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帝王切開での出産。一番に願うこと、それは……

出産で1

もう10年近く前ですが、筆者は高齢出産といえる年齢で、臨月を迎えました。予定日超過に始まり、入院や微弱陣痛、緊急帝王切開と、今思えば波乱万丈でした。親子で無事に乗り切れたので、これ以上の喜びはないと思っていましたが……。

ただ一点、不思議さを感じたことがあります。それは帝王切開後にドクターからいただいた言葉で気づいた、世の中にはびこる根強い考え方でした。

■出産体験談・予定日を過ぎて入院

38週の健診で「逆子になっています」と言われ、「ええええー今!?」と慌てたのも束の間、40週目には元に戻っていました。しかし予定日を一週間すぎても、まったく産まれてくる兆候なし。38才の高齢出産だったこともあり、入院しました。

「病院内を歩きましょう。でも人のいない階段は歩かないでね」と言われ、1日たち、2日たち。回診にくるドクターからは「今日は新月なので」「41週までには必ず生まれますから」と励まされても、胎動はものすごくあったものの生まれる気配はナシ。「昨日は10人生まれた。やっぱり新月パワーってあるのね」という助産師さんたちの言葉もむなしく、迎えた5日目の夜。やっと「破水したかも?」と感じ、確認してもらうとやはり破水しており、分娩室の隣の部屋で待機することになりました。

■陣痛が弱く、緊急帝王切開に

けれども、ほぼ丸一日、微弱陣痛が続きました。陣痛が5分間隔になり、分娩台に上がるもそこから数時間状態は変わらず。陣痛促進剤を打つと、遠くからアフリカの太鼓の音が聞こえるかのように、ドンドコドンドコ痛みが近づいてきては去っていく……。これは言葉にするのが難しいのですが、痛いのに生まれる感じがしないというか、子宮の外側だけ痛くて内側にはまったく変化がない?という感じでした。「陣痛促進剤の投与量をどんどん増やすだけなら、変わらない気がする」と素人ながらに思っていたほど。案の定、状態は変わらず……。破水から23時間が経過し、だんだん胎盤機能が落ちてきて羊水も濁ってきたため、緊急帝王切開となりました。

※後からわかったのですが、「回旋異常」といって赤ちゃんの頭が引っかかって、出てきにくい向きになっていたようです。

■緊急帝王切開、そして気になった一言

最大量投与されていた陣痛促進剤の影響もあってか、陣痛の痛さは半端なかったのですが、麻酔を打った瞬間からとてもラクになりました。手術そのものは、意識のあるまま15分ほどで終わりました。術後の痛みも相当でしたが、入院してから一週間が経ったころ。長かった陣痛や帝王切開を経験し、「とにかく無事に生まれてくれてよかった!」と、ただそれしか思っていませんでした。病院もドクターも助産師さんも本当に親切で的確な処置をしてくれたし、感謝感謝。

しかしここで、ドクターの口から気になる一言が飛び出します。

「帝王切開だったけど、自分で産んだという誇りを持ってくださいね」

不思議でした。「帝王切開は自然分娩より誇りを持てないことなのか?」と。これは、「自然分娩こそベストな出産という独特の価値観が、まだ根強いのだな」と思うきっかけになりました。

出産で2

■出産で一番に願うこと

出産で一番に願うことは、「最終的に母子ともに無事なこと」ですよね。だから私にとっては、赤ちゃんのために帝王切開を選択したことは、少しも迷いのない選択でした。実は筆者には、流産・死産の経験があります。だから無事に赤ちゃんが産まれること以外に望むことなんて、何もなかったのです。

出産で3

出産は病気ではありませんが、命をかけた一大事です。たとえば病気なら、「できれば自然治癒で」「治療するなんて情けない」なんて言い訳は、普通しませんよね。出産に話を戻しますと、「できれば自然分娩で」とこだわりすぎたり、「帝王切開になっちゃって……」と帝王切開になったことを気にするママがいたりしたら、ちょっと立ち止まって考えてみてほしいのです。

自分が出産で一番に願ったことは何だったのか?

そのことを思い出すきっかけとなるよう、パパや周りの方の声かけも必要かなと思ったりもしています。

文・編集部 イラスト・おぐまみ