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スザンヌ:第7回 頼れるものには頼り「幸せになるための選択」をしたんだと忘れないで

2015年3月に離婚を発表したスザンヌさん。シングルマザーとして生きることを決めてから、2年が経ちました。この2年間のシングルマザーとしての日々、そしてこれからの生活についてお話をうかがいました。

■元旦那さんと離婚をされて、シングルマザーになると決まったときは、不安でしたか?

スザンヌ
当時のことはだいぶ忘れてしまったんですけど、「これからどうなっていくのかな?」とは思っていました。
でも実は、みなさんが思われるほどマイナスな気持ちでもなかったんですよ。「頑張るか!」という気持ちだったというか。

■シングルマザーになって、大変だなと感じたことはなんでしたか?

仕事と育児のバランスですね。その2つのバランスの取り方や、母子2人でやっていくなかでの、自分の立ち位置については悩んだし、大変だなと感じました。離婚直後は、「これからはお父さん役も私がやらなくてはいけなくなる」と思って、どうしていこうかなと考えていましたね。

■スザンヌさんご自身も、母子家庭で育ってらっしゃいますよね。その環境でもお母さまや周囲の方の愛情を感じて育ったというのは、シングルマザーとして子どもを育てていくなかで、支えになりましたか?

そうですね。私は、母と同性だったので、特に男親の存在を求めたことはなかったのですが、息子の場合は「いつかパパが必要なときがくるのかな」と思うこともあります。でも、私もそうでしたけど、意外といなくても大丈夫というか。むしろ、父親がいないことで円滑にまわっている場面もあるので、そのことについてはあまり考えないようにしています。
でもそのぶん、「ママしかいないから」という理由で息子に寂しい思いをさせたくないという気持ちは強くなりました。
愛情の注ぎ方や手のかけ方も変わったし、夫という存在がいないぶん、私の愛情は全て息子に注げるので、ちゃんと向き合えている感じがします。この2年で二人三脚感がずいぶん深まった気がしますね。

■実際にシングルマザーとしての生活が始まって、実感したことを教えてください

世の中には、シングルで子育てをしている方も多いと思うけど、頑張りすぎちゃっている人が多いなと思うんです。子育てって、夫婦2人でやっても大変なのに、それを1人でやるって、限界があると思うんです。だから私は「頑張りすぎないようにしよう」って思っています。
たとえば「子どもが熱を出した、でも仕事がある」というときも、1人でどうにかしようとしないで、近くに頼る人を見つけたり、いない場合は、行政がやっているものなども、「頼れるものには頼る」ということをしないといけないなと。
自分もそう決めたとき、すごく気持ちが楽になったんです。
それに、いいこともたくさんあるんですよ。いろんな人に助けられて、子どももいろんな人に面倒をみてもらって、人様の家にもお邪魔して……。私が近くにいないことで、息子のコミュニケーション能力が育っていたりするんです。
離婚したことで、仕事で離れる時間が増えたりもするけれど「そのぶん周りからたくさんの愛情を受けて育つ子になるだろうな」と思うと安心感もあるし、仕事を続けてよかったなと思います。

■同じ経験をしてきたお母さんから、離婚をするときに何かアドバイスはありましたか?

離婚を決めたときに、母がかけてくれたのは「大変だったけど、ある意味親孝行よね」という言葉。「孫の成長を近くで見られる」ことにそういう言葉をかけてくれたと思うんですけど、すごくありがたかったし、救われたんです。さりげなく親元に帰りやすい空気を作ってくれたので、さすがだなと思いました。
なので最初の3ヶ月は実家にいたんですけれど、その後は息子と2人暮らしを始めることにしました。

■大変なときに、気持ちを軽くしてくれる言葉は嬉しいですね。2人暮らしをスタートしてみてどうでしたか?

息子と2人での生活を始めて、自立していく自分に自信が持てるようになりました。それに、寂しい思いをさせたくないから、息子をいろんな人と会わせるようになりましたね。息子は人見知りしないタイプだったので、すごく良かったです。私が育った環境も、周りの人から愛情を感じられる環境で、それがすごく今の自分を作ってくれたと思っているので、その環境で同じように息子を育てられているのは、ありがたいです。
みんなで見守ってくれて、甘えん坊になりすぎたらどうしようと思うくらい(笑)。
周囲の愛情を感じてるので、息子ものびのび育ってくれてるなと思います。

■スザンヌさんと同じように、シングルで子育てをする方たちへ伝えたいことはありますか?

スザンヌ
みなさん、頑張り屋さんだし、本当に頑張ってるし、お子さんにはその姿がちゃんと伝わってると思うから、時には息抜きしたり、人に甘えたりしてほしいです。
『すくすく子育て』という番組の「シングルマザーの回」に呼んでもらったとき、番組に参加していたシングルファザー、シングルマザーのみなさんが、「シングル」であることに対してマイナスイメージを強く持っていたんですね。「離婚してしまった」「1人で子育てをしていくのが不安」と言っている方が多かったんです。
夫婦で話し合って、幸せになるために決めた離婚なのだから、それがその夫婦にとって一番良い形だったはず。だからそれに対して「悪いな」とは思わないでほしいなって。
子どもに対してかける負担はゼロではないかもしれないけど、「幸せになるための選択」をしたんだから、堂々として、大変なときは甘えていいと思うんです。
親だったり、親戚だったり、地域だったり、頼れるところは頼って「1人じゃできない」っていうことを、声を大にして言ってもいいんじゃないかなと思います。

■子どもに対しての罪悪感から、「大変」「辛い」という気持ちを我慢している人は多いかもしれないですね

夫婦2人で子育てをしていても、大変なものは大変なんだから、悲観的になりすぎないでほしいなと思うんです。「1人だと、こういうときに悩むんだよね」と話してみたほうがいいと思うし、周りの人も、心配はしつつも、どこまで踏み込んでいいのかわからないでいるかもしれない。「頼りたい」と声をかけたら、喜んで手伝ってくれる方が多い気がします。

■親の気持ちを子どもは敏感に察知しますもんね。「後ろめたい」という気持ちではなく「幸せなんだ」という気持ちを感じたら、子どももそれが幸せですよね

そうですね。私も母から「片親でごめんね」と言われたことはないし、むしろ「これがうちだから」という感じだったんです。自信を持って愛情を注いでもらって育ってきたので、私もそれができると思っています。
正直、夫婦ゲンカばかりしている姿を見せるより、ずっといい気もするんです。
旦那さんがいると思うと「これくらいやってよ」とか、期待してイライラしちゃうんだけど、いなければ、全部自分がやるしかないってわかってるじゃないですか。だからイライラもしないんですよね(笑)。
シングルの方は、自分の選択したことを後悔せずに、「幸せになるため」に選択したんだということを、忘れないでいてほしいなと思います。


凛とした表情で語ってくれたスザンヌさん。子どもが育つ環境を、ポジティブに作り上げていくことができる、とてもかっこいいシングルマザーだと思います。次回は最終回。最後までお楽しみに。

(取材・文:上原かほり 撮影:chiai)