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2週間に1人が虐待死。もしも望まない妊娠をしてしまったら……?

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先日、霞が関で行われた「日本こども縁組協会」の設立記者会見に参加しました。現在開催中の臨時国会で審議されている「特別養子縁組あっせん法」の成立を後押しするため、認定NPO法人フローレンスなど民間4団体が協会を立ち上げたものです。

そこで語られたのが「生まれたばかりの赤ちゃんが2週間に1人の割合で虐待死している」という衝撃的な事実です。

よくニュースなどで「トイレで出産し、どうしたらいいかわからなくてそのまま遺棄した」ということは耳にしてはいたのですが、正直、ここまで多いとは思いませんでした。

私のまわりは不妊治療に取り組む友人がいます。また、やっと妊娠できても流産してしまった人もいます。不妊治療をがんばりつつ、その一方で養子縁組を考えている夫婦もいます。

「実の親が育てられないなら、自分の子どもとして育てたい!」そう思う夫婦も多いのではないでしょうか。

妊娠中の女性も生まれてくる子どもも救える「特別養子縁組」とは?

こうした状況を解決するために「特別養子縁組」があります。望まない妊娠をしたのであれば、母親が妊娠中に相談にのり、その結果どうしても育てられないとなった場合、生まれた瞬間に育ての親にバトンタッチをすることができます。

子どもの利益と福祉を目的としている「特別養子縁組」では、基本的には6歳未満の子どもであれば、子どもを希望する夫婦のもとで実の親子として暮らすことができるのです。主に家の存続等を目的とした「普通養子縁組」や一時的な保護を目的とした「里親制度」と違い、「特別養子縁組」の場合は戸籍上も「長男、長女」というように実の子として表記されるので、生涯実の親子関係が継続される制度です。親子ともに気持ちの上でもずいぶん違うのではないでしょうか。

「特別養子縁組」を支える制度や法律がないため広がらない

特別養子縁組の仕組みはあっても、まだまだ日本では十分に広がっているとはいえないのが現実です。実親が親権を手放さない、子どもと新しい家族とのマッチングにかける人手が足りないなど、いろんな事情があると思います。

なかでも大きな問題は、法律の不十分さです。特別養子縁組の制度を社会的に支援、後押ししていこうというような法律や制度、ルールというものが存在していないのです。それによって、必ずしも適切ではない形でのマッチングが行われることもあります。マッチングにかかる費用も、成立件数の約4割を民間団体で行っているにも関わらず、行政からのサポートは1円もなく、各民間団体がボランティアに近い形で運営しているのが現状です。

法整備を後押しへ。「日本こども縁組協会」を設立

このような状況を変えるべく立ち上がったのが、認定NPO法人フローレンス、一般社団法人アクロスジャパン、一般社団法人ベビーライフ、NPO法人 環の会の4団体からなる「日本こども縁組協会」です。

「特別養子縁組を社会全体で後押しする仕組みを作るためには、個々の団体がそれぞれに訴えるよりもきちんと声を集め、政治あるいは行政に声を届けていくべき」(認定NPO法人フローレンス代表駒崎弘樹氏)との思いから、2016年8月に「日本こども縁組協会」を設立し、この秋の臨時国会での成立を目指し活動しているのです。

「Yahoo!知恵袋」で専門家の回答が閲覧可能

「予期せぬ妊娠」や「望まない妊娠」をした場合、家族や友人であってもなかなかすぐには相談できないのではないでしょうか。ネットで検索しても、必ずしも適切な回答に出会えるとは限りません。こういった悩みを解決するべく、ヤフー株式会社(Yahoo!JAPAN)では、「Yahoo!知恵袋」上でその分野の専門家の監修を受けた質問と回答が閲覧できる取り組みを始めています。

たとえば「望まない妊娠をしてしまった」「赤ちゃんを産んでも育てられない」、こんなキーワードで検索した場合、「日本こども縁組協会」が専門家として作成した回答を閲覧することができます。正しい情報、適切な相談窓口があれば、それによって救われる命があるかもしれません。

まわりに「望まない妊娠」をした人がいたら……

もし、友達など身近な人から相談を受けた場合、まずは専門の相談窓口があることを伝えてあげてください。一般的には行政や地方自治体などの電話相談窓口で相談したり、また、日本こども養子縁組協会を立ち上げた各団体の相談窓口に連絡するという方法があります。

「窓口を通じて相談にのりながら、もし本当に特別養子縁組という手法がベストだと思ったらマッチングを進めていきます。相談にのっていくなかで、自分で育てたいと思う場合は自立に向けてサポートしていきます」(駒崎氏)

まだまだ日本では稀なことである「特別養子縁組」ですが、社会全体での理解が広がることで「望まない妊娠」で悩む女性、生まれてくる赤ちゃん、施設で暮らす子どもたち、特別養子縁組を希望する家族など、それぞれが一歩前に進めるのではないかと思います。

9月26日から約2カ月にわたって行われているこの秋の特別臨時国会。特別養子縁組あっせん法が成立することで、特別養子縁組が社会に広がっていくことを願います。

取材・文/ライター 間野 由利子