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「孫の面倒を見るおばあちゃんに国が給料を払います!」トルコで新しい子育て支援がスタート

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「保育園落ちた日本死ね!!!」と嘆き怒るママの匿名ブログが日本を席巻したのがちょうど1年前。全国の働くママたちが戦々恐々とする、保育園の結果通知が届く季節がまたやって来ました。

日本だけでなく世界中どこの国でも、働くママが必ずぶちあたる子育ての壁 - それは「ママが働いている間、誰がどうやって子どもの面倒を見るのか?」というもの。文化や制度は違えど、どの国にも保育環境に「カンペキ」という言葉はなく、いつも問題が山積みです。

そんな中、トルコ政府が打ち出した新しい子育て支援プロジェクトが欧米でもちょっとした話題になっています。

それは「孫の面倒を見てくれるおばあちゃんには、国が給料を払う」というもの。

■もっともっと子どもを産んでもらうために……!?

少子化の日本とは違って、トルコの人口はずっと右肩上がり。この15年で20%ほども増えています。でもエルドアン大統領は、ことあるごとに「女性は最低でも3人子どもを産むべき!」と主張するなど、まだまだ人口を増やしたい様子。

しかし保育環境の整備はまったく追いついておらず、10年前は500近くあった公立の保育施設は、予算不足のため、なんと10分の1程度に激減。また、企業は従業員のために保育施設を提供しなければならないと法律で義務づけられているのですが、そんな法律を守る企業はごくわずかなのだそうです。

ところでトルコは昔の日本と少し似ていて、特に地方都市では3世代同居は当たり前。ときには親戚一同が一つ屋根の下に住むこともあるぐらい、大家族暮らしがいまだ健在なのです。ママが家事や仕事で忙しいときは、おばあちゃんや親戚が交代で子どもたちの面倒をみるということは珍しくありません。

そこに目をつけたトルコ政府。

今までタダで孫の面倒を見てきたトルコのおばあちゃんたちに、国がきっちり「給料」を払って、若いママたちが学歴やキャリアをあきらめることなく子どもをたくさん産むことができる環境づくりに一役買ってもらおう! と考えたようです。

■おばあちゃんを雇え!

この「おばあちゃん雇用プロジェクト」、まずは二つの地方都市で試験的に実施されます。
対象となるのは、パートタイムで働いている娘(嫁)の子どもをあずかることができる年金受給者のおばあちゃん1000人(1000家族)。おばあちゃんには月額およそ1万円ほどの「給料」が支払われます。おばあちゃんたちの年金は月に3万円弱~5万円ぐらいが標準だそうなので、それを考えるとけっこう良いバイトになるんじゃないかと思ってしまいますね!

プロジェクトは今後、他の都市にも拡大して実施されるそうです。そして最終的には全国で50万人のおばあちゃんを「雇う」計画とのことです。

■賛否両論の中でスタート

この2月にスタートしたばかりのこの大胆な子育て支援政策、対象となった都市ではプロジェクトに参加したいと希望するおばあちゃんが殺到し、まずは上々のすべり出しのようです。

しかしトルコ国内の有識者からは非難の声が!

『行政の怠慢!』

『遊び盛りの子どもの世話は高齢者だけでは限界がある』

『結局は女性ばかりに子育ての責任を押し付けることに変わりない』

など、ごもっともな意見が挙がります。*(1)

一方で国外からは、わりと好意的な意見もちらほら。

『ママも子どももおばあちゃんも、全員がハッピーになれる画期的な解決策では?』

という賛成派や、

『何もやらないよりはマシかも?』

といった、ちょっと控えめですが前向きな評価も見られます。*(2)*(3)

 

賛否両論で見切り発車の感もある「おばあちゃん雇用プロジェクト」ですが、半年後の8月にはその最初の成果が公表されることになっています。

たった半年で何かが変わるわけではないとは思いますが、トルコの今後の子育て支援の起爆剤となる(……かもしれない)この新政策、しばらくその行く末を見守りたいと思います!

 

文・はらじゅんこ

参照:
(1) AlMonitor, “Turkish grannies to get state salaries for grandchildren’s care“, January 6,  2017.
(2) Woman’s Day, “This Country Is Paying Grandmas to Take Care of Their Grandkids“, January 23, 2017.
(3) Working Mother, “This Country Is Actually Paying Grandmas to Care for the Kid“, January 18, 2017.