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潜在保育士の約8割が「給料5万円アップしても復職したくない」!?

保育士不足解消のためにも復帰を求められている潜在保育士。

「明日の保育がもっと楽しくなるサイト」をコンセプトにする保育者向けのポータルサイト「ほいくみー」と、法律相談サービスを手がける「弁護士ドットコム」が共同で、潜在保育士213名にアンケートを行ったところ、復職しない理由の第1位は給与への不満で、21.6%であることがわかりました。続いて第2位は、結婚や妊娠・出産、第3位は業務量や残業の多さで15.5%となります。

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ただし、これは復職しない「もっとも大きな理由」です。複数回答を可とした時の回答を見ると、給与への不満が63.4%、続いて業務量や残量の多さが60.1%、職場の人間関係44.6%、プライベートとの両立と続き、結婚や妊娠・出産は36.2%となりました。
これを見ても保育士の仕事を辞める一番の理由は、やはり給与への不満が大きいことがわかります。
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■保育士の給与は平均15万円以下!?

では、いったい保育士の平均給与はどのくらいなのでしょうか。

「保育士として働いていた最後の月の月給は手取りでいくらでしたか」という質問に対して、15万円未満が一番多く、54.5%、続いて15万~20万円以上が37.1%、20万円以上と答えたのはたった8%でした。

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■1万円どころか5万円アップでも復職したくない

国会でも保育士の賃上げ法案が提出がされていますが、金額としては「1万円を想定」としたり、「5万円引き上げる」だったり。1万円アップではあまりにも少なすぎるので、仮に給与を「月額5万円アップする」といった場合、潜在保育士は復職したいと考えるのでしょうか。

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アンケート結果によると、76.4%が5万円アップしても「復職したくない」と考えています。保育士の給与平均が15万円以下ということを考えると、5円万アップしても20万円以下。では10万円アップした場合はどうでしょうか。

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「復職したい」は86.5%と飛躍的にアップすることがわかりました。
給与1万円アップ、5万円アップ、10万円アップとどんどん夢は膨らみますが、まだ1円もあがっていないというのが現実です。形だけの法案提出ではなく、ぜひ実現するまで粘り強くがんばってほしいものです。

■離職した保育士たちの声

命を預かる責任ある仕事にも関わらず給与が低い、制作物や行事の準備、事務作業などの負担、我が子の病気対応ができないなど、自分や家族の生活の一部を犠牲にしながらの仕事継続は難しく、やむなく退職する人も。「子どもとの関わり」よりも、業務面、待遇面での疲弊が退職につながっていることがうかがえます。

仕事は休む暇もなく1日中動き続けているのに、実家を出るなんて考えられないほど給料が低い。1人できちんと生活できるだけの経済力が欲しいです。

残業して制作物や行事の準備をしているのに自己満足、園長先生の満足にとどまり給料へ反映されない。福祉系の仕事はボランティア精神を持っていると思われタダ働きは当たり前、タダ働きやタダ残業をしてもより良いものを子どもたちに与えられるなら自分を犠牲にしろと叩き込まれている。子どもと遊んでいるわけではなく命を預かっていることをわかっていただきたいです。

自分の子どもが入院しても発熱しても休めないです。休むと嫌な顔をされます。育児と仕事との両立には環境が厳しすぎます。

保育はチームワーク。しかし、基本女の世界なので妬みあったり、特に私立は長く勤めているから偉いという感じがあったりします。ちゃんと保育を評価してもらいたいです。保育士不足で保育士の給料問題についても騒がれていますが、給料の問題だけではないと思います。

年案・月案・週案・個別・お便り・行事の担当全てが重なり、仕事が苦痛で仕方なくなりました。監査が終わったら、シュレッダー行きの書類に、なぜ、プライベートな時間を削ってまで作成しないといけないのか分かりません。

■保育士として復職するために必要なこととは?

「潜在保育士が復職しないのは給与が安いからだ」「じゃあ、給与を上げればいいんじゃないか」という流れになっていますが、給与面での待遇はもちろんのこと、問題はほかにもたくさんあります。保育士に復職したい人を増やすためには、何が必要だと思うか、アンケートを行いました(複数回答可)

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第1位はやはり給与アップ。90.6%の人が必要だと回答しています。次に多いのが休日や有給取得の増加68.5%、事務作業の効率化や削減64.8%と続きます。保育士というと、子どもと一緒に遊んだり、生活面のお世話をするイメージがありますが、実際には日誌や連絡帳、お便りや引き継ぎ事項の記入など、様々な書類業務などもあります。通常、お昼寝の時間などを利用して行うことが多いのですが、終わらなかった分は残業や持ち帰りとなることも多く、負担となっています。国は事務作業の効率化を推進するために、ソフトの導入などにかかる費用を一部助成する対策を打ち出していますが、なかなか改善されていないことがわかります。

そのほかの意見としては、「保育士の子どもの保育料無償化」や「保護者対応のサポート」「社会的認知の向上と適正評価」を望む声などがありました。

■潜在保育士の復職や現役保育士の離職を防ぐ待遇改善

国は、平成29年度までに50万人分の保育士の受け皿を確保するために、約9万人の保育士が必要と試算しています。それに伴い潜在保育士の復職を望む声が高まっていますが、まずは給与面での改善に早急な対応が必要です。またきちんと有給、産休、育急が利用できるように制度を整えることなどが求められます。保育士の待遇を改善することは、潜在保育士の復職を後押しし、現役保育士の離職率も減り、質の高い保育士が増えるのではないかと期待します。

ライター/間野 由利子