1日に何度も痛みを感じるほど張る場合や、ほとんど常に張っていると感じる場合などは、母乳が作られる量が多すぎる可能性が高いです。

今まで「差し乳」と考えられていた現象は、実際は、母乳を出すための筋肉の収縮や、多すぎる生産量を減らすための母乳分泌細胞の減少などが起こった様子のことで、「溜まり乳」と考えられていた状況は、母乳過多乳腺炎などのトラブルのサインだったんですね。改善方法やさらに詳しい話は書籍に詳しく書かせていただきました。

ちょっと理系な育児 母乳育児篇

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作:牧野すみれ

出版社: 京阪神Lマガジン

文・sumire  イラスト・藤森スズメ

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