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『ダーリンは外国人』 さおり&トニーのドイツ生活インタビュー!

人気のエッセイコミック『ダーリンは外国人』シリーズで知られる、漫画家の小栗左多里さんと作家のトニー・ラズロさんがママスタに登場!移住して3年目のドイツ・ベルリンで、小学生のお子さんを育てていらっしゃる2人に、ドイツでの学校生活や、トリリンガル教育のコツや工夫、そして仲良し夫婦の秘訣をお伺いしました。

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撮影:山本哲也

ドイツと日本で感じる違いは?

—日本に一時帰国して、あらためて日本について感じることはありますか?

(さおり)ドイツから日本に帰ってきて、東京のぎゅうぎゅう詰めの電車に乗ると、お子さんを連れて乗る方は大変だろうなあと思います。今住んでいるベルリンは、東京の3分の1程度の人口なのでそこまで混まないです。満員電車で毎日ストレスが溜まっている方が、迷惑だと感じる気持ちもわからなくないですけど。誰かが子どもを産んで育てないと、社会が成り立たなくなるから、もう少し優しい目で見て欲しいと思いますけどね。

ドイツでは、基本的に席を譲らない。おばあちゃんが、座っている子どもを立たせたりするぐらいです。そこまで子ども中心ではないからでしょうか。でも、子どもがいるのを迷惑そうには思っていない感じはします。ベビーカーが来たら必ず場所を空けるし、バスでぐらっと揺れたら誰かが支えたりしますね。

また、たとえばハンガリーでは、小さい子を連れていると、最初に目があった人がパッと立ってくれますね。社会の教育ですね。

(トニー)日本に比べて明るくて、反応が早く活発な子どもが多いような気がします。「たった今ゾウさん見たよ!広告だったけどね」なんて言って周囲を笑わせたりしますね。

ドイツと日本の教育ってそんなに違うの!?

—ドイツと日本の子どもの育て方の違いはどう感じますか?

(さおり)ドイツの子は全体的に元気すぎるくらいの子が多いですね。親が無理に押さえつけないです。

日本人だと確実に止めるような、危険な場所で遊んでいる子をそのままにしているのが気になります。ドイツでは見ていて、ハラハラすることも多いですね。

(トニー)でもしょっちゅう「ダメダメ、危ない」と言われる日本人の子どもは、怒られるかもしれないからと、まずはなんでも少し待つ傾向がありますね。

ドイツでは、そうして躊躇すると「積極性がない」とマイナス評価になりがちです。

消極的な性格だと、子どもが損をする?

(トニー)いじめをしたり、人のものを取ったりする攻撃的な子でもなく、取られても嫌だと言えないような受け身な子でもない、中間にいてほしいですね。

(さおり)ドイツはなんでも、前に前に出る子が多いですが、日本人の子どもは、消極的な子が多いので、あまり良くないとされてしまいます。

(トニー)ドイツでは、子どもに何かしなさいと指導しないことが多いですね。
親としては、課題に取りかかろうとしない子を積極的に指導してくれないのは、教師がその方がラクだからなのではと心配してしまいます。

誰も助けてくれず、様々な活動に参加できないのは損ですね。良い成績をもらえないですし。

ただ、人生という長いスパンで考えれば、無理に変わらなくてもいいのかもしれません。まだ、我が家でもどうしたらいいのか考えているところです。

授業中、手をあげない子どもにはどうしたらいい?

(トニー)小学校のクラスで掛け算の質問があれば、答えがすぐにわかって手をあげる子もいますが、答えがわかっていなくても手をあげる子もいますね。

でも、黙って考えているだけで、手をあげていない子にどう声をかけたらいいでしょうか? 他の子が答えたら、「そうだ」と言えるのに、手はあげない子。

日本では、そういう子には「考えながらでもいいからまず手をあげてみないか?」と提案しますか?

(さおり)ドイツでは、手をあげて発言しないとすごくマイナス評価になって、成績が落ちてしまうんです。難しいですね。

授業でなかなか手をあげられない消極的な子どもが心配で、悩んだことのあるママも多いのではないでしょうか? 欧米では日本に比べると、さらに積極的であることが重要。将来、子どもが海外に出たり、グローバルに活躍して欲しいなあなんて思う方は、参考になりますね。

さおり&トニーの仲良し夫婦に学ぶ!

—いつも仲良しで羨ましいご夫婦ですが、その秘訣はありますか?

(さおり)そんなことないですよ、ケンカもします。もう20年くらい一緒にいますが、子どもが生まれてからは、定期的に揉めるようになりました。子どもに良かれと思っていることがお互い違いますからね。

特に、健康と衛生の価値観がすごく違うので、息子が小さい頃は、病気するたびに揉めました。風邪をひいているのに外に出すかどうかで、私は、今日わざわざ外に出さなくても、と思っているけれど、トニーは絶対に出さなくちゃダメだとか。

教育に関しても、トニーはすごく理想が高い。例えば漢字の教え方にケチをつけます。

(トニー)漢字の学習法には、そろそろ革命がおきてもいいよね。こんなに時間がかかるはずがないもの。

(さおり)日本は教科書に出てきた順番に教えているから、しようがないと思いますがね……。

でも、ベルリンに移住してから、揉め事は減りました。協力しないと解決できないことが多いから、自然と仲良くなりましたよ。

—夫婦でケンカした時に上手に解決する方法はありますか?

(さおり)時間をかけて、冷静に話しあうしかないですね。お互いの意見を尊重しながら、妥協点を探します。

子どもが小さいうちは余裕がないから揉めやすいですよね。睡眠不足だし、イライラして、全部面倒をみるのも大変だし、それが延々と続くように思えます。でも子どもが大きくなると余裕が出てきますし、子どもが本人の意見も言うようになるので変わってきますね。

(トニー)以前から、2人でよくふざけて指相撲していましたが、最近は子どもも参加するようになってきました。さおりが異常なほど、負けず嫌いなのが、息子も楽しいと思うようになって。

(さおり)私たちの間には冗談を言ったら、冗談で返すというルールがあるのですが、子どもが「面白くない」なんてため息ついていたのが、最近は一緒に冗談を言うようになってきました。

険悪なムードで話していると「ケンカしないで」と心配そうな声を出したりしますけどね。でも「これはね、意見の交換だから。ケンカはしないけど意見の交換はするよ」って(笑)ちゃんと言って聞かせます。

言語や育った文化が違っても、お互いの違いや意見を尊重しながら、なんでもトコトン話し合って解決していくさおりさんとトニーさん夫婦の姿は見習いたいですね!

トリリンガル教育について

—日本人のさおりさんとアメリカ人のトニーさんの息子さんはドイツに住んで3か国語を使っているそうですね

(さおり)日本に住んでいた時から、日本語と英語の2か国語だけでもドキドキしていましたが、学校で使うドイツ語が増えて、日本語が3番目になってしまいました。

日本語を忘れて欲しくないので、補習校(*)に通わせています。毎週漢字テストがありますが、覚えては忘れてしまい、積み重なっているのか、いないのか…。日本では日本語が1番でしたが、今は英語が1番ですね。

(トニー)日本語は漢字を読むのが大変なので、取得に時間がかかっています。

ドイツ語は学習のスタートが遅く、もう少し早ければ、母語、あるいは母語に近い言語になっていたと思います。コミュニケーションの取りにくさで、一番苦労しているようですね。

最近はもうひとつ別の言語を始めました。それによって、文法のルールがよく理解できるようになったようです。ネットで学べるサイトがありますが、息子は、ゲームをやらないで、自ら勉強していますよ。

(さおり)パパのやり方がうまかったんでしょうね。字幕が付いているアニメを見せるなど、彼が自然に覚えたいと思う感じに、持っていったようです。

*日本語補習校:海外の現地校に通学する児童生徒を対象とした、日本語で日本式の授業を受ける学校のこと。

ベビーサインも活躍

(トニー)うちではベビーサインも使っていて、息子は今でも時々使います。

(さおり)生まれて初めて息子に話しかけられたのが、「ヘリコプター」というベビーサインでした。

(トニー)手話も使いますし、暗号を使った謎解きの本も好きですね。いろいろな言語がわかると、世の中のものごとには、たくさんの種類があること、だからここが難しい、というのが納得しやすくなったようですね。

(さおり)考え方の幅が広がったようです。日本語の説明では難しい時にも英語ではこの単語だよ、というと理解します。

バイリンガルになれるかどうかは子どもの素質による!?

—どうしたら、英語など他の言語が話せるようになりますか?

(さおり)「海外に住んでいるから」、「両親がそれぞれ違う言葉を使っているから」、自然にバイリンガルやトリリンガルになるわけではないですね。

ベルリンで日本語の補習校に通う人でも、悩んでいない人はいないと思います。同じ条件の兄弟でも語学の習得レベルが違うこともありますし。例えば、上の子は日本に住んだことがなくても、イントネーションをひとつも間違えずに、ものすごく流暢に話すけれど、その下の子は、どの言語もそれほど得意ではないとか。子どもの素質によって、親が絶え間なく努力しなければならない場合がありますね。

(トニー)バイリンガル教育は、OPOL(ワンパーソン・ワンランゲージ)が良いと言われます。母親はずっと日本語、父親は英語と、話す言語を1つに決める方法ですが、子どもがある年齢に達したら、そのルールを変えてもいいと思っています。

息子は小学校1年生からベルリンに住み始めたのですが、日本語と触れる機会どうしても足りないので、今は僕も日本語で本の読み聞かせをしています。

オーディオブックがおすすめ

(トニー)ドイツ語で話しかけたり、本の読み聞かせをしたりはうまくできないので、オーディオブックを使っています。すでに、内容や展開がわかっている話だととても効果的ですよ。

(さおり)日本ではオーディオブックって、まだあまり普及していないけれど、欧米ではメジャーですね。女の人も家事をしながら聞いたりしているみたいですよ。

語学オタクで何か国語も操れるトニーさんが父親で、さらにベルリン在住と羨ましいような環境ですが、それでも簡単にたくさんの言葉が自然と話せるようになるわけではなく、ご両親のいろいろな努力と工夫が必要なようです。

取材・文/志田実恵

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