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東京都の待機児童対策、本気出した小池都知事に期待する理由

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2016年6月に政府が「ニッポン一億総活躍プラン]を閣議決定してからまもなく1年。

「一億総活躍」

このフレーズを聞くたびに、本来ならポジティブな言葉である「活躍」という二字熟語に、歯ぎしりしたいような、脱力感を覚えるような、ネガティブな印象を覚えるようになってしまいました。

「産めよ・育てよ・働け」なんなら「介護もせよ」とばかりに、女性の“活躍”ありきで政策を発表するものの、「そこじゃない!」感が半端ない、あらゆる政策が生ぬるい。

「配偶者控除廃止」(後に撤回)

「育休最長2年まで取得可」

「3世代同居推進」

働かないと税金上げちゃうよ?
あ、でも保育園増やせないから、ある程度大きくなるまで自分で育ててね。
なんなら親と同居して子どもの面倒見てもらいなよ。
ついでにその親が歳とったら介護もしてね。

夫が長時間労働で絶賛ワンオペ育児だというのに、同居のストレスも抱え込ませ、ゆくゆくは介護にかかる税金も安くあげようなどと……。
これらの政策を思いついた役人さんは「お、いいこと思いついちゃった。」くらいの感覚なのでしょうか。

今日び子育て世代の親なんて、まだまだ現役で働いている方のほうが多いでしょうに。育児を任せるどころか、勝手に甘いものを与えようとするジジババにママがストレスを抱える上に、家事も2倍になりますやん。さらにもう一人子どもを産むだなんて、子どもの将来の教育費も考えると、完全に無理ゲーです。

そもそも保育園も足りてないのに……。

本気で少子化をなんとかするつもりはないのでしょうか?

小池百合子都知事は、本気を出したよ

2016年8月に東京都知事に就任した小池百合子氏。

都知事選でのあらゆる逆境や反対勢力をはねかえしてきた冷静な彼女。東京都民でなくとも、その素早い対応力や強い信念に、「今まで表稼ぎのために小手先の政策を繰り広げてきた政治家とは違う」という印象を与えました。

先日小池都知事が2017年度待機児童対策として計上した予算は過去最大の1,381億円。前年度と比べても4割増しです。

主な内訳としては、

〇保育士の給料を、1人に2万円さらに上乗せ。

これまで行っていた保育士への給与補助に、さらに2万円上乗せし、給与補助額がほぼ倍増。全産業に比べて3分の2程度しかないといわれる保育士の給料が、幼稚園教諭と同じくらいの水準になる見通しに。

〇育児休業明けの保育士の子どもが待機児童になった場合には、月額28万円のベビーシッター代を都が負担する

とにかく保育士に復職してもらいたい。これまで長年手を付けなかったのがベビーシッター補助でした。

〇保育園用に土地を貸したら、固定資産税はタダ

マンション用に土地を貸したら固定資産税が6分の1になるのですが、今までは保育園に土地を貸しても一切減税措置がありませんでした。ところが今回の小池都知事の政策によると、有償で貸しても、固定資産税はゼロ。「賃料欲しーい! 固定資産税払いたくなーい!」と思っておられる地主様に、新しく保育園を造ろうにもなかなか作る場所が決まらないという問題をウィンウィンで解消してもらおう、という試みです。

でも、あともう一声欲しいの。

保育園用地の固定資産税をタダにしても、

・保育園用地として国の基準を満たす土地の少なさ
・近隣住民の反対

これらが解決するわけでもなく、

保育士の給料が上がっても、

・サービス残業、持ち帰り仕事が多い
・代わりが確保できず、産休育休を取りづらい

子どもが好きだからこそ保育士になるのに、産後仕事に忙殺されて子どもとゆっくり向き合えないとなると、出産を期に退職する人が多いという流れはなかなか止められないかもしれません。

それでも今後、小池都政での待機児童対策が期待できる理由

2016年の都知事選の際、小池都現知事の人柄を表すこんなことがありました。

元都知事の石原慎太郎氏が、ほかの候補者の応援演説中に、「(小池氏は)大年増の厚化粧」と暴言を吐いたのです。

それに対し小池百合子氏はその後出演したTV番組でこの件について聞かれ、

「いやー、日本の男性であのくらいの方っていうのは直接そういうこと(考えもなく平気で失礼なことを)おっしゃいません?」

また言ってらーー、ははは、と冷静に余裕の対応で笑い飛ばした小池百合子氏。

私なら相手の家に直接乗り込んで、ラリアットの一発でもかますところですが。

小池都知事が就任時から「喫緊の課題」と位置付けている待機児童問題。舛添要一前知事時代に決まった「4年間で4万人の保育定員を増やす」という目標をさらに引き上げて、「4年間で7万人」とし、2019年度末での待機児童ゼロを目指す政策を実行しようとしています。

数字だけではピンとこないのですが、それは「あらゆる対策を総動員しないと達成できない水準」と都幹部に言われるほどの難題だそうです。

多くの政治家のように“できない目標”をかかげて票集めのパフォーマンスなどせず、冷静で明晰な彼女なら「できる」と踏んだからこその今回の待機児童に対する破格の予算計上。

今回の政策を経てなお残る問題も小池都知事なら、「あらゆる対策」で解決してくれそうな気がするのです。

 

文・東京都民ではないけど、保育園激戦区に住む 桃山順子

<参考>

日本経済新聞「待機児童対策、4割増額『小池流』予算を読む