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絵本トーク&ライブショーに親子で夢中に! 室井滋率いる謎の集団「しげちゃん一座」とは?【前編】

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室井 滋さんといえば、ナレーターやエッセイストなど多方面で才能を発揮する女優さん。子どもたちには、映画『ファインディング・ドリー』のドリーの吹き替えをされたことでおなじみですよね。実は最近、絵本作家としても活躍されているんです。
そして『おへそのあな』や『いいから いいから』などの破天荒かつユーモア溢れる作品が絶大な人気を誇る、絵本作家の長谷川義史さん。
そんなおふたりを中心に、ジャズ・サックス、フルート奏者の岡 淳さん、ピアニストの大友 剛さんという一流ミュージシャンを迎え結成された「しげちゃん一座」。2011年の誕生以来、公民館や学校、ホール、ホテルなどを回っては、楽しい絵本トーク&ライブショーを行っています。

一見あまり共通点のなさそうな4人。どうして一座が誕生したの? どんなライブを行っているの? 「しげちゃん一座」の正体を、室井さん&長谷川さんのおふたりに語っていただきました。

長谷川さんが大先生になっていたので、びっくりしました

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──現在、ともに「しげちゃん一座」としてご活躍をされている室井さんと長谷川さんですが、おふたりの出会いについて、教えてください。

室井さん「私が12年間雑誌に連載していたエッセイの、誌面を飾るイラストを描いてくださっていたのが長谷川さんでした。その連載が最終回を迎えたときのご挨拶に、長谷川さんが東京で開催されている個展へ伺ったんです。長谷川さんが大阪在住ということもあり、連載していた12年間で、実際にお会いしたのは3回ほどだったのですが、いざ個展会場に行ってみたら、長谷川さんが絵本作家としてすごい方になっていたのが分かって」

長谷川さん「室井さんの連載が始まった当時は、まだ絵本は描いていなかったんですよね」

室井さん「出版社の忘年会でお見かけして、『おとなしい、かわいらしい人だな』と思っていたくらいの印象だったので、とてもびっくりしました(笑)」

──長谷川さんのほうは、室井さんにどんな印象を持っていたんですか?

長谷川さん「室井さんの原稿に絵を描いて東京に送るだけだったので、とくに……。『テレビに出てる人』だなと、思ってました(笑)」

室井さん「長谷川さんが大先生になられていたことに、とにかく驚いた展示だったのですが、ちょうどそのとき個展にいらしていた、出版社・金の星社さんから『室井さん、絵本に興味があるんですか? 描いたらいいのに』ということを言われて。それで描いてみた絵本が『しげちゃん』なんです」

──そのときに「では、絵は長谷川さんにお願いしよう」となったんですね?

室井さん「最初は、絵も自分で描くつもりだったんですよ。だから出版社に、絵も自分で描いて持っていったの。『このお話でいきましょう!』と決まって、『じゃあこの絵はどういう画材で描いたらいいんですか?』って聞いたら、編集さんが『えっ? 自分で描くつもりだったんですか?』って。『せっかくの処女作ですし、絵は長谷川さんに……』と言われて、しょうがないからお願いしました」

──「しょうがないから」!(笑)

室井さん「だって自分で描きたかったんだもの(笑)。そうしたらすっごくかわいいのができてきたので『これは、すごいわ』と思いましたね」

音楽が入るとこんなに幅が出るんだ! って、とにかく楽しくて

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──そこからの流れで、しげちゃん一座が誕生したんですか?

室井さん「そのあとに私の地元・富山で、また長谷川さんの個展があったんですよ。そうしたら長谷川さんから『トークイベントがあるので、一緒に出ませんか?』と誘っていただいたんです。長谷川さんは絵本の読み聞かせもあちこちでされていたんですけど、せっかく一緒にやるなら、ただ話と朗読をするだけじゃなくて、何かおもしろいことをしよう! って話になって。それで『しげちゃん』の読み聞かせプラス、長谷川さんの持ち歌を一緒に歌ったり、富山クイズをやったり。それがふたりでの活動の第一回目ですね」

──長谷川さんには持ち歌があったんですね(笑)。

室井さん「そうなんです(笑)。そのイベントのあと、私が大阪が舞台のドラマに出ることになり、長谷川さんに大阪弁のご指導をお願いしたんですよ。撮影前日に大阪入りしたので、そのままご自宅にお邪魔したんです」

長谷川さん「その場に、僕と仲良くしている人たちも同席していて、絵本や保育関係のイベントを手がけている方々だったんですけど、僕と室井さんに何かをやってほしいと思っていたらしいんですよ。で、富山でのイベントの話をしたら『ぜひ大阪でも!』と言われて」

室井さん「そのあと行った飲み屋に、たまたまライブで大阪に来ていた岡さんも呼んで話をして。やっぱり音楽があったほうが楽しいじゃないですか? 『ピアニストもほしいね』となったので、長谷川さんが何度か共演されていた大友さんにもお願いしたんです」

長谷川さん「それから大阪の高槻市でやった公演が、4人が揃った最初です」

室井さん「それがすっごく楽しくて。終わったあとも、お客さんも興奮状態になっちゃって帰らないんですよ」

長谷川さん「僕も自分ひとりでやったり、大友さんとふたりでやったことはあるんだけど、4人揃ってやったのがとにかく楽しくて。音楽が入るとすごく幅が出るし、『これで全国を回ったらおもしろいね』って話をして」

室井さん「そのあとどうしてこんなに公演数が増えたのかわからないんだけど(笑)、オファーがどんどん来て、この5年間で100ステージ以上はやってますね」

長谷川さん「お客さんも、親子だけじゃなくておじいちゃんおばあちゃん、若い人もいるし。いろんな人が来てくれます」

しげちゃん一座は、ジャズスタイルなんですよ

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──活動をするうえで、「こんな一座にしたい」といったイメージはありましたか?

長谷川さん「自然に始まったことだし、そんなイメージはなかったですね。僕と室井さんで作った絵本『しげちゃん』の読み聞かせをしたり、歌ったりトークしたり、時間を埋めるのになぞなぞを出したり、ステージの上でやることもいろいろで。でも、やり続けていくうちに、もっとレパートリーを増やしたくなってくるんですよね」

室井さん「そうそう。大友さんが手品をやるので、私もまねしてやってみたり。4人全員で大がかりな手品をやりたい、という話になったこともありますね」

──それは……たとえば胴体切断イリュージョンみたいなものですか?

室井さん「そう! ただ、調べてみたらセットのレンタルだけでも数十万かかるとわかって、断念しました。でも、そんなふうに『あれがやりたい、これがやりたい』と話しているだけでも楽しいんですよ。ちなみに、今好評を得ている出し物は、私のおでこで弾く鍵盤ハーモニカなんですけど(笑)」

長谷川さん「今、一番ウケてます。ウケたので、そこから毎回プログラムに組み込んで、レギュラー化してます」

室井さん「出し物はそのときのノリで変わっていくんですよ。シーズンごとに絵本の出し物も変わるし。歌の作詞作曲も自分たちでやるので、朗読する絵本に合わせた曲を作ったりもします。『しげちゃん』以降もこのふたりで一緒に何冊か絵本を作っているんですけど、どちらかといえば、絵本を出すことよりも、ライブのレパートリーを増やすことが目的というか(笑)。

──レパートリーが多いと、毎回準備がたいへんそうですよね。そのあたりの苦労はないのでしょうか?

室井さん「集まって特訓したりとか、綿密な準備を重ねたりとかは、実を言うとないんです。これをいうとお客さんに怒られちゃうかもしれないけど(笑)、その現場でリハーサルをして、本番です」

長谷川さん「本番で試す、っていうかね(笑)」

室井さん「私たち、ジャズなんですよ。しげちゃん一座はジャズスタイル、つまり即興演奏なので、特訓はおのおので。近ごろはステージの上で、『最近何してた?』なんていう小話も挟むんですけど、それが本当におかしくて……。その瞬間は、自分たちもお客さんになっているよね?」

長谷川さん「もちろんお客さんにも笑ってほしいんですけど、一緒にステージにいる室井さんにも笑ってもらわないといけないし。だからそのとき話すネタは、本番のときにしか使わないようにしてます」

室井さん「3〜4日のツアーに行ったときは、毎日同じネタだと私が笑わなくなるから、ネタがたくさん必要なんですよ」

長谷川さん「お客さんは毎日違うから、同じネタをやってもええんですけどね」

室井さん「私たち、”パターン”を許さないからね! 朗読は決まった台本があるのできっちりやるんですけど、それもジャズなので、力の入れ加減や登場人物のキャラを、その場その場で変えてみたりしています」

バラバラな4人が揃うからこそ、やっていて飽きない

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──お話を伺っていると、「しげちゃん一座」のステージ、めちゃくちゃ楽しそう! と思ってしまいます。

室井さん「たぶん、相性がよいんだと思うんですよ。4人がバラバラじゃないですか? 普段の活動も、住んでいる場所も違うし。でもたまにその4人が集まると、バラバラだからこそ、かぶらないおもしろさがあるっていうか。一緒にいて飽きないし、飽きたころにはまた解散するので(笑)」

──毎回、新鮮な気分で始められるわけですね。

長谷川さん「それに、一冊目の『しげちゃん』が、しっかりとした本だったっていうのも大きかったと思うんです。正直なところ、タレントさんが出すような絵本って、作品そのものよりタレントさんの名前が先にくる本もあるわけじゃないですか。でも『しげちゃん』はそうじゃない。小学校の教科書にも載ったくらいしっかりした本だったから、今につながっているんだと思います」

──この一座を始められてから、ご自身に何かよい影響があったと思われることはありますか?

長谷川さん「『しげちゃん一座』をやるようになってからは、歌も歌わなきゃいけないし、朗読もしなきゃいけないしで、できることが増えたなと思います。しかも朗読って、自分で何役もするときがあるでしょ? そのあたりも、本業が役者さんである室井さんにいろいろ教えてもらえて、すごく勉強になりましたね」

室井さん「私はもともと声の仕事がすごく好きだったんですけど、声優学校で訓練を受けているわけでもないので、若い頃はなかなかチャンスがなかったんですよ。最近では少しずつ増えてきたんですけど。一座をやるようになってからは、ここが自分の居場所というか。続けていけることがうれしいし、何より同じ絵本を何百回も朗読できることが嬉しいなって思いますね」

 

お話をうかがうほど「実際にライブを観てみたい!」と思わずにいられなくなる、しげちゃん一座。とはいえそれぞれの分野でも大活躍中の4人、「ライブに足を運べるチャンスはあるのかな……?」そんなママに朗報が! くわしくはトーク後編をご覧ください♪

取材・文/鈴木麻子 撮影/泉三郎

 

しげちゃん一座 1stアルバム『8つの宝箱〜いとしの毛玉ちゃん〜』(COCX-39764)11月23日リリース

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絵本『いとしの毛玉ちゃん』(金の星社) 室井滋:作/長谷川義史&むろいしげる:絵 11月23日発売

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定価(本体1,300円+税) ISBN978-4-323-07363-7

 

文・編集部

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