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【ここだけの話…教えて!アオイ先生!】 妊婦は貧血になりやすい!? ~妊娠中の貧血、その原因と対策~

記事提供: nicottie[ニコッティ]

妊婦健診で「貧血ですね」と主治医にいわれるまで、無症状なことが多く、気づきにくい妊娠中の貧血。でも実は、妊婦さんって貧血になりやすいことをご存知ですか?そこで今回は、妊娠中の貧血のことをお伝えします!

【ここだけの話…教えて!アオイ先生!】 妊婦は貧血になりやすい!? ~妊娠中の貧血、その原因と対策~

妊婦健診で「貧血ですね」と主治医にいわれるまで、無症状なことが多く、気づきにくい妊娠中の貧血。でも実は、妊婦さんって貧血になりやすいことをご存知ですか?そこで今回は、妊娠中の貧血のことをお伝えします!

『妊婦健診で貧血といわれました。まったく症状はなかったのでびっくり!どんな治療をするの?』

『主治医に、貧血だけど程度が軽いから、まずは食事に気をつけて、といわれました。どんなことに気をつけたらいいですか?』
『貧血がすすんできているからと、鉄剤を処方されました。副作用が心配だし、とくに貧血の症状もないから、もう飲まなくてもいいですか?』

程度の差はあっても、実は、妊婦さんは貧血になりやすいのをご存知ですか?その理由について、まずは医学的な側面からみてみましょう。

妊婦は貧血になりやすい、そのワケとは?

【ここだけの話…教えて!アオイ先生!】 妊婦は貧血になりやすい!? ~妊娠中の貧血、その原因と対策~

血液は、赤血球などの「血球」と、さらさらした部分の「血漿(けっしょう)」に分けられますが、貧血とはいったい、どういう状態をいうのでしょうか?
・ヘモグロビン(Hb):血液中の赤血球内にある、鉄をふくむタンパク質
・ヘマトクリット(Ht):血液全体で、血球(おもに赤血球)が占める体積の割合
この、それぞれの数値が減少した状態をいいます。

妊娠すると、おなかの赤ちゃんとママ自身に血液を届けるため、血液循環量が増えます。そのさい、赤血球の増加率(20~30%)に比べて、血漿部分の増加率(40~50%)が多くなります。ですから、血液中の血球の量はさほど増えていないのに、さらさらした水のような血漿部分の割合が増えてしまって、血液が水で薄められたような状態になるのです。そのピークは妊娠8ヶ月頃です。
また、妊娠中は赤ちゃんの発育のために、鉄分の必要量が増えることから、妊婦さんは鉄不足になりやすいともいえます。

このように、妊娠による特有な貧血症状を「妊娠貧血」といい、WHO(世界保健機構)ではHb11.0g/dl、Ht33.0%を基準とし、それ以下なら「貧血」だと定義づけています。
とくに、妊娠貧血の約90%は鉄欠乏性貧血で、妊婦の約30~50%にみられる、とする専門家のデータもあります。

貧血の症状は皆さんもご存知ですよね。階段を登ったときなど、動いたさいに感じる息切れ、動悸、疲れやすいなどが一般的です。ただ、妊娠貧血は、妊娠経過にともなって緩やかに進行していくため、無症状のことが多く、血液検査ではじめて主治医から指摘された、という人も多いのです。ちなみに、妊娠中に立ちくらみやめまいを経験される妊婦さんもいますが、これは、血圧の調整がうまくいかないことからくる一過性の症状であることが多く、今回の妊娠貧血とは区別します。

妊娠中の貧血、どんな影響があるの?

【ここだけの話…教えて!アオイ先生!】 妊婦は貧血になりやすい!? ~妊娠中の貧血、その原因と対策~

赤血球内のヘモグロビンは酸素と結ぶつきやすい性質があって、赤血球は血液の流れに沿ってカラダの各組織に酸素を運ぶはたらきがあります。ですから、妊娠貧血による赤ちゃんへの影響としては、貧血がかなりすすんだ場合、酸素や栄養が赤ちゃんに行きづらくなり、低出生体重児となるリスクが上昇する、といった報告もあります。
また、ママのカラダへの影響としては、重度の貧血の場合、お産のとき微弱陣痛になりやすく、お産が長引くリスクや、出産後に子宮がスムーズに収縮せず、出血が多くなるリスクなどがあります。
さらに、貧血が産後までにおよぶと、母乳の出に影響したり、疲れがいつまでもとれずに回復が遅れる、会陰切開や帝王切開後の創の回復が遅れるなど、産後の体調にも影響するおそれがあります。

一方で、お産に向けてカラダが準備することのひとつに、分娩時の出血に備えて、血が固まって止まりやすくなるよう、血液の成分が変化する傾向があります。しかしこれは、血栓をつくりやすいというリスクにもなります。ですから、血液が薄まってサラサラしているという、妊娠の生理的な変化は、血栓の発症を自然に予防しようとしているともいえるでしょう。

ですから、医師は、妊娠にともなう生理的な変化によって血液が薄まっている状態なのか、鉄分が実際に不足して貧血状態になっているので治療が必要なのかを、ヘモグロビンやヘマトクリットだけでなく、MCV(赤血球平均容積)や、貧血の指標となるその他の血液検査項目をみて、治療をおこなうかどうかの指標とするのです。
妊婦健診の節目で実施される血液検査は、必ず受けて、医師の指示を受けましょう。

妊娠中の貧血・・・その対策とは?

もし、血液検査で貧血だとわかった場合、その程度によって対策はかわってきます。
〇 程度が軽い場合は、食事療法をおこないながら経過をみます。

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<貧血改善のためのおすすめ!食事の工夫ポイント>
1)食生活の見直しから!バランスを考えて、3食摂ること
食品にふくまれる鉄は微量です。貴重な鉄分補給のために、まずは食事を3食きちんと摂ることを習慣にしましょう。

2)鉄分を多くふくむ食品を積極的に摂る
鉄分には、カラダに吸収しやすい「ヘム鉄」(吸収率:約10~20%ほど)と、吸収しにくい「非ヘム鉄」(吸収率:約1~5%ほど)とがあります。
ヘム鉄:牛・豚・鶏レバー、カツオなど赤身の魚、あさりなどの貝類、卵など、動物性食品に多く含まれます。
非ヘム鉄:ひじきなどの海藻類、ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜、切干大根、納豆や高野豆腐などの大豆製品など、植物性食品に多く含まれます。
注意したいことは、レバーなどに多く含まれるビタミンAは、過剰摂取すると胎児の器官形成に障害をもたらすリスクがあるので、とくに妊娠初期の摂取は控えましょう。

3)鉄の吸収を良くする工夫を!
鉄分は、他の栄養素と比べ吸収率が低く、とくに非ヘム鉄は、吸収率をみるとなんとなく損かな?とみられがちですが、動物性タンパク質やビタミンCと一緒に摂ることで吸収率がアップしますからおすすめです。
また、緑茶やコーヒーに含まれるタンニンには、鉄の吸収を妨げるはたらきがありますから、鉄の吸収率を考えると、食事の前後1時間ほどは控えるとよいでしょう。

〇 貧血がすすんでいる状態の場合、治療対象となり、鉄剤が処方されます。さらに、貧血がかなりすすんでいる場合には鉄剤の点滴をすることもあります。ただ、貧血の改善には時間がかかるのも事実です。鉄剤は用法・用量をかならず守りましょう。副反応として胃部不快感などがありますが、つらいようなら、自己判断で服薬を中止するのではなく、まずは主治医に相談しましょう。

妊婦健診でしっかりチェックを!

【ここだけの話…教えて!アオイ先生!】 妊婦は貧血になりやすい!? ~妊娠中の貧血、その原因と対策~

妊娠中の貧血は比較的よくみられることとはいえ、貧血がかなりすすむと、ママのカラダにも赤ちゃんにもさまざまな影響がありますから、決してあなどってはいけません。とくに妊娠前から過多月経などあって貧血だった人は、妊娠初期から貧血の改善を意識することが重要になってきます。このことからも、妊婦健診は毎回必ず受け、しっかりチェックしていくことが、おなかの赤ちゃんの成長はもちろん、ママのカラダも守り、異常の早期発見・早期治療につながるのです。

監修:坂本忍先生(産婦人科)

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コラム出典:【ここだけの話…教えて!アオイ先生!】 妊婦は貧血になりやすい!? ~妊娠中の貧血、その原因と対策~
(by nicottie[ニコッティ] )