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娘がマラソン大会で1位にこだわった理由。

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今学期も、残すところ1か月ちょっと。1年の総決算ともいえるこの時期に、長女の幼稚園ではマラソン大会が開かれます。年少の長女にとっては、はじめてのマラソン大会。運動会とはまた違った雰囲気のマラソン大会に、走りきれるかな~なんて親子で楽しみにしていました。しかし、長女の口から飛び出したのは、思いもよらぬ決意だったのです。

「見ててね。絶対に1位をとるから!」

今年に入ってから、幼稚園でもマラソン大会に向けた練習がはじまり、子どもたちもマラソン大会を意識しはじめた頃。帰宅した長女から「ママ、マラソン大会くる?」と聞かれます。「もちろん行くよ~!応援するからね」と答えると、長女は急に真剣な顔つきになり「見ててね。絶対に1位をとるからね」とまさかの勝利宣言。練習でうまく走れたのかな? なんて、あまり気にとめていなかったのですが、その日から毎日のように「絶対に1位をとる!」が口ぐせになってしまった長女。まるで、自分で自分に言い聞かせ、自分自身を追い込んでいるように感じました。せっかくのマラソン大会がちっとも楽しくなさそう。これはどうしたものか……。

“順位”を教えることの難しさ

マラソン大会で1位をとることは、とても素晴らしいことです。しかし、大切なのはそこにいたるまでの“過程”であって、あまり順位にこだわって欲しくないのが親としての本音。しかも、娘はまだ年少。1位というものが、本当にどういうものかがはっきりと理解できているかも疑問です。努力の積み重ねで手にする1位の価値を、まだ4歳の長女に教えることは時期早々なのではないか。年長くらいになればいろいろ分かることも増えてくるだろうし、年少の今は「マラソン大会を楽しむ」ことに注力した方が良いのではないのだろうか……。

しかし、「1位をとりたい!」と切に願う長女の気持ちはどこへ行けば良いのだろう。あまり深く考えずに「1位はスゴイよ! 頑張って!」と教えれば良いのだろうか……。なんて考え始めるとキリがなく、幼稚園に相談しました。

それでも、かたくなに「1位をとる!」を譲らなかった長女。実は……

幼稚園側も、マラソン大会の練習中に長女がいくどとなく「1位とる!」と宣言しているのを気にしてくれていました。しかし、現実は真ん中レベル。園側も「年少のうちは“楽しんで走り切る”というのがテーマなので、あまり順位に固執しすぎないように園でも家庭でもクールダウンさせていきましょう」とのこと。さっそく家でも、「大事なのは1位じゃなくて、楽しんで走ることなんだよ」と説明しますが、長女は一向に聞く耳をもちません。それより「一生懸命走っているんだけどさ、前の子に追い付かないんだよ……。どうしたら早く走れるのかな?」と聞かれてしまいます。「追い付かなくちゃ、1位になれないんだよ……。」悲しそうに話す長女に、なんだか涙が出そうになりました。まだ4歳の長女。頑張ろうとしている気持ちは伝わるし、その気持ちは応援してあげたい。でも、どうしてそこまでして1位にこだわるのか不思議でなりません。すると、少しづつ心の内を話してくれました。

「私もマラソン大会1位になれるんだよ! そしたら、パパ応援してくれるでしょ?」

毎日の生活の中で長女が感じていたこと……

我が家には二人の娘がいます。本を読んだり絵をかいたり、ドリルをしたりするのが好きな長女と、とにかく体育会系な運動大好き次女。長女は高いところが苦手で、ブランコもあまり好きではありません。お風呂に入れば顔にお湯がかかるだけで大騒ぎ。一方次女は、体を動かす遊びは何にでもチャレンジし、水もへっちゃらの豪快ガール。なんとも真逆な二人なのですが、それぞれの個性を伸ばすべく、良いところを誉めて育てているつもりでした。しかし、長女にはそう思えなかったようです。次女が運動で誉められるたびに「自分は運動ができない」と言われている気がしていたのです。

お正月にやっていた駅伝を応援しているパパを見て、走ることなら自分にもできるかも! 1位をとればパパもママも誉めてくれる! そう思ったのだそうです。だから今回のマラソン大会は、それを証明すべく何がなんでも1位をとらなくては……と意気込んでいたのだとか。正直、そうきたか……と驚きました。

“誉める”ことの難しさ

我が家では、“できない”ことに対しマイナスにとらえるのではなく、“できる”ことが多くなれば良いね、と教えていました。なので“できた”ことに対しては大げさなくらい誉めていたのですが、今回はそれがアダになったようです。“できた”ことをたくさん誉められる次女をみていた長女は、自分は“できない”から誉められないと考えてしまったのです。長女だけをたくさん誉めることも多いのですが……“誉める”って難しいですね。

長女の気持ちを受け止め「1位を目標にして今できることを頑張ろう! でも、その結果が何位でも頑張れたことが1等賞なんだよ。」で落ち着いたマラソン大会騒動。長女もあまり「1位とる!」とは言わなくなりました(たまに言いますが)。しかし、本当にこの教えで良かったのかも分かりません。もっと、しっかり目標に向けて頑張ることの大切さを教えるべきだったのかもしれません。結局悩みはつきませんね……。

子育てには正解がありません。親が正しいと思ってやっていたことが、実は子どもにとってはそうでもなかった……なんてよくある話かもしれません。ちょっとした子どもの異変にも気付いて、これからもしっかりと向き合っていかなくてはいけないな……と改めて考えさせられました。

それにしても、「1位をとる」宣言がここまで波及するとは思ってもみませんでした。マラソン大会、はじまる前からすでに走り切ったような感覚です。

 

文 武木 芽衣

 

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