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かんじんなことは目では見えない――サンテグジュペリによる名作『星の王子さま』の絵本版

記事提供:学研キッズネット for Parents

かんじんなことは目では見えない――サンテグジュペリによる名作『星の王子さま』の絵本版
「絵本 星の王子さま」

作:サン・テクジュベリ 訳:池澤夏樹/価格:1,700円(税別)/集英社刊

何度も読むうちに味わいがます「心の友」のような存在

先日ある国民的アイドルにインタビューに行った時のこと。「フランス語を勉強するのが夢」という彼女にその理由を聞いたら、思いがけず「星の王子さま」の話になりました。彼女曰く、小1の時におじいちゃんから「読んでみなさい」と「星の王子さま」をプレゼントされたものの当時は本の良さがわからなかった。でも折に触れて読み返したり、他の訳者が書いたものを読んだりしているうちに、原書を読んでみたいと思うようになったのだとか。

 

言われてみればわたしにも、はじめて読んだ時にはよくわからなかったけれど、成長して読み返したら一気に惹きこまれて、それ以来「心の友」のような存在になってくれている本がいくつかあります。「星の王子さま」も、そのうちの一冊。砂漠に不時着した飛行士と、小さな星からやってきた王子さまの出会いから別れまでを描いた物語。価値観が凝り固まった大人への皮肉と示唆に満ちていて、年齢を重ねるごとに味わいが増すばかりです。

 

ひらがなが読めるようになった子どもが自分で読める「星の王子さま」

内藤濯さん訳による岩波版の版権が切れた2005年以降は、倉橋由美子さんをはじめ、そうそうたる面々による新訳版が次々発売されました。その新訳版の流れの中から今回紹介するのは、作家の池澤夏樹さんが手がけた「絵本版」。この本のポイントは、漢字にすべてフリガナがふられていること。文章量も子どもが読めるように調整されていて、ひらがなが読めるようになったお子さんならだれでも自分で物語を読み進めることができるのです。

 

買ってきた本を兄太(小1)の机に置いておいたら、絵のかわいらしさにひかれて早速読書スタート。さすがに一回ですべてを読み切ることはできないようですが、章ごとに読むところを決めて、王子さまといっしょに星を旅したり、友だちと出会ったり、彼なりに楽しんでいるようです。

 

この物語は「幼い時に出会って、ずっと読み続ける本」だと言う池澤夏樹さん。文章が難しかったりしてこの本との縁が切れてしまったりすることがないように「幼い子がすらすら読める」ことを意図した(あとがきより)という言葉選びは、小学生がはじめて読む“小説”にピッタリ。10年後、母の本棚から倉橋由美子さん版を持って行って読みふけるような子に成長してくれたらいいなぁ…と夢想する母にとっても、最高の一冊だと思います。

 

コラム出典:かんじんなことは目では見えない――サンテグジュペリによる名作『星の王子さま』の絵本版
(by 学研キッズネット for Parents)